905 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/18(月) 23:20:56.16 ID:OuLElvj50

从 ゚∀从「ハァーッハッハッハインリィーッヒ!!」

高々と声を張り上げ女が笑っている

何度も、何度も女は笑い声をあげる
何かを無理やり納得させるような

そんな声を張り上げる

漆黒の闇よりも暗く
深海の底よりも深く
悲しみに暮れた女は呟く

从 ゚∀从「……無理だよ、ドクオ」

906 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/18(月) 23:21:46.65 ID:OuLElvj50
「今日はいい天気でよかったな」

嫌、嫌だ!
この日、この日さえがなければ

「何だよ、そんなに俺とデートするの嫌か?」

違う…
何で?どうして?

「あーやっぱピクニックはいいなぁ。山の頂上で高岡の作った弁当。まじ最高だぜぇ」

最高なんかじゃない、最悪だよ

「な、なんだお前ら!!?俺達をどうするつもりだ!?」

…逃げて、逃げてよ!!

「高岡!こいつらは俺が何とかするから逃げろ!!」

嫌よ!アンタを置いてなんていけない!!

「……じゃあ俺を助けるために誰かの助けを呼んでくれないか?」

――この時だ

ここでアタシが勇気を持ってれば
アンタは……

907 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/18(月) 23:22:37.49 ID:OuLElvj50
从 ゚∀从「アンタは言ったよね。アタシに……」

――悲しい時こそ笑うんだよ、そうすれば楽しくなるからさ


从 ゚∀从「アンタの言ったように笑ったよ!?笑ったのに楽しくならないよ?何で…?」

薄暗い中部屋のテレビが明かりを照らし出しニュースを流していた

《昨夜、VIP山で二人組み男達が殺人容疑と銃刀法違反でつかまりました》

《彼らは当日二人組みの男女を襲い密輸した拳銃でドクオ(21)に発砲し殺害した模様》

《殺害の動機は『暇だからだお』『いちゃついてる男を皆殺しにしたいだけだお』などと発言しており――》

从 ゚∀从「……みなよ。アンタを殺した犯人捕まったらしいよ?」

从 ゚∀从「こいつらが死んだらアンタは生き返るのかなぁ?」

从 ゚∀从「もういいや…アタシもそっちに行くからどうでもいいや」

女は右手に持っていた大量の睡眠薬を一気に口に運ぶ

909 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/18(月) 23:24:05.69 ID:OuLElvj50

……ここはどこだ?
アタシは死んだんじゃないのか?

「何しにここまで来てんだよ。まさか俺が食らった銃弾の痛みは意味ないって事か?w」

聞き覚えのある声
まさか……アンタは……

「もしかして俺が何のためにお前を逃がしたか分かってないって事か?」

……アンタが死ぬくらいならアタシも死んだほうがいいよ!

「お前さ、昔言ったろ?」

なにを…?

「アンタが幸せになるのがアタシにとって一番の幸せ、ってな」
「俺はお前を守れて幸せだ。ならお前も幸せなんじゃないのか?」

ア、アタシは……

「とりあえずもう戻れ。もう時間が無くなってるからな」

待って!まだアンタに言いたい事があるの!

「言いたい事といえば俺も三つぐらいあったな」
「1つ目、俺がいなくても自分の力で頑張れ。2つ目、悲しくなったら笑って乗り切れ。そして最後に――」

――俺の分まで幸せになってくれ

910 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/18(月) 23:25:27.55 ID:OuLElvj50






「あぁ、すみません――」

――とあるコンビニで一人の女が店長に怒られていた

「あーやっと開放されたぁ。アタシは新人なんだから失敗してももう少し優しく叱れって感じだよ」

「でもまぁ、最初の試練はまずここからだから、そんな愚痴は言ってられないかぁ」

「……アンタに助けてもらったこの命、大切にするよ」

「アンタも幸せでアタシも幸せ。最高だよな」

――女は大きく息を吸い吸い込み声を張り上げた



从 ゚∀从「ハァーッハッハッハインリィーッヒ!!」

―完―
inserted by FC2 system