117 ◆dOKfgIN.m6 New! 2006/08/09(水) 00:08:53.52 ID:BDOktYKTO
『加速』
それは、早さを求める上で最も必要なものだ。
それに掛かる時間が早ければ早いほど、人は加速することに快感を覚える。
それは車であったり、新幹線であったり。色んなスピードの求め方がある。
彼は、走ることで自分が加速する喜びを感じていた。

⊂( ^ω^)⊃「ブーン」

コースを素早く駆け抜ける男がいた。
彼の名はブーン。走ることに魅入られた少年だ。
中学で陸上部に入り、練習に練習を重ねる日々。

ξ゚听)ξ「お疲れ様。今日も早いわね」

始まりは、彼女との出会いだった。

( ^ω^)「前よりタイム早くなったんだお!」

ξ゚听)ξ「そっか。頑張ってるみたいね」

彼女の名前はツン。ブーンより一つ年上で、陸上部のマネージャーだった。

( ^ω^)「この調子なら、いずれは音速も越えられるお」

ξ゚听)ξ「それは無理。だって人間だもの、そんな早さに身体がついていかないわ」

119 ◆dOKfgIN.m6 New! 2006/08/09(水) 00:09:26.15 ID:BDOktYKTO
そう。彼の目標は、『音速を越えること』だった。
機械に頼らず、自分の身体ひとつで。


( ^ω^)「でも、ブーンはいつか音速を越えるんだお。
その時、ツン先輩はブーンのことを凄いと言うお」

ξ゚听)ξ「はいはい。ま、ほどほどにね」

そう言って、学校へと戻っていく。
その後ろ姿を横目に、またブーンは走りだす。

⊂( ^ω^)⊃「ブーン」



ξ゚听)ξ「・・・50m走、タイムが7秒8か。これじゃ、夢のまた夢ね」

教室の窓から、タイムウォッチを握り、ブーンを見ているツンの姿があった。

ξ゚听)ξ「でも、いつかはもっと早くなるかもね」

次の50m走のタイムは7秒5。確実に縮まっている。
彼の加速の源は、ツンを振り向かせる為だということを、当の本人はまだ気付いていないようだ。

fin

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