263 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:49:30.55 ID:+6KT6Gz70
時は晩秋。
あと少しで冬に入るというところ。
俺は、今日も何もすることなく、只々自分の部屋で時を過ごす。

('A`)「暇だ・・・」


高さ1mほどの積みゲーも全て消化し、本棚にギッシリとある漫画も完全に読破した。
期待していた新作ゲームは風の噂によると“糞”らしい。
とりあえず部屋をすっきりさせるために、いらない物を売りに行こうにも外は寒い。

正直、何もする気が起きない。

('A`)「ハァ・・・・・・」

いたずらに覚醒し続けるのもあれだ、苦しいというか何というか。
時間は2時をまわったころ。
少しばかり寝てしまおう。

265 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:50:23.48 ID:+6KT6Gz70
ドタドタドタドタ

下の階が騒がしい。
気にせず眠りにつk
( ^ω^)「ドクオいるかおーーーーーーーーーー!!!!!!?」

(#'A`)「だーーーーーーーーーーっ!! やかましいわオンドゥルルルアアアァァァ!!!!!!」

( ;゚ω゚)「ぐあぽうぃうえkじゃsdしうh!!!!!!!111!11」

ブーンのみぞおちにドクオの正拳突きが放たれた!
効果は抜群だ!
ブーンは倒れた!
ドクオは戦いに勝r
(#^ω^)「ってちょっと待つおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

267 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:51:28.05 ID:+6KT6Gz70
('A`)「人が昼寝をしようとしているときにいったい何の用だ」

( ^ω^)「これ見るお」

そう言うとブーンは、大き目の買い物袋をドサリと置いた。
大量の薩摩芋。A lot of sweet potato、である。

( ^ω^)「一人じゃとても食べきれないお。ドクオにおすそ分けだお」

('A`)「悪ぃな」

庭には大量の落ち葉や枯れ枝がある。
ちょうどいいので、外で焚き火をしながら芋を焼くことにした。

268 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:53:00.59 ID:+6KT6Gz70
外に出ると、ツンやショボンもいた。
後からクーも駆けつけるという。

(´・ω・`)「ようこそ、出張バーb」

ξ゚听)ξ「暇そうね、ドクオ」

('A`)「うるへー」

(´・ω・`)「・・・・・・・・・」

周りを見ると、ブーンが向こうで何やら忙しそうにしている。

( ^ω^)「おまいら葉っぱ集め手伝うお。働かざるものなんとやらだお」

ξ゚听)ξ「仕方ないわ、手伝ってあげる。べっ、別に早く食べたいわけじゃないんだから!」

(´・ω・`)「レッツ、くそm」

('A`)「おう、今いくわ」

(´・ω・`)ショボーン

269 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:55:02.85 ID:+6KT6Gz70
かき集めた落ち葉や枯葉に火をつけるところでクーが登場。
なんだろう、いつもより可愛く見える。

('A`)(ちょwwwwwwwwwクーミニスカktkrwwwwwwwwwwww)

いつもは性格のようにかっこよく服装を決めているクーが、
ミニスカをはいてるのは、俺には大きな衝撃だった。

(´・ω・`)「ようこそ、しゅtt」

川 ゚ -゚)「遅れてすまない」

( ^ω^)「おいすー」

270 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:56:27.90 ID:+6KT6Gz70
ξ゚听)ξ「全然大丈夫よ。今火をつけたところ」

川 ゚ -゚)「そうか。しかし外で芋を焼くのは風流なことだな」

( ^ω^)「だおだお」

皆が他愛もない話をしている間、俺の目はクーに釘付けだった。

ξ゚听)ξ「ドクオ? どしたの?」

('A`)「・・・・・・・・・」

ξ゚听)ξ「ドクオ、おーい・・・・・・」

('∀`,,)ポッ

ξ;゚听)ξ「ドクオテラキモスwwwwwwww」

271 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 00:58:51.78 ID:+6KT6Gz70
実はクーが好きだ。
今めったに見れないクーの姿を見ている。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

('A`)「うわっ!」

川 ゚ -゚)「そんなに驚くとは。心外だな。ところでどうした?顔が赤いぞ?」

('A`)「な・・・何でもねぇよ」

思わずそっけない返事をしてしまった。
本当は何でもなくない。
可愛いと思ってた。
ただ、皆がいる前でこんな小恥ずかしいことは言えない。

・・・・・・・・・・・・これがツンデレってやつの気持ちか?

272 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:00:45.23 ID:+6KT6Gz70
( ^ω^)「出来上がりだおー」

ブーンが棒切れを落ち葉の山に刺して、芋の焼け具合を見ていた。
薩摩芋の皮のコゲと、中まで火が通っているような甘い香りが漂ってくる。
軍手をはめたブーンが手早く芋を取り出している。

( ^ω^)「はいだお、ツン」

ξ゚听)ξ「アンタに貰ってもうれしくないんだからね!早く食べたいだけなんだから・・・」

・・・・・・・・・・さっきと言ってることが矛盾してないか、ツン。

( ^ω^)「はいだお、クー・・・あれ、2つ?」

川 ゚ -゚)「ああ、ドクオの分だ」

( ^ω^)「おk、把握した」

('A`)「へ?」

273 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:01:58.92 ID:+6KT6Gz70
全く予想していなかった。
クーが自分の分まで取ってくれる。
そしてクーは、こっちに向かって歩いてくる。

川 ゚ -゚)「ドクオ、君の分だ」

('A`)「あ、ああ。dクス」

そしてクーはドクオの隣にちょこんと座った。
ボディーソープのいい匂いが寒空の冷たい風に乗って流れてきた。
可愛い。

ドクオは隣にいるクーに目を向けることができない。
好きな人を隣にして、緊張。

川 ゚ -゚)「どうしたんだ、ドクオ。顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃないのか?」

('A`)「何でもないって・・・」

しかしクーは心配している。

川 ゚ -゚)「ブーン、ドクオの体調が悪そうだ。一旦部屋に連れて行く」

( ^ω^)「おk、把(ry」

(;'A`)「ちょwwwwww待てwwwwwwww」

274 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:03:15.46 ID:+6KT6Gz70
今ここ――俺の部屋に、部屋の主と女が一人。
部屋には最初に紹介したように、1mの積みゲー。本棚ぎっしりの漫画。
一般女性には一発で引かれる、一種独特の雰囲気をかもし出している。

しかしクーは、ある意味強い女性だった。

異界の入口である俺の部屋に難なく足を踏み入れ、
さらに俺の様々な種類の匂いと体液が染み込んだフトンを引っ張り出した。

川 ゚ -゚)「ほら、寝るんだ。」

言われるがまま、フトンの中にもぐりこんだ。
そしてクーは・・・・・・額を額にくっつける。

(;'A`)「えfkjばsdふぃうhわえfりh!!!???!?!?」

川 ゚ -゚)「ふむ、やはり熱があるようだな。待ってろ、氷嚢を持ってくる」

クーが部屋を出て行ってしまう。
待って、待ってくれ。

('A`)「待ってくれ」

275 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:05:03.23 ID:+6KT6Gz70
思わず声が出た。
クーが振り向く。
そして俺のの横に座る。

('∀`)(うはwwwwwwwパンチラktkrwwwwwwwwww)

川 ゚ -゚)「どうした?」

('A`)「ん゛っ、ん゛っ! ・・・・・・いや、もう少しここにいて欲しい」

下心が半分を占めているのは明らかだが、クーにいて欲しいのは本当だった。

川 ゚ -゚)「分かった。君のためにもう少し居よう」

276 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:06:53.03 ID:+6KT6Gz70
川 ゚ -゚)「そういえば君の部屋に来るのは初めてだったな」

('A`)「ああ、そうだな・・・」

しばし沈黙が流れる。
なんだろう・・・。
すごく何かを言いたい、何かをしゃべりたいのに、何も言い出せない。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

クーの声が聞こえた。

川 ゚ -゚)「やっぱり君は変だ。一体何があったんだ?」

・・・・・・ここでぶっちゃければどんなに楽だろう。
けど、友達という関係を壊してしまうのではないか・・・。

('A`)「そ、それは・・・・・・」

277 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:08:15.11 ID:+6KT6Gz70
結局俺は何も言えなかった。
俺は友達の地位であることを欲した。

ヘタレだ。

川 ゚ -゚)「調子はどうだ?」

('A`)「だいぶ良くなった。スマンな・・・」

川 ゚ -゚)「構わないさ。さて、戻ろうか。早くしないと残りが食べられてしまう」

('∀`)「・・・・・・そうだなw」

俺は再びブーン達のもとに戻った。

278 お題:焼き芋 New! 2006/06/01(木) 01:10:57.46 ID:+6KT6Gz70
クーとは最後まで本心を明らかにすることはなかった。
あのときの記憶は甘みとほろ苦さ漂う思い出になるだろう。

でも後悔はしていない。
こんなこと言うと非難されるかも知れないが、俺はコレでよかったと思ってる。


勝手なことかもしれないが、二言三言言わせてくれ。

ありがとう、クー。
俺に恋心を抱かせてくれて。

ありがとう、クー。
季節外れの春を運んでくれて。

ありがとう、クー。
君が俺の片思いの人であってくれて。


ありがとう、本当にありがとう。

クー。


―――――了


(´・ω・`)「お前ら俺をほっときやがって。ぶち殺すぞ」

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