479 サメ New! 2006/06/01(木) 19:31:35.47 ID:AT7r5SiA0
( ^ω^)「まーた変なモン買っちゃったお……」

 ブーンがたまたまあった怪しいオジサンからつい買ってしまったこの液体。なんでも、振りか
けた物体の時間が逆行して在りし日の姿へとそれを変えてしまうというのだ。

(;^ω^)「なんでこんなうそ臭いもの買ったんだか……とりあえず適当にかけてみるお」

 そう呟いて目の前にあったティッシュに振りかけてみると、驚くことにティッシュがうねうねと
踊り出しアメーバのように段々とその形を変化させ、ついには小さな苗木になってしまった。

( ^ω^)「……なんかいろいろツッコミどころはあるけどコイツはヤバイお……」

 そんなことがあった翌日、ブーンはツンとドクオと共にダラダラといつものように遊んでいた。
しかし、遊びながらも頭の中はこの液体の活用方法ばかりで、会話をしても上の空といった
感じだった。自慢したい。この2人のうらやましがる顔が見たい。そんな歪んだ思考までもが
ブーンの頭の中に渦巻いていた。

( ^ω^)「フヒ、フヒヒヒ……」
('A`)「気持ち悪ぃなぁ……なんだよ、涎垂れてるぞ」
( ^ω^)「実は昨日何でも元通りになる液体ってのを買ったんだお」
('A`)「はいはい、消費者センターに相談しに行こうか」
( ^ω^)「ふふふ、そんな口を聞いてられるのも今のうちだお……」
ξ゚听)ξ「ねぇそんなことより晩御飯どうするの?」
('A`)「あぁ、うちに食べにこいよ。昨日買出ししたけど食べきれそうにないんだ」
ξ゚听)ξ「じゃあお邪魔しちゃおうかな〜」
( ^ω^)「例えば、ほら、この使い古しの消しゴムがコレをかけると新品に……あれ? みんな?」

ブーンを置き去りにして2人がドクオの家に向かうのを、追いかけながらもブーンはどう
したらこの素晴らしさが伝えられるかを考えていた。

480 サメ New! 2006/06/01(木) 19:32:08.45 ID:AT7r5SiA0
ξ゚听)ξ「ドクオシェフ、今日のメニューは何かしら?」
('A`)「まぁ、そうだな。フカヒレのスープとかどうだ」
ξ゚听)ξ「フカヒレ!? フカヒレってすごい高いんじゃないの?」
('A`)「え? まあな。フカヒレはそりゃ高ぇよ」
ξ゚听)ξ「すごーい! ね、ブーン凄いね!」
( ^ω^)「えぇ、まったくその通りですね、マダム」

 平静を装いながらもブーンはツンの注目の先がドクオに向いていることに腹を立てていた。
なんとかしてツンの目をこちらに向けることは出来ないだろうか。そう思ってブーンは計画性も
無くとりあえずツンに例の液体をかけてみることにした。

( ^ω^)(きっとお肌がピチピチになったりして喜ぶに違いないお……)
ξ゚听)ξ「え? 何、冷たい……。……あれ? なんか、体が……」
(;^ω^)「……お?」

 ブーンはまるでCGを見ているようなそんな錯覚を覚えた。ツンの体がみるみる縮んで
いっているのである。だがその事実に気付いたところで既に為す術などあるはずも無く、
ブーンはただ黙って縮み行くツンの姿を見つめていた。ようやくそれがおさまった頃には、
ツンの体は最早ギリギリ小学生位の丈程しかなくなっていた。

ξ゚−゚)ξ「……」
(;^ω^)「おっおっお……つ、ツン?」
ξ*゚ー゚)ξ「うん! ツンだよ! おにいちゃんは、ブーンおにいちゃん!」
(*^ω^)「……」
ξ*゚听)ξ「おなかすいたー!」

 予期せぬロリの出現にそこらへんを転がりまわりたいブーンであったが、何とかしてコレ
をごまかさないことには恐らく自分は青い制服の人に連れて行かれてしまうと、必死に頭
を回転させた。とりあえずこの場を、ドクオをごまかさない事には――

481 サメ New! 2006/06/01(木) 19:32:33.04 ID:AT7r5SiA0
ξ*゚听)ξ「ごはんー! ごはんたべたいー」
(*^ω^)「お、お、おにいさん今、ソ、ソーセージしか持ってないけど、そ、そ、そ、それで良かったら……」
(;^ω^)「――なんて言ってる場合じゃないお! 」
('A`)「まったくだな」
(;^ω^)「ドクオ!」
('A`)「ブーン、自首しろ。今ならまだ間に合うぞ」
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待つお! この子はツンであって決して僕が何処かから――」
('A`)「あぁ、見てたよ。全然理解できなかったけど、とりあえずツンが居なくなった以上、ツン
の持ち物を持ってるお前は重要参考人ってわけだ。とりあえず今通報してくる」
(#^ω^)「な、なんて奴だお……」

 怒りが燃え上がったブーンはドクオが手に持っていたフカヒレのスープを奪ってテーブルに
置くと、ポケットから例の液体を取り出して中身をすべてぶちまけた。

('A`;)「あー! やめろって! 何すんだよ!」
(;^ω^)「フヒヒ、これでみんな滅茶苦茶になっちまえばいいお!」

 これであっという間にサメが召喚されてこの家はもう滅茶苦茶。きっとその所為で事件も滅
茶苦茶でぐちゃぐちゃになってしまう。そんな訳の分からない方向に興奮していたブーンの目
の前で変化したスープの中身は、大きくなるどころか逆に小さくなっていき、小さな緑色の粒
へと変身するとそれ以上変化するようすが見られなくなった。

(;^ω^)「……お? おかしいお。なんでサメが出てこないんだお」
('A`;)「あ、あぁ……見るな……」
( ^ω^)「これは……豆? ……ドクオ、まさかこれ……」
('A`)「……あ、あぁ……あ〜……」
(;´ω`)「ど、ドクオ……なんか……ごめんお」
ξ*゚听)ξ「おなかすいたー!」

 それは、ちょっと遅めの春雨が降っている日の事だった。    −終−

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