105 ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。 sage New! 2006/10/10(火) 19:41:59.07 ID:qMpG/erd0
( ^ω^)「…ふぅ。」

秋というのは何故か切ない季節で
無意味にため息をつく事が多い気がする。
ブーンは放課後の教室でカラスの鳴き声を聞きながらそんな事を思っていた。

('A`)「おーい、ブーン。帰ろうぜ〜。」

教室に響く、いかにも「疲れてます」といった感じの声。
友人のドクオが呼んでいる。
彼とは中学で出会った、地味な奴同士で似た所があるのだろうか
今ではもっとも親しい者の一人だ。

( ^ω^)「おっおっおっ、今いくお。」

浮かない気分のままカバンを持って立ち上がり
すこし窓の外を見てからドアの方に歩き出す。

( ^ω^)「ツンは先に帰ったのかお?」

('A`)「あいつなら校門の所で待ってんじゃねーか?」

ツン。というのは幼馴染の名前だ。
彼女とは物心付く前からの付き合いで、友達というよりは兄弟に近い感覚だ。
最も、ルックスも能力も違いすぎて同列に扱うと怒られるかもしれないが…
歩きながら、そんな事を考えていた。

106 ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。 sage New! 2006/10/10(火) 19:42:41.22 ID:qMpG/erd0
('A`)「…はぁ」

( ^ω^)「どうしたんだお?」

('A`)「別に…」

本当になんでもないのだろう。それは声色ですぐにわかった。
だとすれば、理由はやはり…あれしかない。
秋について思うことは誰でも一緒のようだ。
それが可笑しくて、内心ニヤつきながら歩みを進めた。

数分後。校門に到着する。

ξ#゚听)ξ「あんた達遅いわよ!なにやってたのよ!」

校門には腕を組んでイライラオーラを漂わせているツンが居た。

107 ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。 sage New! 2006/10/10(火) 19:43:11.80 ID:qMpG/erd0
(;^ω^)「すマンコ…」       キャオラッ

('A`)「なんかだるくてよー…はぁ…」

ξ゚听)ξ「だるいってドクオは常にそういってるじゃない」

('A`)「いや…ちげーんだよ…秋だから…」

ξ゚听)ξ「意味分からないわね。どうして秋だとだるいのよ?」

(#)ω^)「ツンにはわかんないお。食欲の秋だから何も感じないんだお」  あべしっ

ξ#゚听)ξ「女の子に向かって失礼ね!まあいいわ。帰りましょう。」

('A`)「そうだな…かえるか…」

早速二回も無駄無駄らssy…びんたを食らってしまった。
本当の事を言ったのに…いや、言ったからか…

ブーンはツンが昨晩、ご飯を3杯もたいらげたのを知っていた。

109 ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。 sage New! 2006/10/10(火) 19:43:49.55 ID:qMpG/erd0
そして、いつもの様に雑談をしながら帰宅する。
しばらくすると、突然ツンが立ち止まり、山の方に指をさした。

ξ*゚听)ξ「ねぇ…見てよ。夕日が綺麗よ…」

ドクオとほぼ同じタイミングでツンのさした方向を向く。
ツンの言う通りだった。
そこには見たこともないような大きな夕日があった。
山に半分隠れてしまっていたが、それが逆に美しさを際立たせていた。
そして、その大きさもさることながら、周りの雲・飛び交う鳥・照らされる家々
すべてが完璧だった。これほど綺麗なものはTVでも見たことないほどだ。
立ち止まり、時間を忘れて見とれる。

…そして、ブーンはちらっと隣を見る。夕日に照らされる二人の横顔。
いつも通りのけだるそうな顔をしたドクオだが
珍しく活き活きとしているように見えたのは気のせいだろうか。
その隣にはツン。すごく綺麗に見えた。
元々美人ではある。でも今日は、なんというか可愛いかった。



そしてまた、夕日に視線をもどした。

111 ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。 sage New! 2006/10/10(火) 19:44:23.03 ID:qMpG/erd0
いったい何分経ったのか分からないが、ずっと夕日を眺めていた。
そして、誰からとも無くまた歩き始める。
すると、ツンが口を開いた。

ξ゚听)ξ「…あんた達が言ってた事…よく分かったわ…」

( ^ω^)「そうかお…」

('A`)「…」

それからは全く会話せずに歩いていた。
方向が違うため、途中でドクオと別れる。

113 ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。 sage New! 2006/10/10(火) 19:45:01.91 ID:qMpG/erd0
そして、ツンの家の前。

ξ゚听)ξ「それじゃあね。ブーン。」

( ^ω^)「さよならだお…あ、それとツン」

ξ゚听)ξ「?なに?」

( ^ω^)「………ご飯の食べすぎはだめだお」

ξ#゚听)ξ「うるさいわね!ばか!」

(;^ω^)「ちょwww拳下げて拳wwwww」

ξ゚听)ξ「ねぇブーン…」

( ^ω^)「なんだお?」

ξ////)ξ「や…やっぱりなんでもないわ!じゃあねっ!」

それだけ言うとツンはドアを閉めてしまった。
何を言いたかったんだろう?
ひょっとすると自分が言えなかった事だろうか…
…ありえないか。すぐにその考えを否定する。

秋というのは嫌な季節だ。無駄な勘違いまでしてしまったじゃないか。

でも悪くないな。ブーンはそう思った。
                              ( ^ω^)ブーンが黄昏ているようです。〜完〜
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