681 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 00:44:36.09 ID:ApP1pnbN0
俺が禁煙しようとした訳
それはなんとなくだった。


VIP高校に通うドクオは、禁煙を始めた。
最初にタバコを吸ったのはなんてことは無い、ただのカッコツケだった。

親にバレても文句のひとつも言わなかった。ただ「火事にするな」とだけ。
外で吸っても学生服じゃない限りバレやしなかった。


ある時、女の子と遊びに行くことになった。世間で言うデートだ。
ドクオはその子の事をとても愛していた。話しているとき、一緒に出かけるとき、すべてが幸せだった。


その日ドクオは勇気を出して告白した。その子からの返事はただ一言。
「ドクオ君のことは大好きだよ。でも、私タバコの臭い駄目なの。ごめんなさい。」

ドクオはショックを受けると同時に、タバコが嫌いな人がいるという事実を忘れていた事に気がついた。
「じゃ、じゃぁ俺がタバコやめたら、その、つ、付き合ってくれない!?」

女の子は軽く微笑むと、何も言わずにその場から立ち去った。


その日から、ドクオは禁煙を始めた。

682 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 00:45:45.68 ID:ApP1pnbN0
「あれ?ドクオタバコやめた?」
翌日、学校でドクオの友達、ショボンがドクオの服を臭いながら言った。

「おっ、ドクオタバコやめたのかお!えらいお!」
同じくドクオの友達のブーンも、笑顔で言ってきた。

「あぁ、ちょっとな。まだ一日しか経ってないけど、ガム噛んで我慢してるよ。」
そういうとドクオは、自分のポケットからガムを取り出し、口に放り込んだ。


最初のうちは楽だった。こんなの簡単だ、と思った。
しかし4日目辺りから苦痛がドクオを襲った。それに比例してガムの枚数も増えていった。


一週間が過ぎようとした頃には、ドクオは常にいらいらしていた。

「ドクオー!今日カラオケ行かないかお?」
折角ブーンたちが遊びに行かないかと誘ってくれても

「うっせーな。勝手に行けよ。」
と言ってしまう。

本当は行きたい。しかし、イライラしているせいか暴言しかいえなくなってしまった。

「んー・・・仕方ないよブーン。彼は今ニコチン切れでイライラしてるんだ。そっとしておこう。」
「ドクオ、イライラしなくなったら遊びに行くお!」
「あぁ・・・」

そう言うと、ドクオは家路についた。

684 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 00:47:01.25 ID:ApP1pnbN0
禁煙を始めて2週間が経とうとしていた。
ここを乗り切れば禁煙達成も近い。

そんなある日、ドクオは街をブラブラしていた。
その時、ドクオの視界に自分の愛しているあの子を見つけた。

男と一緒にいる、あの子を。

「おい、どういうことだよ!」

ドクオは駆け寄ると、女の子に向かって怒鳴っていた。

「うるさいわねぇ・・・何よ?」

「何よじゃねぇよ!お前二股かけてたのかよ!」

「あ?何こいつ。お前浮気したの?」

「何言ってんのよ。前に告白されたけど断ったわよ。」

「お前こそ何言ってんだよ!俺の事大好きだっていったじゃねぇか!

お前がタバコの臭い嫌いだからって理由で断ったから、俺は禁煙を・・・」

そこまで言ったとき気付いた。

その”子”が手に持っていたものを。


紛れも無い、タバコだった。

685 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 00:49:10.38 ID:ApP1pnbN0
「はっきり言うわ。あんたウザいのよ。毎晩毎晩メール送ってきて。

行きたくも無い映画や買い物に行ったりして。まぁあんたのオゴリだったから行ったけど。

告られたとき『やっぱり』って思ったわ。

でもまぁ、はっきり嫌いって言ったらもうタダで映画行ったり物買ってもらえなくなるじゃない?

だからあんな言い方したの。わかった?」

そう言うと彼女は男とその場から歩いてどこかへ行ってしまった。
噛んでいたガムは、苦くて、辛くて、しょっぱいような気がした。

686 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 00:49:28.81 ID:ApP1pnbN0
「ドクオー!またタバコ吸い始めたのかお!!」


「おう、やっぱり俺イコールタバコじゃん?タバコ無いと俺って感じしなくね?」

「確かに、タバコ吸ってるのもドクオの一面だしね。

そんなドクオを僕は好k「さぁ何歌おうかなぁーっ!」


ショボンと、ブーンと三人でカラオケに来ていた。

彼女とはもう話さなくなった。メールも打ってない。というか、電話帳から削除しておいた。

そしてその日以来、ドクオはガムを噛まなくなった。禁煙をやめたからだ。

(俺は、一生ガムは噛まないだろうなw)

そんな事を考えながら、ドクオは自分の十八番を選曲すると、大声で歌った。


おしまい。
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