312 ( ^ω^)が救助隊になるようです New! 2006/05/24(水) 21:47:59.78 ID:MttxyLapO
('A`)「ここは・・・何処だ?」

目を覚ますと、そこは真っ黒な世界だった。
凄く寒い。身体を暖めようと手を動かそうとするが、動かない。
息が苦しい。重さで身体が軋む。どうしてだろう?そもそもなぜここに居るのか。
必死に思い出そうと、考える。しかし、無くなっていく酸素のせいか、意識が朦朧としてくる。

('A`)「(俺・・・死ぬのかな)」
('A`)「(死にたくないなぁ)」

普段、『欝だ氏のう』と言ってはいるが、本当は死にたくない。
そう思って、必死で抵抗した。死に対して。藻掻いて、藻掻いて、藻掻いて。
それでも、死は容赦なくドクオを襲った。

('A`)「・・・生きたい」

呟く。誰にも届かない、そんな悔しさを。死にたいなんて思っていた自分の愚かさを込めて。
意識が遠退く中、ふと思い出した。友人とスキーをしに出掛けた事。
その時、可愛い子に逢った事。格好付けようと、滑れもしないのに上級コースに行った事。
そして、吹雪の中気を失ったこと。

('A`)「・・・」

313 ( ^ω^)が救助隊になるようです New! 2006/05/24(水) 21:48:43.48 ID:MttxyLapO
( ^ω^)「見付けたお!」

救助隊が駆け付け、傷付けないように雪を掻く。
もちろん道具など使えない。手作業だ。
数人で雪を掻き、やっと腕らしき部分が露出した。
感覚のない手に鞭を打って、全体を掘り起こす。
数十分かかって雪から出てきた彼は、自ら動く事なく、ただ冷たかった。

(´・ω・`)「ドクオ!」

ようやく救助された友人の姿を見て、叫ぶ。
握った手は、とても冷たかった。

('A`)「・・・生きたい」

擦れた声で、彼は言った。生きたい。
しかし、それから一言も言葉を発することはなかった。

END

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