160 彼の名は(お題:ksk) ◆maDANNSTIo New! 2006/08/09(水) 01:13:19.59 ID:DKIvIOrA0
 新トリップを試しながらの投下。
 へへ…俺、この短編が終わったら寝るんだ…


('A`;)「ハァハァ…」
(;^ω^)「フゥフゥ…」

 四角いリングの端と端。
 二人の男が息を切らして座っている。

 秒針は無情に過ぎてゆき、時既に最終ラウンド。
 ボロボロの二人はユラユラと、決戦の場へ歩いていく。

 敵同士だというのに、お互いを見やる余裕すらない。
 痛みと疲労が思考を支配していた。

 だのに。

(`A';)「おお……うぉぉおぉぉおぉぉぉ!」
(#^ω^)「ああ……うぁぁあぁぁぁあぁぁぁ!」

 ゴングの音で飛び出していく。
 そこにいるのは人間ではない。二匹の野獣だった。

(`A';)「シッ!」

 放たれる、猛烈なジャブ! ジャブ! ジャブ!
 テイクバック抜きとはいえ、きちんと足腰が回った拳は、十分なフィニッシュブローとなる。
 無数の飛礫(つぶて)。まさにマシンガン。

161 彼の名は(お題:ksk) ◆maDANNSTIo New! 2006/08/09(水) 01:13:42.48 ID:DKIvIOrA0
(#^ω^)「くっう…シャア、オラッ!」

 ガード専門だった相手が、突如、反撃に出た。
 アッパー気味の左ジャブが、攻め手のジャブを外へ流す。
 しかも、それは顎狙いのフックに変化して、視界のギリギリ外から襲い掛かった。

('A`;)「!!」

 世界が回る。
 そう思ってから、ようやく『避けられなかった』事実を知る。
 防御にまわすだけの集中力が残っていなかった。

(;^ω^)「フゥ…フヒヒ…」

 だが目算が狂ったのは相手も同じ。
 敵の視界を奪った今こそ、トドメを刺すチャンス。
 なのに、足がもつれて、抱き合ってしまった。
 攻撃にまわす余力が無い。

(;^ω^)(構わないお!)

 一発。二発。クリンチが脇腹をえぐる。

(`A';)「ぐえっ…!」

 密着しての拳は致命傷たり得ないが、確実に弱った体を追い討った。
 レフェリーが「待った」をかける。遅せぇよコノヤロウ。

 あらためて向かい合う二人。

162 彼の名は(お題:ksk) ◆maDANNSTIo New! 2006/08/09(水) 01:14:06.38 ID:DKIvIOrA0
 このまま逃げ切る予定も、逃げ切らせる予定も無い。
 双方、ここで仕留める気だ。

(`A';)(……あれ?)

 さっきのようにジャブを打ちかけて、自らの異変に気づいた。
 まずい。足が笑って、立ってらんねぇ。
 そして、それは相手にもキッチリばれた。

(#^ω^)「テェーッ!」

 大振りのストレートが飛んでくる。
 うわあ、痛そう。そんなことを考えたとき、ふと聞こえた声があった。

ξ゚听(´・ω・`( ,' 3 )
――ksk!!
――がんばれ、ケースケ!!

 ああ。皆が待っている。
 俺の勝利を願っている。
 「ksk」と染め抜いたタオル。一心不乱に振っている。

 瞬間、体が勝手に動いた。

(`A';)「ンだぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁ!!」

 敵の右に合わせての、渾身の左。
 絡み付く蛇のように這い上がったクロスカウンターは、あやまたず頬を打った。

163 彼の名は(お題:ksk) ◆maDANNSTIo New! 2006/08/09(水) 01:14:25.10 ID:DKIvIOrA0
 ゴングが鳴る。割れんばかりの怒号。
 敗者は地に伏せ、勝者は叫ぶ。
 新たに歴史の1ページが書き加えられた瞬間だった。(終)

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