871 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:36:42.78 ID:uVIuznOPO
今日は女のAAだけの飲み会。
男連中が居ない事もあり、恋愛話や下品な猥談も飛び出している模様。

(*゚ー゚)「それより、最近ツンの影薄くない?」

ξ;゚听)ξ「……え」

話が一段落した時、不意にしぃが口を開いた。
それは、丁度ツンが最近気になっていた事でもある。

川 ゚ -゚)「確かに。
貞子が来てから、ペニサスも新しいキャラを確立したしな」

川//川「……わ、私は、そんな事」
('、`#川「……だまらっしゃい」

貞子が言い終わる前にペニサスの拳骨が貞子の頭に炸裂した。
これが新しい彼女の『キャラ』らしい。


872 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:37:30.98 ID:uVIuznOPO
从'ー'从「あれれ〜?ツンさんどうしたんですか〜?」

とぼけたキャラで人気が上がっている渡辺が、俯いていたツンに声を掛ける。

ξ;゚听)ξ「……え?
ああ、何でもないわよ!
……あ、しぃだって影薄いじゃない!」

(;゚ー゚)「へへ、バレたか」

ペロ、と舌を出すしぃ。
話はここで終わり、皆はまた新しい話題に花を咲かせた。

ξ )ξ「……」


874 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:40:21.70 ID:uVIuznOPO
飲み会の帰り道。

(*゚ー゚)「んー、ちょっと飲み過ぎちゃったかな」

夜風がひんやりとしぃの火照った頬を冷やす。
辺りは街灯も無く、かなり心細いが彼女が深夜の住宅地を恐がる様子は無い。
この道はいつも通っているのだ。

(*゚ー゚)「ふふ、ツンのあの顔ったら」

思い出し笑いを浮かべ、夜空を見上げた。

――何故、自分はツンにあんな事を言ってしまったんだろう。
プライドの高い彼女が、気分を悪くしないわけがないのに。

自分の中の暗い願望にしぃは気付いていない。
彼女は自分が先ほど呟いた通り、女王様のようなツンの屈辱に満ちた顔が見たかったのだ。


875 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:42:45.88 ID:uVIuznOPO
家まであと少しという所で、しぃは異変に気付いた。
――誰かが付いて来ている。
しぃが止まれば、背後の気配も止まり、足を速めれば自分の足音とは別の足音が聞こえる。

――曲がり角で脅かしちゃえ。

酔いも手伝っての大胆な発想だが、彼女は痴漢くらいなら撃退する自信があった。
曲がった所で息を潜め、足早に曲がり角近に付いてくる不審者に……。

『わっ!!』

深夜の住宅地に二人分の大声が響き渡る。
しぃが驚きで仰け反り、不審者をまじまじと眺める。
まさか向うの方が自分を驚かせてくるとは。
しかも、この人だとは。


876 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:44:25.48 ID:uVIuznOPO
(;゚ー゚)「ちょっとやめてよ〜。
普通に驚いたじゃな……い?」

しぃは茫然と、自分の腹に深々と刺さったナイフを見つめた。
何が起こったのか、理解できないが腹を襲う激痛は、紛れもなく現実。
数瞬後、ナイフを抜かれた彼女は、地面に横たわり、刺された腹を押さえた。
見る間に腹部が血に染まってゆく。

(*;‐;)「ちょ、え?何で……?」


877 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:45:19.73 ID:uVIuznOPO
――助けを呼ばなきゃ。
救急車も。
警察は?
それより何より。

しぃの髪が掴まれ、白い喉元が不審者に晒された。

――大声で叫ばなきゃ。

( ;ー;)「ヒューー、ヒューー、ゴボゴボガボ、ヒューー」

ナイフでしぃの首を切り裂いた不審者は、住宅地の闇に紛れ、消えた。

しぃは腹の痛みで動くこともままならず、呼吸も出来なくなった為か、程なく死んだ。


878 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:46:54.47 ID:uVIuznOPO
飲み会からの帰り道。

从*'ー'从「あれれ〜?地面がぐにゃぐにゃするよぉ〜?」

ぐにゃぐにゃしているのは地面では無く、渡辺の足。
足の向かうまま、気の向くまま、あっちへふらふらこっちへふらふら。
危なっかしい事この上ない。

電信柱にぶつかれば、

从'ー'从「あら〜、電信柱さん失礼あそばせ〜」

塀に猫が歩いていれば、

从'ー'从「夜のお散歩はどうですかにゃ〜?」


879 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:48:22.80 ID:uVIuznOPO
つまり、ご機嫌モード。
遂には地面に寝っ転がり、お休みなさいと言う始末。
从*'ー'从「あれれ〜?
こんな所でどうしたんですか〜?」

渡辺の問い掛けは、自分の顔を覗き込む者に対してのものだ。
その人からの返事は無い。
その人の顔が渡辺の視界から消えた次の瞬間、渡辺の頭はコンクリブロックで砕けた。
頭を失った体だけがトカゲの尻尾のように動き、次第に緩慢になっていく。
渡辺の体が完全に静止した事を確認して、その人は去った。


880 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:50:23.38 ID:uVIuznOPO
飲み会からの帰り道。

川;д川「伊藤さん、気持ち悪いです……」
('、`#川「調子こいて飲み過ぎだっつーの。
……ほら、吐けば楽になるわよ」

弱いのに無理をして酒を飲んでいた貞子は、案の定伊藤に助けを求めた。

('、`#川「ほら、ここなら人は来ないし、ちゃっちゃと吐く!」

二人が立ち寄ったのは、帰り道の途中にある公園。
貞子は手頃な茂みに飛び込み、盛大に吐き出した。

('、`#川「まったくもう、貰いゲロしちゃうじゃない……」

そういいながらも伊藤は貞子の背中をさすってやる。

881 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:51:27.49 ID:uVIuznOPO
川;д川「……すみません」
('、`#川「謝る暇があったら……」

吐きなさい、と言おうとしたが、その必要はないようだ。
貞子は再び吐いた。

('、`*川「ん?」

ふと気配を感じ、後ろを振り向いた伊藤。

茂みが音を立てた。
何者かが姿を現わした。
何かを振り上げた。
何かが頭に当たった。

伊藤には全てがスローモーションに感じられた。

(;、;川「――っ!?」

頭を押さえ倒れた伊藤に降り注ぐ打撃の嵐。
貞子は突然の出来事に驚き腰を抜かし、後ずさる。


882 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:52:25.17 ID:uVIuznOPO
(;、;川「貞子っ!!逃げてっ!!」

そう言われても、貞子は身動き一つ出来ない。
伊藤を殴る音が、固い物を叩く音から、液体を叩く音に変わってゆく。
伊藤が赤黒い固まりになるまで、貞子は目を背く事も出来ず、逃げる事も出来なかった。

川;д川「わ、私は人を呪う力を持っています……」


883 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:53:25.39 ID:uVIuznOPO
それが貞子の方に近付いて来る者への唯一の抵抗だった。
何者かが、足を止める。
凶器からは、伊藤の血が滴り落ちていた。

川;д川「い、一週間後に、あ、あなたは、死にますよ」

――お願いします、神様。
「その前に、あんたが死ね」

振り上げられる凶器。
――神など、居ないのだ。

885 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:55:11.09 ID:uVIuznOPO
伊藤と貞子の惨劇の少し後、クーが公園を訪れた。
まだ、血の匂いも生々しく残っている。

皆を虐殺した犯人はフードを被り、街灯の下に立っていた。
手にはバール。
服には血がべっとりとこびり付いていた。

川 ゚ -゚)「……よくもこんな事が出来たものだな」

無表情に、無感情な声。
だが、その瞳は涙で潤み、バットを持つ手は――恐怖か怒りの為か、恐らく後者――ぶるぶると震えている。

川 ゚ -゚)「そんなにも自分が一番のままで居たかったのか?
それとも私達が憎かったのか?
……頼む。
答えてくれ――ツン」


887 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:56:26.18 ID:uVIuznOPO
あの話題が出た時から、クーは彼女の異変に気付いていた。
引きつっていた笑顔。
瞳に宿った憎悪の炎。

クーは家に帰った後、嫌な予感がして、しぃの家に向かった時に、しぃの変わり果てた姿を見た。
それからこの公園に来るまでに、頭の砕けた渡辺を見た。
きっと、この公園にも死体があるのだろう。

川 ゚ -゚)「――ツン!どうしてだ!?
何とか言え!!」

何も語ろうとしないツンに対して、クーが怒鳴り声をあげた。
ツンは、ゆっくりと、無言でフードを脱いでゆく。

(*゚∀゚)「……ツンって誰さ?アヒャヒャ
俺はつーだよアヒャ」

現われたのは、見知らぬ女の顔。


888 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 00:59:23.16 ID:uVIuznOPO
川;゚ -゚)「……は?」

珍しいクーの驚愕の表情。
無理もない。

(*゚∀゚)「アヒャヒャ、女のAAの飲み会?
じゃあ俺も誘うべきだったなアヒャヒャ、アヒャ。
だから殺した。
アーヒャヒャヒャ!」

――何が可笑しいのか、いや、この女は頭がおかしい。
こんな下らない理由に、皆は死ななければならなかったのか。
許せない。

混乱から、怒りへ。

川#゚ -゚)「貴様あぁぁぁぁぁ!!!!……ぐっ!?」

クーの背中に走る衝撃。
恐る恐る振り向くとそこには、――親友が居た。

なるほど、一人じゃ四人は殺せないな……。


889 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 01:00:12.96 ID:uVIuznOPO
それがクーの最後の瞬間の意識。
ツンのナイフは正確に心臓を貫いていたのだ。

(*゚∀゚)「……終わったなアヒャ」

んーん、と背筋を伸ばすつー。
手に持ったバールは離さない。

ξ゚听)ξ「……まだ、終わってないでしょ?」

クーの手からバットを奪い取るツン。
まだ、ツンの目の前に女のAAは残っている。
ツンは、自分だけの世界が欲しいのだ。
つーにしても、ツンを生かして置いたのは利害が一致していただけに過ぎない。
ツンも、つーを飲み会に誘わなかったのだ。

街灯の頼りない光が、二人の夜叉を照らしていた。


891 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 01:01:44.54 ID:uVIuznOPO
( ^ω^)「……という漫画を考えたんだけど、どうかお?」

テーブルを囲み、二人の男が雑談をしていた。
目指すは未来のプロ漫画家だ。

('A`)「んー、なんかありがちじゃね?」

相棒のドクオが紫煙を吐き出す。
銘柄は、キャメル。
かなりのヘビースモーカーなのだろう。
部屋の中は火事の様だ。

(;^ω^)「あ、ありがちかお……」

(*'A`)「ま、そこをベースに考え直そうぜ。
飲みながらな」

馬鹿でかい焼酎のビンが机に盛大な音を立てて鎮座した。
男だけの酒宴会……なんて不毛な。


892 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 01:02:58.62 ID:uVIuznOPO
グラスに焼酎を注ぎながら、ドクオが口を開いた。

('A`)「ラストを考え直そうぜ。
今時中途半端で終わっちゃいけねぇよ」

三十秒ほど考えた末に、内藤が興奮した様子で閃いたアイディアを語り始めた。

(*^ω^)「こういうのはどうかお!?
戦いは相討ちに終わり、死に瀕した女が、最後に携帯を取出し、愛する男に電話をする。
でも、電話には誰も出ず、女は絶望のまま死ぬ!」

部屋を歩き周りながら、嬉々とした様子の内藤。
そんな内藤に、ドクオは冷や水を浴びせ掛けた。


893 ツンの逆襲 New! 2006/05/31(水) 01:03:46.64 ID:uVIuznOPO
(;'A`)「……何で男は電話に出なかったんだよ?」

冷静な突っ込みは、興奮した内藤を苛立たせる。

(#^ω^)「知るか!
ごちゃごちゃ言うんなら、自分で考えるお!」

('A´#)「んだと!
てめーの訳分からん話よりいいもん作れるわ!」

醜い取っ組み合いの喧嘩を始めた二人。
それを止める様に鳴り響く内藤の携帯電話だったが、その音は小さすぎて、喧嘩が終わるまでその着信メロディが、二人に気付かれる事は無かった。

終わり


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