265 石化して苦しむこととなった少女達 注:未完 New! 2006/05/24(水) 20:06:59.50 ID:IIj7ddtP0
それじゃ投下


川::;−;)「お・・・父さ・・・・・・ん、助・・け・・・・・・て・・・・・・!!」

少女は首から下が固くなっていた。

ただ単に筋ジストロフィーなどの難病で筋肉が萎縮し、動かせないとゆうわけではない。

文字通り、石のように『固く』なっていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

時は20XX年

世界各地で少女ばかりが石になるという奇妙な現象がおこっていた。

ここ、日本もまた、例外ではなかった。


267 石化して苦しむこととなった少女達 注:未完 New! 2006/05/24(水) 20:08:21.46 ID:IIj7ddtP0
(´・ω・`)「ツンちゃん、だいじょうぶ?」

真っ白な病室に一つのベッド。

陽光が窓から差し込む。

ξ゚听)ξ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

普段活発で強気なツンは、既に生気が失せていた。

( ^ω^)「ツン・・・・・・」

ベッドから出ている細く、しかし張りのある白いツンの腕。

しかしその指先は無機質な色をしていた。

ξ゚听)ξ「・・・・・・・もう、何もかも終わりね。」

もう、滑らかに動くことはなさそうな、悲しみにも似た灰色。


268 石化して苦しむこととなった少女達 注:未完 New! 2006/05/24(水) 20:08:52.76 ID:IIj7ddtP0
ツンはピアニストだった。

数々のコンクールに出て、幾度も入賞したことがあるちょっとした有名人だった。

二ヶ月前は念願の国際大会に出場、惜しくも入賞には至らなかったが、

周りや友人たちからはあたたかく迎えられた。

しかし、先週から指の調子が悪くなった。

うまく動かなくなった。感覚も鈍ってしまったように感じた。

五日前には完全に動かなくなった。

それで病院に行き、手の診察とレントゲンを受けた。

そして二日後に、残酷な答えが返ってきた。




( ,' 3)「まことに残念ですが、あなたの体は石化し始めています。」

269 石化して苦しむこととなった少女達 注:未完 New! 2006/05/24(水) 20:09:33.35 ID:IIj7ddtP0
( ^ω^)「もうツンのピアノが聞けないのかお・・・・・・」

ブーンはツンが奏でる音色がとても好きだった。

初めて聞いたのは高校の合唱コンクールの時。

ツンが弾く『モルダウ』の旋律はヨーロッパの雄大な川の流れを感じさせた(ブーンはよく分からなかったが)。

以来ブーンは放課後、決まって音楽室に行った。ツンのピアノを聞くために。

270 石化して苦しむこととなった少女達 注:未完 New! 2006/05/24(水) 20:10:56.69 ID:IIj7ddtP0
回想〜合唱コンクール練習日の放課後・音楽室〜

( ^ω^)「ショボン、いっしょにくるお!」

(´・ω・`)「ちょwwww引っ張んなwwwwww服千切れるwwwwwwwww」

ガラッ

( ^ω^)「ツン!ピアノ聞かせてくれお!」

ξ#゚听)ξ「入って来るなピザ。気が散る」

(;^ω^)「うはwwwwwそんなヒドスwwwww」

(´・ω・`)「まぁまぁツンちゃんいいじゃないか。少しだけ聞かせてよ」

ξ#゚听)ξ「とにかく出てけ!聞くなら廊下で聞け!!」

( ^ω^)「やだお。音楽室のドア越しのツンのピアノの音なんて聞きたくないお。」

ξ゚听)ξ「!!?」

( ^ω^)「それにちょっとツンと練習したいお」

ξ////)ξ「!! わ、わかったわよ!べ、別にアンタのためじゃないわよ!!みんなのためだからね!!」

( ^ω^)「thx」

(´・ω・`)「それじゃお邪魔するね」

425 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:30:27.92 ID:DnEF4FqX0
>>270続き

それからブーンとショボンの二人は練習日の放課後は必ず音楽室へと通っていった。

ξ゚听)ξ「ブーン!声小さい!もっと腹から声出しなさい!」

ξ゚听)ξ「ショボン!そこいつもタイミング遅い!もっと余裕持って息継ぎしなさい!」

(;^ω^);´・ω・`)「テラコワス」







426 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:30:56.42 ID:DnEF4FqX0
ξ゚听)ξ「今日はこれでおしまい。また次の日にしましょ」

(´・ω・`)「ふ〜・・・」

( ^ω^)「つ、疲れたお・・・・・・」

ξ゚听)ξ「コレくらいで疲れてちゃ、全部通すときなんかヘロヘロよ。最優秀賞なんて夢のまた夢」

(;^ω^)「う・・・・・・・・・・・・」

(´・ω・`)「ツンちゃんって、音楽のことになると熱心だね」

ξ゚听)ξ「ウチは音楽一家だから当然よ。やるからには全力でやらなきゃ」

( ^ω^)「ツンらしいおw」

ξ////)ξ「ほ、褒めたって何にも出ないわよ!」



(´・ω・`)「それじゃ僕達は帰るね・・・・・・って、ブーン。何してんの」

( ^ω^)「ん? もうちょっとツンのピアノ聞いていたいお」

(;´・ω・`)ξ;゚听)ξ「ちょwwwwwwwwww」

427 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:31:21.98 ID:DnEF4FqX0

そのうちブーンとツンは合唱コンクールを通じて親交を深めていき、クラスの練習を共にひっぱっていった。

ξ゚听)ξ「ちょっとテノール!そこはもっと声出して!」

テノール組「はい!」

( ^ω^)「アルトー!ここは声を落とすところだお!」

アルト組「はーい!」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「ソプラノ!! ・・・・・・・・・はっ!?」

全員「ハモったwwwwwwwww」

(*^ω^)ξ////)ξ「笑うな!!!」


428 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:31:49.40 ID:DnEF4FqX0
そしてコンクール当日。

ξ゚听)ξ「みんなホントに頑張ったわ。今日は今までの練習の成果をぶつけてやりましょう!」

女子「おーーーーーーっ!!」

( ^ω^)「みんな途中から口出したりしてごめんだお。きっとウザかったと思うお」

女子1「何いってるのw ブーン君が言ってたことは当たってると思ってたもん」

男子1「お前が引っ張ってくれなかったら、ツンさん、もっと大変だったと思うぜ」

男子2「そーそーw」

女子2「それに、ハモったときに二人の本気が伝わってきたしねw」

( ^ω^)「ちょwwwwww」


429 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:32:07.23 ID:DnEF4FqX0
結果は見事最優秀賞。ツンも最優秀演奏者賞をもらった。

さらにブーンが音楽教師特別賞をもらったのは予想外だった。

男子3「ブーンすげええええええええええええええええええ!!」

女子3「ウチのクラス、三冠だよ!!!!!」

男子4「ブーンとツンを胴上げすっぞ! ハッ、すっぞ!!」

( ^ω^)ξ゚听)ξ「ちょwwwwwwwwおまいらwwwwwww」



なお、これをきっかけに二人が付き合いだしたのは言うまでもない。

回想終了・・・・・・

430 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:32:40.05 ID:DnEF4FqX0
ξ゚听)ξ「・・・・・・」

相変わらずツンは力なく外を見続けている。

自らの生きがいを奪われるだけでなく、死に等しい石化の恐怖。

ツンは絶望のどん底にいた。

ブーンは、口を開いた。

(#^ω^)「ブーンは・・・、ブーンはツンのそんな顔なんか見たくないお」

(´・ω・`)「ちょっと、ブーン!」

ξ゚听)ξ「・・・・・・」

ツンはゆっくりと振り向いた。

432 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:33:23.46 ID:DnEF4FqX0
(#^ω^)「ツンはいっつも元気で、強くて、でもちょっと甘えんぼで・・・・・・」

(´・ω・`)「・・・・・・」

(#;ω;)「・・・・・・ブーンはそんなツンが好きだったお」

ξ;凵G)ξ「ブーン・・・!」

( ;ω;)「だから、悲しい顔をしないでほしいお!希望を無くさないでほしいお!」

(´っω;`)「・・・・・・そうだよ。まだ時間はある。まだ間に合うよ!」

ξ;凵G)ξ「ショボン・・・! うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

静かな病室に、今日は三人の嗚咽が溢れていた。

434 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:35:05.65 ID:DnEF4FqX0

ブーンたちはできるだけ情報を集めてツンの病室に向かったが、あまりいい物は手に入らなかった。

( ^ω^)「とりあえず、わかってるのはこれだけだお・・・」

ブーンが示した資料には、

15〜25歳女性にしか発症しないこと・約6ヶ月で死に至ること・今のところ共通点は無いことであった。

ξ゚听)ξ「うーん・・・、女性だけってところが気になるわ。」

(´・ω・`)「何が病気に関係してるんだろう?ホルモンかな?」

( ^ω^)「ホルモンならハラミが好きだお」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

(;^ω^)「ちょwwww冗談だおwwwwwww」

435 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:35:30.00 ID:DnEF4FqX0
石化症は実に不可解な病気だった。

決まった時期に発症するわけではない。

年齢以外に他の患者と共通点があるわけでもない。

ξ゚听)ξ「いったい何がどうなってるのよ・・・・・・」

(´・ω・`)「もうほとんど出し尽くしたよ。情報が入るのを待とう」

( ^ω^)「・・・・・・不本意だけど、把握した」

ξ゚听)ξ「一時解散ね。でも・・・」

( ^ω^)「わかってるお。諦めちゃだめだお」

ξっ凵G)ξ「・・・うん」

436 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:35:56.15 ID:DnEF4FqX0
発症から5ヶ月。

ツンの体はいよいよ首筋まで石化してきた。

たった5ヶ月の間でも遺伝的なものではないこと、完全に石化した人間の体内(?)はやはり石であること、

一時的に進行を止める薬が開発されたこと、なぜ女性にしか発症しないかは未だ謎である等、大小様々な情報が入ってきた。

そして遂に、ブーンたちが待ち望んでいた情報が入ってきた。

( ^ω^)「ツン!ツン!やったお!とうとう病気が治るかもしれないお!!」

(´・ω・`)「ちょwwwwwブーンwwwwwww引きずるなwwwwwww」

急いで病室に駆け込むブーン達。

ツンを治せる、またツンのピアノが聞ける、やわらかく小さなツンの体を抱きしめることができる・・・。

大きな希望を胸に、ブーンはツンの病室のドアを勢いよく開けた。

437 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:36:19.58 ID:DnEF4FqX0
( ^ω^)「ツン!朗報だお!なんとかなるかもしれないお!!」

ξ:::゚听)ξ「そう・・・・・・良か・・・っ・・・・・・た・・・」

ツンは首筋が石化しているため、うまく喋れなくなっていた。

( ^ω^)「もっと喜ぶお、ツン!」

(´・ω・`)「ブーン、ツンに無理させちゃダメだよ」

( ^ω^)「あ、そうだおね」

ツンは石に侵されながらも、ブーン達に分かるように微笑んだ。

ξ:::゚听)ξ「それで・・・・・・・・、どう・・・・・・・・すれ・・・・・ば・・・・・・いい・・・・・・・・の?」

ブーンは少し間を置いて、治療の方法を伝えた。




(;^ω^)「・・・サソリの毒だお」

438 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:36:41.97 ID:DnEF4FqX0
ξ:::゚听)ξ「ど・・・・・・毒・・・?」

(´・ω・`)「そう、毒。四日前にサハラ砂漠で石化症の人がサソリに刺されたんだけど、偶然にも治ったんだ」

ξ:::;凵G)ξ「それ・・・じゃ・・・・・・、わ・・・・たし・・・・・・・、助か・・・る・・・・・・のね・・・?」

(´・ω・`)「うん。でも全身が壊れるくらいの激痛を伴う副作用がある。その代わりにこの方法を試した患者全員が 完治してるんだ!」

ξ:::゚听)ξ「・・・・・・・・・」

ツンはショボンをじっと見続けている。

(´・ω・`)「どうする?このまま静かな死を迎えるか、狂うほどの激痛に耐えて解放されるか」

ツンは即答した。

ξ:::゚听)ξ「やる・・・・わ・・・」

( ^ω^)「!!!」

439 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:37:05.11 ID:DnEF4FqX0
ξ:::;凵G)ξ「はやく・・・・・・この・・・・・体を・・・・治し・・・・・・・て・・・ピ・・・・・・・アノを・・・・・弾き・・・・た・・い・・・・」

( ^ω^)「ツン・・・・・・!!」

ξ:::;凵G)ξ「じゃない・・・・・と・・・・・、そこの・・・・・・・バカが・・・・・・悲・・・しむ・・・・・じゃな・・・・い・・・・・」

( ;ω;)「ツン・・・・・・、ツン!!!!」

ξ:::;凵G)ξ「何・・・・泣い・・・・・て・・・るの・・・・・よ。バカ・・・・・・」

( っω;)「ツンだって泣いてるおw」

ξ:::;凵G)ξ「あ・・・アンタの・・・ため・・・・に・・・・・・・泣いて・・・・・・・るんじゃ・・・・ない・・・・からね・・・・・!」





石化症を治すサソリは日本では危険な生物のため、研究用としてしか輸入することはできない。

そのうえ時間もかかる。

それでツンは、ブーンの声援とショボンの謎のコネによる政府からの援助を受け、サハラ砂漠へと旅立った。

440 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:37:28.50 ID:DnEF4FqX0
それから二ヵ月後。

(;^ω^)「やばいおぉぉぉぉぉぉぉ!!!遅れたら殺されるおぉぉぉぉぉぉぉおおおぉ!!」

ブーンは両手を広げながら全力疾走で市民ホールへと向かっている。

(;^ω^)「こんなことになるなら徹夜してオナニーするんじゃなかったおぉぉぉぉぉぉおおぉぉ!!!」

周囲の失笑を受けながら疾走するブーン。今日はとても大事な日だった。

441 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:37:49.89 ID:DnEF4FqX0
ガチャッ

(;^ω^)「ふ〜、間に合ったお・・・・・・・・」

ブーンは中段の真ん中の席に居るショボンの隣に座った。

(´・ω・`)「遅いよ、ブーン」

ショボンがブーンに話しかけると同時に開演のブザーが鳴った。

『本日はツンさんのピアノリサイタルにお越し頂き、まことに・・・・・・』

会場のアナウンスが続く。

(´・ω・`)「でも二ヶ月でここまで回復するなんてびっくりだよ」

( ^ω^)「医者もおどろいてたお。毒の荒療治に耐えた後すぐにリハビリを開始したんだお」

(´・ω・`)「ハハハ。ホントにツンちゃんは強いやw」

『それでは、盛大な拍手でお迎えください』

(´・ω・`)「あ、そろそろ始まるよ」

( ^ω^)「wktk」

442 石化して苦しむこととなった少女 New! 2006/05/25(木) 01:38:42.02 ID:DnEF4FqX0
客の拍手が始まる少し後に、ステージがライトアップされる。

そこには黒くてつやのある大きなグランドピアノが一台。

そして舞台左から、黒のドレスを身にまとったツンが現れる。拍手が大きくなる。

ツンは正面を向いて一礼。椅子に座る。

細くて長い、白い綺麗な指から、美しい旋律が奏でられる。

( ^ω^)「これは・・・・・・“モルダウ”だお・・・・・・・・・」

(´・ω・`)「懐かしいねー・・・・・・・」

ツンが生み出す旋律はピアノから滾々と溢れ、川のように客席を流れていく。

モルダウの川の流れのように雄大に。




Fin

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