713 ドクオとガム New! 2006/08/08(火) 01:10:18.40 ID:MMnX/Ocf0
傷ついていた。

裏切られた。

そして自分は惨めな存在だった。


夕日も落ちかけた駅前の薄汚れたベンチに腰掛けていた。

('A`) 「……」

今日、知り合いの内藤と津村が付き合った。
とても二人はお似合いだ、自分の気持ちなんて知らずに。

自分なんかには夕暮れ時の街の雑踏がお似合いだった。

715 ドクオとガム New! 2006/08/08(火) 01:10:57.88 ID:MMnX/Ocf0
友情と愛情、どっちを取るかと言われたら間違いなく愛情だった。
絶対に友情なんかよりもそっちを取ると思っていた。

ああ、しかし自分は取れなかった。

ただの格好つけだ。
その結果、今のように無残になっているんだ。


隣に誰か座った。


それすら気に留めない……黄昏時。

717 ドクオとガム New! 2006/08/08(火) 01:11:45.95 ID:MMnX/Ocf0
川 ゚ -゚)「ガム……食べるか?」

('A`) 「……」

隣から突然伸びてきた手、それは自分にガムを手渡してくれた。
お礼も言わずに受け取ると、口に放り込んだ。


('A`) 「……物好きだな」

川 ゚ -゚)「ああ、あまりに居た堪れない人間がいたもんでな」


ガムはとても甘かった。


初恋の味か……。

718 ドクオとガム New! 2006/08/08(火) 01:12:23.36 ID:MMnX/Ocf0
ガムをティッシュに包めた。

それは初恋を振り切った自分の表れ。


('A`) 「……たしかクーだったか?」


川 ゚ -゚)「違うクラスなのに良く覚えているな」


('A`) 「もう一枚ガムもらえるか?」


川 ゚ -゚)「ほら」

719 ドクオとガム New! 2006/08/08(火) 01:12:43.58 ID:MMnX/Ocf0
やはりガムは甘かった。


('A`) 「……ありがとうな」


川 ゚ ー゚)「気にするな」


初恋とはまた違う甘さ。


だけどやっぱり……恋の甘さ。

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