826 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/05/23(火) 20:24:52.66 ID:yA5ztUFEO
黒いマントを羽織った死神、内藤は川原に座り河川敷を眺めながら、昼食をとる所だった。
陽光は暖かく、風もさわやかで、遠方では子供達が野球に夢中。
幸せな風景に内藤の顔も思わずほころぶ。
それに今日の昼食は、卵のたっぷり入ったサンドイッチにコーヒー牛乳。
これは内藤の好物のメニューだった。

(*^ω^)「フフーン♪フン♪」

鼻歌混じりに自分の弁当を膝の上に広げる内藤。
しかし、幸せ気分は一瞬でぶち壊された。


827 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/05/23(火) 20:25:36.93 ID:yA5ztUFEO
(;゚ω゚)「……」

あまりの衝撃で言葉も出ない。
内藤の胃の中に収まる筈のサンドイッチに、野球のボールが収まっているとは。

「悪い、黒いおっさん!」

野球のユニフォームに身を包んだ男の子達が数人、内藤の方に向かう。

(#^ω^)「おっさんとはなんだお!
大体、人の弁当をくちゃくちゃにしておいて、謝り方がなってないお!」

怒りをあらわにする内藤だが、哀しいかなそのとぼけた顔からは、怒りがあまり伝わらないようだ。

「まぁまぁ、怒んなよ、おっさん。
俺らの弁当わけてやっからさ」


828 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/05/23(火) 20:27:31.72 ID:yA5ztUFEO
バットを担いだリーダー格の少年が、仲間を大声で呼ぶと、たちまち内藤を囲むように人集りができた。
初夏に黒いマントを着た変人に、子供達はやけに優しい。

(;^ω^)「いや、別に構わないでくれお。
僕は我慢するお」

不穏な空気を感じ、慌てて遠慮する内藤の目の前に、子供達の笑い声と共に、どんどん即席幕の内が出来上がってゆく。
かなりのボリュームだ。
子供達の笑顔が残酷に眩しい。

「おぉー!すげぇ豪華じゃん!
おっさん、食えよ!」

(;^ω^)「い、いただきますお」


829 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/05/23(火) 20:28:27.31 ID:yA5ztUFEO
子供達と死神の食事会が始まった。
いつも食事は一人だった内藤。
子供達に囲まれて食べる山盛りの幕の内は、一人一人の母の味がした。

「おっさん、野球やろうぜ!」

内藤が弁当を食べ終わる頃合いを見て、子供達が立ち上がった。
すでに手には各々野球の道具を持っている。

(;^ω^)「ちょ、食ってすぐの運動はきついお」

ごねる内藤の手を引っ張り、無理矢理野球の輪に入れる子供達。

( ^ω^)「行くお、レフトー!」

「そっちはライトだよ、おっさん!」

何時の間にか内藤もノリノリで練習に参加している。
孤独な死神にも、こういう日が有ってもいいだろう。

――なぜ自分の姿が子供達に見えたのか。
その理由に、内藤は気付かない振りをしていた。

続く


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