959 ( ^ω^)達が異形なようです。 New! 2006/06/04(日) 21:01:49.73 ID:xKzXMuw0O
一体何が起こったのか、この事件を明確に把握できた者は居ない。

――光のカーテンが人々を覆い、それが離れた時、世界は一変したのだ。

ある者は、身体中が堅い殻に包まれた。
ある者は、筋肉が変化し、黒光りする鋼となった。
ある者は、手足が増え、人蜘蛛となった。

――そして多種多様に変化する人類全てに共通する思考が生まれた。

【他種を滅ぼせ】

それが新たな世界、唯一のルール。
自分以外の者の殲滅。
その果てがどうなるかわからない程、人々は狂ってしまっていた。


960 ( ^ω^)達が異形なようです。 New! 2006/06/04(日) 21:03:53.54 ID:xKzXMuw0O
瓦礫と化したかつてのビル街。
そこに並んで座る一組の男女。
夕日に照らされ、語り合う二人は幸せそうに笑っていた。

やがて男がズボンのお尻を叩きながら、立ち上がった。

――ずいぶん喋ったお。

――そうね。

女もまた立ち上がり、男と向かい合った。
一陣の風が吹き、女の髪を揺らす。
一筋の涙が零れ、地面に染みを作る。

( ^ω^)「……そろそろ始めるかお」

おもむろ男が服を脱ぎ始めた。
服が風に飛ばされて行くのも気にも留めない。
男の身体が一糸纏わぬ姿になった。
人と呼ぶにはあまりにも異形な性器が、天に向かい屹立している。
幾重にも伸びた硬質の肉剣。


962 ( ^ω^)達が異形なようです。 New! 2006/06/04(日) 21:05:00.84 ID:xKzXMuw0O
ξ゚听)ξ「……立派ね」

女も身体を包んでいた衣類を脱いだ。
染み一つ無い白い肌。
すらりと伸びた手足。
乳房は小振りだが、くびれた腰に丸みを帯びた尻は、成熟した女性を表わしている。
徐々に女の身体が透けていき、背後の風景が男の目に入り込む。
男が感嘆の息を吐いた。

――美しいお……。

二人は幾度となくお互いの裸体を見ていたが、今からする事は性交ではなく。
――殺し合いなのだ。

( ^ω^)「愛していたお、ツン」
ξ゚听)ξ「私もよ、内藤」

愛し合う二人だが、本能には勝てはしなかった。
先程までの感傷は消え、頭にある事はただ一つ。

【他種を滅ぼせ】

終わり


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