167 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/28(木) 01:20:23.77 ID:xvLBO8rT0
('、`*川 「最後はここか・・・」

切れかけた照明が不規則に点滅している。
その薄暗い廊下の突き当たりにその部屋はあった。
扉には「将棋部」と書かれた張り紙がしてある。

('、`*川 「失礼します」

扉を開けると思ったよりその部屋は狭い。
部屋の中央に置かれた将棋盤―その傍らに一人の男が正座している。

(´・ω・`)

('、`*川 「あのー・・・」

所在なさげにしていた伊藤は意を決して男に語りかけた。

(´・ω・`)「ん?なんだお前は」

('、`*川 「生徒会執行部の伊藤です。この度行われた会議で
       将棋部の廃部が決定したので、その旨を伝えにきました」

(´・ω・`)「廃部だと?そんなことは知らん。帰りなさい」

ショボンは手に持ったセンスで追い払うしぐさをした。

('、`*川 「あの、でも会議で決定したことですし・・・」

(´・ω・`)「知らんといったら知らん。ほら!帰った帰った!」

168 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/28(木) 01:21:55.73 ID:xvLBO8rT0
('、`*川 「弱ったなぁ・・・」

その時である。部屋の奥の壁――いや、伊藤が壁だと思っていたふすまが突然開き
ドライアイスの白煙とともに一つの人影が現れた。

('A`)

男はなんとも形容しがたい威厳をたずさえている。

(´・ω・`)「竜王!」

('、`*川 「りゅ、竜王!?」

竜王と呼ばれたその男は切れ長の目で伊藤を見据えた。

('A`) 「お嬢ちゃん・・・この将棋部はなぁ、先々代の校長が生徒同士
     仲良くできるようにと設立した由緒正しい部活だ・・・それを
     そうやすやすと潰すわけにはいかねーなぁ」

('、`*川 「いえ、あのでも」

お嬢ちゃん!
その竜王の一喝で伊藤は黙り込む。

('A`) 「俺の心が角から竜に変わる前に――とっと失せろ!!」

('、`*川 「え、ええ!?」

(;´・ω・`)「つまり竜王が怒る前に帰れってことだよ!」

171 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/28(木) 01:25:02.27 ID:xvLBO8rT0
伊藤は恐怖のために一歩後ずさる。
しかし、責任感の強い彼女はそこで踏みとどまる。
震える手を握り締め竜王を見据えた。

('、`*川 「あの、あなた竜王とか言ってますけど保健室登校のドクオさんですよね?」

(;'A`) 「な、なんのことだ・・・」

竜王は顔をそらす。

('、`*川 「それに生徒仲良くとか言ってますけど、部員はあなた達二人だけですよね?
       こちらも生徒会を代表してきてるんです。ここで引き下がるわけにはいきません!」

('A`) 「この小娘がぁ・・・いいだろう。こうなったら――将棋で勝負だ!」

('、`*川 「受けて立ちます!」

(´・ω・`)「先手、ペニサス伊藤!」

伊藤は頭脳の計算機をフルに稼動させ竜王との対局に臨む。
対する竜王も己の持つ知識、経験を十二分に発揮し伊藤を迎え撃つ。
二人の死闘は熾烈を極めた。
そして―


173 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/28(木) 01:28:17.83 ID:xvLBO8rT0
('A`) 「・・・・・・」

竜王は無言で盤上を眺めている。

('、`*川 「王手」

パチッという音と共に伊藤は竜王の玉将の前に金を指す。
盤上で竜王の駒は玉将が一つだけ。
盤上は、ほぼ全て伊藤の駒で支配されていた。

('、`*川 「詰み、ですね」

('A`) 「うっ・・うぅっ・・・くう・・」

俯きすすり泣く竜王。

('A`) 「うっうっう・・・うくくく・・くく・・ははははは!!」

と思いきや、突然高らかに笑い出した。
そして天を仰ぐように両手を突き出し絶叫した。

('A`) 「天空の神よ!!我に力をおおおおおおおお!!!」

突如として部屋の照明が消え、どこからともなく雷鳴が轟いた。
明滅する部屋の中で、竜王は叫び続けている。

('、`*川 「ひいい!」

その鬼気迫る演技のせいで、伊藤はショボンがラジカセから
録音した雷鳴を流しているのに気がつかなかった。

177 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/28(木) 01:30:58.79 ID:xvLBO8rT0
('A`) 「かああああああああ!きええええええええ!!」

一際大きな奇声をあげ、竜王は磐石を手前に引っ張った。
すると、なんということだろう。将棋盤が伸びたではないか!

('A`) 「秘儀!盤石伸ばし!!」

('、`*川 「はぁ?ば、ばんじゃくのばしぃ!?」

将棋盤は見事なまでに伸びている。

('、`#川 「ちょ、なによ盤石伸ばしって!どうなってんだよコレ!」

('A`) 「あ!あーあ・・・」

伊藤が将棋盤をつつきまわしたため、盤上の駒はぐちゃぐちゃになった。

(´・ω・`)「はい、勝者、竜王」

('A`) 「ふぅ、かみいちじゅうだったな」

('、`#川 「ふざけんな!なんでもありかよ!それにそれを言うならかみひとえだ」

ついに伊藤は切れてしまった。
それでも竜王は不敵な笑みを浮かべ言い放った。

('A`) 「己の狭い常識に囚われている限り、己に打ち勝つことはできん
     自分を解放すればかみひとえだろうがかみいちじゅうだろうが同じことよ!
     貴様は自分自身に負けたのだ!出直して来い!」

178 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/28(木) 01:33:31.15 ID:xvLBO8rT0
('、`*川 「くっ・・・」

よく分からない理論だったが、圧倒された伊藤は仕方なく退散する。

('、`#川 「一生やってろ!バーカ!!」

捨て台詞を吐いて出て行く伊藤。

('A`) (´・ω・`)「アッハッハッハッハ!アーハッハッハッハ!」

部屋には勝ち誇った男二人の笑いが延々と木霊していた。
ちなみに、将棋盤が伸びても伊藤の勝ちに変わりないのではないか、という
方もおられるかもしれない。
だがそこは――気にしないで頂きたい。


inserted by FC2 system