377 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:03:31.89 ID:DqvL6ShI0
('A`)「さて、もうそろそろかな」

自分の愛用しているPCを眺めながら彼はつぶやいた。
彼の左腕につけてある腕時計の短針はもうすぐ12という数字を指そうとしていた。
('A`)「ったく、何でいつも俺はこういう役回りなのかねえ…」
誰が答えるわけでもない疑問を口にする。と―――

ブーーーー。

―――彼の持っている携帯のアラームがなった。
向こうの準備も整ったというわけか、と、彼――ドクオは胸中でつぶやく。
('A`)「時間かかりすぎなんだよ。こっちはもう待ちくたびれてたぞ」
言うと同時にドクオは携帯電話を手にとった。


380 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:03:49.06 ID:DqvL6ShI0
(´・ω・`)「もう大丈夫なのかい?」
( ^ω^)「ごめんだお。ちょっとおなかが痛くなっちゃって…」
人気のない路上に怪しい二人の男がいた。
怪しいというのは勿論そんな時間にそんな場所で突っ立ってるというのもあるが、何よりその二人の服装が怪しかった。
全身黒ずくめ。黒のジャケットに黒のズボン、おまけに夜なのにも関わらず黒い帽子まで被っている。
恐らくこの場面を他人に見られたら警察に通報されてもおかしくないだろう。
(´・ω・`)「まったく、こんな大事なときにおなかが痛くなるなんて…。なんか変なものを食べたんじゃないだろうね、ブーン」
( ^ω^)「もう大丈夫だお。心配してくれてどうもありがとうだお、ショボン」
(´・ω・`)「大丈夫ならいいんだけどね…。さあ早くしないと間に合わなくなるよ。それにドクオの奴も痺れを切らしているだろうしね」
(;^ω^)「あっ。もうこんな時間かお!?」
ブーンは自分の腕時計を見て驚いた。11時50分――予定の時間よりも10分近くオーバーしていたからだ。
( ^ω^)「じゃあドクオに電話するお。ショボンは準備出来てるかお?」
(´・ω・`)「それはこっちの台詞だよ」
(;^ω^)「だ、大丈夫だって言ってるお。じゃあ連絡するお」
ブーンはそう言うと携帯電話を取り出した。



381 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:04:18.62 ID:DqvL6ShI0
('A`)「遅い!」
(;^ω^)「ご、ごめんだお」
('A`)「ったく…緊張しすぎて腹でも壊したんじゃねえだろうな」
(;^ω^)「うっ、鋭い…」
('A`)「なんか言ったか?」
(;^ω^)「な、なんでもないお。それよりもうそっちはOKなのかお?」
('A`)「当たり前だ!何分オーバーしてると思ってるんだ!…まあいいか。もう一度内容を確認するぞ。ショボンにも聞こえるようにしてくれ」
( ^ω^)「わかったお」
ブーンはショボンを近くに呼び寄せた。
('A`)「場所は2丁目の一番大きい屋敷――お前らの目の前にある家だ。目的地は2階一番東の部屋。っていっても何回か行った事あるから知ってるよな」
(´・ω・`)「まあね、下調べは万全にしたから」
('A`)「で、ここからが大事だ。勿論こんな大きな屋敷だからセキュリティーシステムは万全だ。こんな夜中に真正面からはいったら警備員に捕まるのがオチだな。勿論塀をよじのぼっても同じ結果だろう」
( ^ω^)「そこはドクオがどうにかしてくれるんじゃないのかお?」
('A`)「話は最後まで聞け。今お前が言ったとおりシステムは俺が何とかする。だけど何とかするといっても15分が限界だ。それ以上時間がかかると…」
(´・ω・`) 「警備員が来るって事だね」
('A`)「そういうこと。だからブーンは急いで目的の場所まで行くんだ。あとショボンは…」
(´・ω・`) 「わかってる。あのうるさいのをどうにかしろっていうんだろ。手は打ってあるさ」
ショボンは自分の右ポケットをさすりながら言った。
('A`)「じゃあブーン、合図をくれ。俺がEntrerを押したらセキュリティーシステムは解除される。そしたらミッション開始だ」
( ^ω^)「わかったお。じゃあ…ミッションスタートだお!」
その掛け声を合図に―――
ドクオはEnterキーを押し、ブーンとショボンは屋敷に向かって走り出した。


382 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:04:47.28 ID:DqvL6ShI0
門をくぐると庭が広がっておりその先に屋敷がある。そこまでの道のり、約20メートルほど。その道を二人は走っていた。
( ^ω^)「真正面から入ってよかったのかお?地味なところから入れば…」
(´・ω・`) 「ドクオがシステムを遮断したんだしどっちから入っても一緒さ。第一屋敷への入り口は一つしかないからどっちにしろこっちに回りこむ羽目になってただろうしね」
(;^ω^)「でもこっちには…」
ブーンが何か言おうとしたその瞬間―― 

何か黒い影のようなものが2人がいる方向に凄いスピードで向かってきた。
(´・ω・`) 「ブーンは急いで屋敷のほうへ行って!ここは僕が何とかする!」
( ^ω^)「でもショボンが…」
(´・ω・`) 「大丈夫だって!作戦どおりやるさ。それよりも早く行ったほうがいい!時間、もうないよ」
( ^ω^)「わ、わかったお!でも無茶するのはダメだお」
そう言うとブーンは『ブーン』の体勢で屋敷に向かって走っていった。


383 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:05:07.41 ID:DqvL6ShI0
(´・ω・`) 「無茶するなって…それはこっちの台詞だよ。」
ブーンが走っていった方向を見ずにショボンはつぶやいた。
そして彼は自分の前にいる黒い影――番犬を目にやった。
番犬は吼えることもなくこちらを睨んでいる。
(´・ω・`) (一瞬でも隙を見せたらやられるだろうな…でも!)
彼は右ポケットに手を入れた。
その隙、右手が使えなくなるわずかな瞬間を待ってましたとばかりのように番犬がこちらに飛び掛ってくる。
(´・ω・`) 「甘い!」
番犬がショボンに噛みつくその寸前――
彼は右ポケットからスプレー缶のようなものを取り出し、番犬に向けて吹きかけた。

何かを浴びせられた番犬はクゥーンと小さな声で鳴くとそのままぐったりとしてしまった。
(´・ω・`) 「まさか護身用のスプレーをこんなところで使うとはね…。さてブーンはうまくやってくれるかな?」

384 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:05:36.73 ID:DqvL6ShI0
(;^ω^)「やばいお!急がなくちゃ時間がないお!」
ブーンはあのあと唯一の入り口――あらかじめあけておいた1階の窓のことだが――から屋敷の中に入り階段をかけ上がっていた。
もう忍び込んでいるとは思えないくらい足音が響いていた。だがそんな事はどうでも良かった。
この家の持ち主とその妻は現在この家にいない。海外にいる。
そしてこの屋敷にいるのは一人の少女、ブーンの幼馴染である。
その彼女を喜ばすため、驚かすために犯罪まがいな事をしてまでここにやってきた。
なのにここで失敗するわけにはいかない。
あと50秒…40秒…


( ^ω^)「つ、ついたお」
ブーンは2階一番東、幼馴染の部屋の扉の前にたどりついた。
時計を見ると11時59分49秒と表示されていた。ぎりぎりセーフだ。
もうここまでくればあとは簡単で0時ジャストで扉を開ければいい。ただそれだけ。
そして彼は時計を見ながら開けるタイミングを見計らった。
5…4…3…2…1…今だ!


( ^ω^)「ツン!誕生日おめでtくぁwせdrftgyふじこlp;@:」
勢いよく扉を開け、お祝いの言葉を言いかけたところで頭に何か堅いものがぶつかったかのような衝撃をうけ、そのまま床に崩れ去った。
ξ゚听)ξ「ブーン!?」
薄れゆく意識の中最後に彼が見たのはフライパンをもって驚いた顔をした幼馴染の姿だった。


385 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/02(金) 23:06:10.44 ID:DqvL6ShI0
ξ#゚听)ξ「全くあんたたち一体なにしてんのよ」
幼馴染の少女――ツンが3人と話している時、時計は0時12分を指していた。
(メメ^ω^)「いや、ツンを驚かせようと思って…」
ブーンの頭には包帯が巻かれていた。さっき誰かが忍び込んだと思って扉の裏でフライパンを持って待ち構えてたツンに殴られた傷である。
ξ#゚听)ξ「そのためにこんな犯罪まがいなことやってちゃあ警官が何人いても足りないわよ!警察呼ばなかっただけでもありがたいと思いなさいよ」
('A`)「俺たちだって反省してるからさ」
ξ#゚听)ξ「あんた今日の午後にうちに来てからずっと地下室に隠れてたのね。何ていうか怒りを通り越して飽きれたわ…。そもそも皆で隠れてればよかったのに」
('A`)「ソノテガアッタカ」
(´・ω・`) 「まあ確かにぼくたちも悪かったけどさ、いつも一人で誕生日を淋しくむかえる君がかわいそうだってブーンが君のためを思ってやったんだから許してくれないかな」
ξ////)ξ「ま、まあそこまで言うんなら許してやらないこともないけど…」
ξ゚听)ξ「ただあんたはあの子の治療代は払ってもらいますからね」
(´・ω・`) 「ショボーン」

(メメ^ω^)「まあなにはともあれツン、誕生日おめでとうだお」
('A`)(´・ω・`) 「おめでとう」
ξ////)ξ「あ、ありがとう…」



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