731 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 01:39:23.52 ID:9RGJhqfXO
('A`)「ああ、マンドクセェなぁ。」

暗闇に包まれた廃ビル内で一人の男がそう呟く。
全身を黒い服で揃え、髪型をオールバックにしてはいるものの、
その顔からは一切やる気が感じられない。
その不釣り合いさがその男の周りに奇妙な空気を発生させていた。
そして、何よりその顔より不釣り合いなものがあった。

両手に握られたナイフ

そのナイフはもう既に紅に染まっており、ポタポタと大地に紅の点を打っていた。

( ^ω^)「どうしてこんなことをするお?ポイズンジャック。」

その男から少し離れた場所にいた白い服―既に切り刻まれ、血で紅に染まっていたが―を着た男が
黒服に問い掛ける。

('A`)「何でだろうな。血を見ないと落ち着かないのかもな。」

ポイズンジャックと呼ばれた男は悪ぶれた様子もなくそう答える。

( ^ω^)「チッ、雑魚を狙ったら人食い鮫が釣れたなんて洒落にもならないお。」



732 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 01:41:46.25 ID:9RGJhqfXO
白服はそう悪態をついた。

ポイズンジャック―数々の人間を切り刻み、血祭りにあげてきた黒服に与えられた呼び名。
そして、白服はそのような存在を狩る機関―国家機関VIP―に所属していた。
名をブーンと言った。

( ^ω^)「今からお前を捕縛し、VIPに突き出してやるお!」

ブーンはそう言いながら、ポケットからガムを取り出し、口に含む。

('A`)「ガムを噛むなんて、随分と余裕じゃっ!?」

ポイズンジャックの言葉はそこで遮られた。
ブーンが目前まで一瞬で迫り、ナイフを振るったのである。
しかし、ポイズンジャックはすんでの所でそれを両方のナイフで止め、ブーンを睨み付けた。

('A`)「へぇ、やるじゃん。」


734 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 01:44:09.88 ID:9RGJhqfXO
( ^ω^)「不意討ちを成功したぐらいで、調子にのりんじゃないお!それに・・・・・・」

( ^ω^)「ガムを噛むと、力も入るおっ!」

そういった瞬間、ブーンはナイフに全体重を乗せる。
ポイズンジャックも力では敵わないと悟ったのか、やや弾かれ気味に後方に下がる。

('A`)「久々の上玉だ。本気を出させてもらうよ。」

そう言うと、ポイズンジャックはステップを踏み始める。
そして、

消えた

いや、消えたのではなかった。
一瞬でブーンの背後に移動したのだ。

( ^ω^)!?

ブーンが敵は背後にいると気付いた時にはもう遅く、首からは血が流れる。

(;^ω^)(なっ、早いお!?)

('A`)「さあ、逃げ切れるかな?」

ポイズンジャックはそう言うと、現れては消え、消えては現れてを繰り返す。
ブーンの体に無数の赤い線が引かれる。
ブーンの防戦一方だった。

735 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 01:45:55.55 ID:9RGJhqfXO
(;^ω^)「クッ、ここは一旦引くお。」

そう言ってブーンは地面に球状のものを投げつける。
刹那、辺りに眩いばかりの閃光が走った。

('A`)「うおっ、まぶし」

ポイズンジャックの目の前が真っ白になる。
目が正常に戻った時には既にブーンの姿はなく、血の跡だけが残っていた。


('A`)「クソッ、逃げられたか。フフ、でも血の跡が残ってるぜぇ。」

そう言いながらポイズンジャックはゆっくりと確実に歩みを進めて行く。まるで死神のように。



736 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 01:52:48.78 ID:9RGJhqfXO
ブーンは路地裏にいた。
万全の迎撃体制をとって。

('A`)「フフ、一本道か。考えたじゃん。でも、それじゃ俺の技は防げないよ。」

ポイズンジャックは再びステップを踏み始める。
そして、再び消え、ブーンの首を切り裂いた。

筈だった。
しかし、実際はブーンの目前、ナイフが届かない距離で止まった。
(;'A`)「なっ!?ガムだと!」

ガムに足をとられ、ポイズンジャックの脳が一瞬混乱する。
ブーンはその一瞬の隙を見逃さなかった。
前につんのめったポイズンジャックの顔に強烈な正拳を叩き込む。
ポイズンジャックはそのまま後方に吹き飛ばされ、動かなくなった。

( ^ω^)「ガムでも足止め位は出来るお。」

こうして、一つの闘いは終わった。
しかし、全ての闘いが終わったわけではない。
ブーンの闘いはこれからも続く。




( ^ω^)「ハァ、ツンに貰った服がボロボロだお。これは殺されるかもしれんね。」

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