78 「わかんない事あったらここで検索汁+心の部屋+財布落とした」 sage New! 2006/06/01(木) 23:09:44.75 ID:AT7r5SiA0
 とある街角の電柱にもたれかかって泣いているブーンの姿があった。顔といったらもう、涙やら
鼻水やら訳のわからない液体でグチャグチャになっている。
 そんなブーンのもとに偶然通りかかったドクオが、彼の様子に気付き声を掛けた。

('A`;)「おい、ブーンどうしたんだよ。道端で泣いたりなんかして」
( ;ω;)「ドクオ……僕、財布落としちゃったんだお」
('A`)「マジか……。そうだ、いいとこあるぞ、ついてこいよ」
( ;ω;)「お?」

 ブーンがドクオに連れられてやってきた場所は、今まで見たことのないような近代的な雰囲気
が漂う建物だった。交番にでも連れて行くのかと思ったのだが、一体これはどういうことだろうか。
もしや、財布屋なのだろうか。そんなことを考えていた時、目に飛び込んできた看板に書いてあった
文字を何気なく口に出して読んでしまった。

( ´ω`)「わかんない事あったらここで検索汁?」
('A`)「あぁ、そうさ。ここのデータベースで検索をするとたちまち何でも分かっちゃうって評判なんだぜ」
( ´ω`)「……ドクオ、残念ながら僕は宗教に入る気は」
('A`;)「ちげーよ。いいから行こーぜ」

 引きずられるようにして入ったその建物の内装を言い表すのなら、洒落た喫茶店と言う感じだろうか。
木目調の家具や、鼻先をかすめるコーヒーの匂いが喫茶店を連想させたのか。それともどこか現実から
離れたようなこの落ち着いた客層がそう感じさせたのだろうか。とにかく、もっとパソコンが沢山あって
ケーブルがビッシリ張り巡らされてる、というイメージがあった分、少し拍子抜けしたというのが本音だ。

79 「わかんない事あったらここで検索汁+心の部屋+財布落とした」 sage New! 2006/06/01(木) 23:10:16.17 ID:AT7r5SiA0
('A`)「スイマセン、検索したいんですけど」
(´・ω・`)「あぁ、お疲れ様」
('A`)「いえ、じゃあ借ります」

 ドクオはプレートの付いた鍵を受付の男から受け取ると、ブーンに目配せをして何処かに歩いていった。
見失わないよう、ブーンもそれに従う。

('A`)「ほら、ここだ」
( ^ω^)「ここだ、っていわれても……」

 そこには確かにイスが2つばかりあったが、どちらも目の前の壁の方を向いていて、テーブルなど
全く見当たらない。ただ余ったイスを置いた、という印象だ。

('A`)「パネル開けるからちょっと下がってろ」
(;^ω^)「パネル?」

 そう言ってドクオが壁に向かって先ほどの鍵を差込み一回転させると、その木目をなぞるように
次々と眩しい水色のラインが浮かび上がってきた。そして枕くらいの大きさの長方形の形に一通り
行渡ったかと思うと、真ん中に新しいラインが真っ直ぐと引かれ、そして長方形に切り取られた壁が
左右にスライドした。中から現れたのはどうやらディスプレーのようだった。

( ^ω^)「めちゃくちゃかっけぇお……」
('A`)「ほら、さっさと検索して帰るぞ」

 そう言ってドクオは椅子に座り、なにやらディスプレーにタッチして操作をし始めた。ハイテクなのは
理解したが、それにしてもこんなことで見つかるのだろうか。それにこんなことで見つかったのなら警察
は要らないのではないだろうか。

80 「わかんない事あったらここで検索汁+心の部屋+財布落とした」 sage New! 2006/06/01(木) 23:10:38.05 ID:AT7r5SiA0
('A`)「見つかったぞ」
(;^ω^)「HAEEEEEEEE!」
('A`)「お前の尻ポケットだ。死ね」
( ^ω^)「お?」

 そう言われて半信半疑でポケットを探るブーン。と、確かにそこには四角くて硬い感触が感じられた。

(;^ω^)「アッー! そういえば右のポケットが破れてたから左に入れ替えたんだお。てっきりそのまま
落ちたのかと思ってたお……」
('A`)「まぁ、見つかってよかったな」
( ^ω^)「よかったお。ところで……これっていくら位するんだお?」
('A`)「なぁに、金なんかいらないさ。ねぇ店長?」

 ドクオがそう呼びかけた先には、ついさっき受付で見かけた人物が立っていた。

(´・ω・`)「そう、僕は代わりにキミの心の部屋のスペースをね。ちょっとばかり拝借させてもらうだけさ」
( ^ω^)「心の……部屋?」
(´・ω・`)「とりあえずこのクッキーを食べてくれれば御代は要らないよ。勿論毒なんて入っちゃ居ないさ」
(*^ω^)「そいつは助かるお!」

 ブーンは差し出されたクッキーを口に放り込み嚥下すると、笑顔で2人に手を振りその場を後にした。

82 「わかんない事あったらここで検索汁+心の部屋+財布落とした」 sage New! 2006/06/01(木) 23:11:06.73 ID:AT7r5SiA0
(´・ω・`)「はい、じゃあこれは今回の分」
('A`)「あ、スイマセン」

 差し出された封筒を見ながらドクオはなにやら物思いに耽る。そしてしばらくして店長に話しかけた。

('A`)「順調ですね」
(´・ω・`)「あぁ、順調さ。いずれ私達がばら撒いたあのマイクロチップが全世界を把握するデータベース
の中継点となる。」
('A`)「この調子でデータベースと資金を増やし続ければクッキーもいずれ全国のスーパーマーケットに
並ぶようになって……想像しただけで震える」
(´・ω・`)「まさか彼らもナノカプセルに入るほどのチップがこの世にあるとは思わないだろうしな」
('A`)「ええ。それじゃあちょっとテストプレイしてきます」
(´・ω・`)「あぁ、もうそんな時間か。よろしく」


( ^ω^)「おっ財布、おっ財布、おっおっ――」
(  ω )「検索開始。……該当件数0。この地区には存在しません」
( ^ω^)「おっ〜♪ おっ財布、おっ財布、おっおっおっ〜♪」



−終−

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