298 ファイヤーボール New! 2006/06/05(月) 22:16:01.16 ID:8XIgqwlz0
 それは寒い夜中のことだった。いつものようにこっそり家を抜け出してきた子供たちが、小さな
公園に集まり始めていた。彼らはその有り余る好奇心の昇華場所に困り、毎晩約束したかの
ように、決まって集まってくるのである。その中でも、ライターを持ってくる奴なんかは一段と
その目がギラギラとしている。

( ^ω^)「今日も楽しい夜になりそうだお」
('A`)「あぁ。でもブーン、お前おねしょ大丈夫なのか?」
(;^ω^)「ば、馬鹿にするなお! 昨日はちゃんと漏れる前に起きたお!」
ξ゚听)ξ「ほら、騒ぐとまた大人が来ちゃうわよ」
(*゚ー゚)「そうそう。それより早く始めようよ」
(´・ω・`)「ねぇ、本当にこんなことしていいのかな?」
ξ゚听)ξ「なによ、いつもやってることじゃない」
川 ゚ -゚)「怖いなら帰った方がいいぞ」
(´・ω・`)「わかったよ。居るよ……」

 そして彼らが始めたことは、なんてことはない、ただの火遊びである。各々が家から燃えそうな
ものを持ち寄って、ただ燃やすだけ。けれどもたったそれだけの行為に彼らは途轍もない、高揚と
背徳を感じるのだ。

(*^ω^)「ティッシュSUGEEEEE!」
('A`;)「うわ! くっせ! 誰だ、変なもん燃やしてるの!」
(*゚ー゚)「あははははは! あー、おっかしー」
(´・ω・`)「お味噌は燃えないね……」

 各々が好き放題に火遊びを楽しみ、段々とテンションが上がりすぎて暴走し始める者が出始める。
大体そんな時間になると、いつも持ち寄った燃料も底をつきお開きになるのだが、今日はそれを予見
していた者が何人か居たらしく、宴は中々その尻尾を見せずに居た。そんな時である。

300 ファイヤーボール New! 2006/06/05(月) 22:16:29.22 ID:8XIgqwlz0

('A`;)「ぅあっち! あ、ぁぁああああ!」

 その言葉に皆が凍りついた。ドクオが何も考えずにビニール袋に集めた木の葉を燃やしたのだが、
予想以上に乾燥していて、よく燃え上がり、思わず手を離してしまったのだ。そして、その火種は
公園の木で出来た遊具のちょうど塗装がはげている上へと着地し、見る見る間に黒煙を上げ始めたのだ。

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと! どうするのよ! 早く消さないと!」
(´・ω・`;)「お、お味噌ならまだあるよ!」
(*゚ー゚)「私水汲んでくる!」
川 ゚ -゚)「終わったな」

皆が皆それぞれ慌てる中で、ブーンは一人ただボーっとさっきの光景を思い出していた。もしかしたら
あの要領でゲームみたいにファイヤーボールが出せるのではないかと。考え出したらもう止まらなかった。
後にブーンはそう反省文に記している。
ξ゚听)ξ「なんとか消えそうね……」
('A`;)「マジ焦ったって」
(*゚ー゚)「とりあえずよかったね」
(´・ω・`)「なんかおなか減ったよ」
川 ゚ -゚)「じゃあそろそろ帰るか」

(* ω )「ファ……」
(*^ω^)「ファイヤーボール!」



 その日、夜の住宅街に二つの赤い光がいつまでも、いつまでも輝き続けた。

−終−

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