74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:11:03.74 ID:5hY8obmk0
ξ゚听)ξはどうしても(´・ω・`)を受け入れられないようです。







変わってしまったと思った。
気付かなければ良かったと。

そうすればこんな気持ちは一生知る必要も無かったのに。




75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:12:23.28 ID:5hY8obmk0
A


ツンたちは高校に入学してから三度目の……最後の桜を見ていた。


ツンとブーンとドクオとショボン。
中学の頃からの腐れ縁が今まで続いている。

( ^ω^)「きれいだおw桜はやっぱきれいだおww」
('A`)「でも俺達が揃ってコレを見れるのは最後かもな……」
ξ゚听)ξ「そんな寂しいこと言わないでよ! まだ一年あるじゃないの」
( ^ω^)「そうだお! それまでにいっぱい思い出作るおw」
(´・ω・`)「……」



( ゚∀゚)/,'3「おーい! お前ら何ボーッとしてんだよ。HR始まっちまうぞ」
( ^ω^)「あ! ジョルジュに荒巻!」
('A`)「そうだな……行くか」
ξ゚听)ξ「あ!待ってよ! ……ショボンも行こう?」
(´・ω・`)「……ああ」



76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:13:49.41 ID:5hY8obmk0
B


ドクオの力を借りながらもブーンとツンが結ばれてからおよそ半年が経つ。
ブーンの熱烈な求愛に最初は全く素直になれなかったツンだが今では少し慣れてきたようで、二人だけの時には手ぐらい繋げるようになっていた。

ツンが微かな違和感を感じ始めたのはその頃からだった。

視線。

何か感情を押し殺したような鋭い視線。

ツンはその視線に気付いた時、まず自分の感覚を疑った。
少し過敏になり過ぎているのだと。
しかしそれは間違いなく日を追うごとに強くなっていく。
ツンは恐れた。
その視線の主とその感情を。

その感情はいつかの自分とシンクロしていたから。


ツンは恐れから彼を少しずつ避けるようになった。
そしてブーンを……彼女の恋人を守ろうと、自然に“今まで”から遠ざかる。




78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:19:12.97 ID:5hY8obmk0
C


そんなツンを心配してドクオが声を掛けてきたのは、葉桜の美しい五月だった。

('A`)「ツン……お前、何かあったのかよ? 最近お前元気ねえし付き合いもワリイしみんな心配してんだ」
ξ゚听)ξ「みんな……?そんな訳無いでしょ」
('A`)「何言ってんだ? ショボンもジョルジュも荒巻も、勿論俺だって心配してるさ」

ツンは自嘲的な笑みを口の端に浮かべて言った。

ξ゚听)ξ「……何でも無いわよ……ちょっと疲れてるの」
('A`)「それだけか?違うだろ?」
ξ゚听)ξ「っ…!私は
('A`)「ショボンと何かあったか?」
ξ゚听)ξ「え」
('A`)「図星だな? 何があった?話してみろ。最近お前のショボンを避ける態度が露骨過ぎると思ってたんだ」


85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:25:31.91 ID:5hY8obmk0
恥を忍びつつ続きを投下D



ξ )ξ「……て……しょ……」
('A`)「あ?」
ξ゚听)ξ「あんただって気付いてる筈よ!!ショボンのブーンを見る目に!!」
('A`)「ツン……お前まさか」
ξ゚听)ξ「そうよそのまさかよ!!ショボンはブーンのことを恋愛対象として見てる!!確実に!!」
('A`)「……」
ξ;凵G)ξ「何よ!応えなさいよ!あんただって…気付いてるんでしょ…ッ!」


気が付くと、ツンはドクオにしがみついて泣いていた。
ドクオは躊躇いがちにツンの背中をさする。
暫くしてツンの鳴き声がすすり泣きに変わると、ドクオはようやく口を開いた。



87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:27:15.90 ID:5hY8obmk0
終了後即吊るのでお許しをE


('A`)「……悪かった。問い詰めるようなこと言っちまって」
ξ;凵G)ξ「……いいのよ……ヒック……図星なのは確かだもんね……ウッ」
('A`)「そうか……ウン」
ξ゚凵G)ξ「なんとなくね……変だなって気がしてたのよ……でもね、最近はっきり分かったの」
('A`)「ツンも気付いてたか……あいつは何も言わないけどな」


人知れずブーンに惹かれていた。
生来の素直じゃない正確のせいで全く反対の態度ばかり取ってしまっていた。
誰にもばれない様にと押し込める感情。
その感情をショボンの視線の中に感じ取ってしまったのだ。
人の心の動きに殊の外敏感でツンの感情にも気付いたドクオ、そして同じ様な感情をつい最近まで持っていたツンには、ショボンの心の中が分かってしまった。
それはとても残酷な現実だった。


ξ゚听)ξ「ドクオなら分かるでしょ……私が今に至るまでどんな辛い思いしてたか……ましてショボンは男……避けたくなるのは当たり前よ……ッ!」



89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:29:23.58 ID:5hY8obmk0
終了後即吊るのでお許しをF


ツンは、自分が今どんな酷い台詞を吐いているのか自覚していた。
それでも言わずに居られなかった。
だからこそ吐き捨てるように言い放ったのだ。
その友達を貶めるような言葉に対して、ドクオから怒鳴られるのではないかと思った。
叩かれることさえ覚悟した。


('A`)「ああ……お前の気持ち分かるよ。俺は辛そうなお前だってずっと近くで見てきたんだ」


ツンの予想を裏切るようにドクオの口からは諭すような優しい言葉が紡ぎ出される。


('A`)「でもな、俺達が考えている通りだとしたら、ショボンはずっと……長い間自分の好きな奴が他の女に求愛しまくって遂には結ばれるとこまで一番近くで見てたことになるんだぜ……?」
ξ゚听)ξ「……」
('A`)「それだって充分辛いことだと思うんだ。いや、だからブーンをショボンに……なんて意味で言ったんじゃない。お前なら余計にその気持ち分かってやれるだろうって言いたいだけなんだ」
('A`)「それにな、ブーンだって長年お前のことを好きだったのは伊達じゃない。どんなことがあったってお前を離したりはしねえさ。信じてやってくれよ」
ξ゚听)ξ「…………」



91 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:31:28.37 ID:5hY8obmk0
G


ξ♯゚听)ξ「あんたに何が分かるってのよ!この万年童貞がッッ!!」



ツンはそう言葉をドクオに投げつけると、引き止める手をすり抜けるようにして駆け出した。



ξ゚听)ξ(少し言いすぎちゃったかな……後で謝らなきゃ……)
ξ゚听)ξ(だからって、私のショボンに対する気持ちは変わる訳無いんだから!)






(´・ω・`)「ちょっといいかい?」

ショボンがそう切り出したのは、夏服が青空に映える七月のことだった。

日陰の多い中庭は、恋人達の密会スポット。
待ち合わせの間読んでいた数学の参考書から顔を上げながら相手が応える。



94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:33:51.47 ID:5hY8obmk0
H


( ^ω^)「sincost……お?ショボンかお?おいすー^^なんだか随分久しぶりな気がするお」
(´・ω・`)「ああ……そうだね、随分久しぶりだ」


あの後もツンの必死な努力により、ブーンはショボンと極力接触しないように工作されてきた。
しかしこのやや……いやかなり鈍感な白ピザはそんなことにも気付かず、久しぶりという感想しか持たなかった。


(´・ω・`)「ツンと待ち合わせかい?」
( ^ω^)「そうだお。待ってる間に勉強してたんだお」
(´・ω・`)「僕と話せる時間はあるかな?」
( ^ω^)「いいお! 久しぶりだし話すお!」



その時ツンは中庭への渡り廊下を懸命に走っていた。

ξ゚听)ξ「ああ! 渡辺さんに古典教えてたら遅くなっちゃった! ブーン待ってるん……え?」


中庭を目の前にしてツンは立ち止まる。
そこにあったのは、この数ヶ月必死こいて行ってきたことが全て無駄になる瞬間だった。

本を片手に座っているブーンの隣にショボンが腰を下ろそうとしている。


95 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:35:55.43 ID:5hY8obmk0
I

ξ゚听)ξ「なんてこと! ショボンったら! 」

怒りに任せて突撃しようとしたツンに、ブーンの声が聞こえた。
後ろを向いているせいかショボンの声は聞こえないが、ブーンの声だけははっきりと届いた。



( ^ω^)「ショボン……そう言ってくれて有り難いお……でもブーンにはツンが居るお。ずっと前から大好きで、やっとこっちを向いてくれたツンが」
( ^ω^)「だから……ショボンの気持ちは嬉しいけど、ショボンのことは友達としか見れないお」
( ^ω^)「これからもいい友達で居てほしいお! 」


ブーンの言葉を聞き終えないうちにツンはその場から駆け出してしまった。


ξ )ξ「はあ……ッはあ……ッ」

体育が得意でないのに全力で走ったのですっかり息が上がってしまっている。

後ろから聞こえる物音に振り返ると、ショボンがいつもの様にしょぼくれた顔で立っていた。


97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:40:17.04 ID:5hY8obmk0
I@



(´・ω・`)「やあ。こうやって話すのもほぼ三ヶ月ぶりかな?」
ξ )ξ「はあ……ッあ……ご……」
(´・ω・`)「いや、いいんだ。そのまま僕の話を聞いてくれないか?」

まだ荒い息をしながらツンは控えめに頷いた。


(´・ω・`)「君が僕のことを避けようとしてたのは大分前から気付いてた。そしてその原因は僕にあるのだから、勿論君が悪いわけではないよ」
(´・ω・`)「そりゃそうだよね、誰かに理解してもらうのが無理だってことは充分分かっているんだ」


(´・ω・`)「今日はね、あわよくば君からブーンを奪おうとか考えたわけじゃなくて、リセットしたかったんだ」
ξ゚听)ξ「リセット……?」
(´・ω・`)「そう。リセットさ。自分の気持ちのね」
(´・ω・`)「気付いたんだよ。確かにこの思いを失うのは辛い。だけどね」
(´・ω・`)「君が僕のことを避けていく……友達を失うこともとてつもなく辛いことだって」
(´・ω・`)「君やブーンは、今までどんな時でも僕のそばに居てくれたし支えてくれてた。」

(´・ω・`)「君にとっては難しいかもしれない。それでも、君さえよければこれからも今までのような友達で居てほしい。言いたいことは……それだけだよ……じゃあ」



99 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:43:53.00 ID:5hY8obmk0
IA



ツンはショボンの背中に声を掛けることが出来なかった。



その場で泣き崩れてしまった。




「ツン!ツン!大丈夫かお?」

頭の上から優しい声が降ってくる。

ツンがゆっくり顔を上げると声と同じ様に優しい顔がツンを見つめていた。

ξ゚听)ξ「……白豚……(ボソッ」
(;^ω^)「ちょwwツン今さりげに酷いこと言ったおwwwテラカナシスww」
ξ゚听)ξ「そんなことより、なんでここが分かったのよ?」
( ^ω^)「お?ツンが全然来ないから探してたら、ドクオがメールで教えてくれたんだお」

ブーンが頭上を指差す。
ツンがつられて上を向くと、校舎の窓からひらひらとドクオが手を振り、姿を消した。


( ^ω^)「ツン……」


100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:45:50.61 ID:5hY8obmk0
IB



珍しく真面目なブーンの声に、ツンは視線を戻した。


ξ゚听)ξ「……何よ」
( ^ω^)「ショボンは大切な友達だお。みんなで一緒がいいんだお。ツンとドクオとショボンとブーンで楽しい思い出いっぱい作るお」
( ^ω^)「そしてまた一緒に桜見るお!おっおっおっ」
ξ゚听)ξ「分かってるわよ!……でも……」
( ^ω^)「でも?」
ξ////)ξ「あ……あんたのことは嫌だって言っても離してあげないんだからねッ!」
(*^ω^)「把握したお」


ξ////)ξ「そんなことよりッ!早く図書館に行くわよ!あんた馬鹿なんだから私が教えてあげなきゃ……一緒の大学に入れないじゃない……」
(*^ω^)「ブーンは頑張るお!そんでツンとおんなじ学校入って親元離れて……エッチなこといっぱいするおwwwフヒヒwwww」


ξ♯゚听)ξ「きめえ」


103 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/22(金) 03:50:40.35 ID:5hY8obmk0
IC


鳩尾に一発くらって唸っているブーンを置いてツンは歩き出した。
その頬を熱い風が撫でていく。



ξ゚听)ξ「ほら! ブーン何してるの! 受験生には夏が重要なのよ!」
(;^ω^)「ちょw自分でKOしといてそれは無いおwww」


桜が毎年散っていくように、夏が巡っていくように、コーラを飲めばゲップが出るように、月日は確実に流れていく。



きっと、私だって。



受け入れることが出来るようになる。



入道雲の広がり始めた空を仰ぎながらツンはそう考えた。



糸冬
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