398 しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざい New! 2006/06/10(土) 18:47:03.97 ID:nZ47SgOY0
( ^ω^)「きれいな夕陽だお・・・」

焼け野原となった大都市、VIP。
こんな「終わった街」からでも、夕陽は美しく見えるのだな、とブーンは感心した。

( ^ω^)「・・・もうすぐだお」

現在VIPは戦争の真っ只中にあり、既に敵機による空襲にあっていた。
つい先ほどにも、小規模な爆撃があったばかりだ。
恐らく、あと少しで大規模な爆撃がくる。
そうなってしまったら、何とかここまで生き延びたブーンでも助かることはできないだろう。

401 しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざい New! 2006/06/10(土) 18:54:31.86 ID:nZ47SgOY0
ξ゚听)ξ「・・・・」

隣にいるツンは、何も言わない。
その無言が、徐々に終わりに近付く自らの短い人生を振り返っているが故の無言なのか、
最後の夕陽を見て感傷に浸っているための無言なのかは、ブーンには分からなかった。

実際のところ、ツンは「この太陽は、こうして何度も沈んでいるんだろうな」などと考えていた。
沈み、昇り、沈み、昇り、沈む─どうでもよい程昔からこの自称を繰り返してきた太陽は、人が殺しあう様も幾度も見てきたのだろう。
そして私達は、その中の一つの犠牲者にすぎない。
─馬鹿らしい。

402 しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざい New! 2006/06/10(土) 19:00:48.69 ID:nZ47SgOY0
( ^ω^)「・・・ツン?」

突然立ち上がったツンを見て、ブーンは戸惑う。
転がり落ちる瓦礫が、不自然な程大きい音をたてながら転がる。

ξ゚听)ξ「みんな、死んじゃったのよね・・・」

( ^ω^)「ドクオもショボンも・・・どうして死ななければならなかったんだお・・・」

ξ゚听)ξ「あいつらも・・・私達も・・・この戦争の犠牲者の中じゃ、ちっぽけな命の一つなのよね・・・」

( ^ω^)「まるで、僕らの存在がちっぽけな物にまで感じてくるお・・・」

しかし、ブーンもツンも、死んだドクオやショボンも、これまでは楽しい人生を送ってきたはずだった。
何気ない会話、何気ない一日。そうした全ての物が、今ではとても輝かしく思えてきた。
そう、僕らは決して小さな存在ではなかった。輝いていたんだ。
でも、今ではもう─死んでいく命の一つにすぎない。


403 しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざい New! 2006/06/10(土) 19:04:59.38 ID:nZ47SgOY0
ξ゚听)ξ「・・・ブーン?」

( ^ω^)「何だお?」

ξ゚听)ξ「最期まで、一緒にいてもいい?」

( ^ω^)「当たり前だお・・・」


別にちっぽけでもいい。
ただ・・・平凡な日常が、欲しかった・・・
次生まれてくる時は、また友達や家族と・・・平凡な幸せを・・・




【しすべき うんめいをせおった ちっぽけなそんざい】 完

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