944 ( ^ω^)ブーンが昔を懐かしむようです。 New! 2006/09/27(水) 18:29:03.67 ID:9OrTf81/O
  もう大分前から店内のオーディオは前世代の名曲を流し続けている。
 あの頃から変わらない。変わることなく人々の記憶に残り続けた優しく、しかし何処か物悲しいメロディだ。
カーペンターズの曲が終わると、次に流れだしたのはビートルズの曲だった。

( ^ω^)「ビートルズですか。懐かしいお」

(´・ω・`)「えぇ。私も若い頃は彼等に夢中でしたよ」

 40歳。成人し、妻ももらい、ある程度名のある会社に就職し落ち着いた、平行線の人生を送っているブーンはもうそんな歳になっていた。
変わりのない人生で唯一の楽しみといえば、このバーボンハウスで酒をやることだった。

( ^ω^)「僕も、若い頃はコピーバンドとでもいうべきかな? 仲間とバンド組んでギターやってたんですお」

(´・ω・`)「私もです。店に高校生の時に買った安いアコースティックギターを置いといて、客がこない暇な時には今でもたまに鳴らしてるんですよ。少々お待ちを……」

 そういうとマスターは店の奥に行ってしまった。

 ブーンがバーボンの水割りを飲み干すと同時に、マスターは戻ってきた。


946 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/27(水) 18:40:31.58 ID:9OrTf81/O
  戻ってきたマスターが手にしているのは、古いギターだった。ニスが剥げてツヤのない部分が沢山ある。古くて、ボロッちいアコースティックギターだ。

(´・ω・`)「これです。高校生の時に学校に内緒でバイトして、やっとの思いで買ったんです。これ買った当時は本気でプロを目指したりしてね」

そういうとマスターは弦を弾いた。テンポが悪く、途切れ途切れね音が響く。

(´・ω・`)「今ではバーボンハウスのマスターですがね……」

 そう言ってマスターは苦笑した。

( ^ω^)「……ちょっと、弾いてもいいですかお?」

(´・ω・`)「どうぞ。他に客もいないですし……」

ブーンは手渡しでギターを受けとる。

( ^ω^)「懐かしいお……こうやって、若いころは……」

 軽く指で弦を弾く。
思い通りの音が出てくれた。
指先に意識を集中して、頭の中にメロディを浮かべて弾いてみる。
すると、音はただの音からメロディに変わりはじめた。
その曲はビートルズの名曲。「Let it be」
優しく、ゆったりと流れるメロディは懐かしく、そして寂しい。

950 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/27(水) 18:52:46.52 ID:9OrTf81/O

(´・ω・`)「………なかなか見事じゃないですか」

 ブーンが最後まで弾き終えるとマスターは笑顔で拍手をくれた。

( ^ω^)「いえいえですお……」

(´・ω・`)「また、本格的にやってみたらどうですか? プロとはいかずとも、なにかにはなれるかも……」

( ^ω^)「………」

 ブーンは暫くの間、グラスの中で溶けゆく氷を見つめた。
――それも、悪くないかもしれないお……
……しかし。

( ^ω^)「いや、やめておきますお」

そう言って手にしたギターをマスターに返した。

(´・ω・`)「そうですか。……また、弾いて聞かせてください」

( ^ω^)「……またいつかだお」

終わり


19時からバイトなんで、最後のほうが手抜きになってしまいました。
申し訳ないです。


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