106 ( 'A`) New! 2006/09/23(土) 01:50:20.60 ID:Nme5NblJO
自慢じゃあないが、俺は人を好きになったことがない。
家庭環境とかに問題があるのかも知れない。
俺自身に問題、もとい欠陥があるのかも知れない。
…が、そんなことを考えてみた所で現状は何ひとつ変わらない。

( 'A`)「はぁ…どうしたもんかね…」

薄く靄掛った空間に立ち尽くす俺。
辺りに一切の物質はなく、ただただ灰色の世界。

( 'A`)「もう、どんくらい経ったっけ…三日くらいか?」

ここには独り言を咎めてくれるような気の利いた奴は存在しない…事もない。

ξ゚听)ξ「ブツブツうっさいわねぇ。もうちょっと静かに出来ないの?」

( 'A`)「…うるせぇよ。早くここから出せ」

ξ゚听)ξ「はぁ…何回言ったら解る訳?アンタが勝手に来て、勝手に居座ってるんでしょ?」

そう、これが俺の現状。

108 ( 'A`) New! 2006/09/23(土) 01:51:20.40 ID:Nme5NblJO
要約すると、こうだ。
ここは俺が創った世界。
ツッコミたい気持ちは解るが押さえてくれ。
そして、さっきの声の主は俺の妄想で、名をツンと言うらしい。
ここが既に可笑しい。
ここが俺の妄想世界なのは解った。
この三日間、浴びる程のバケツプリンを出してみたり、羽生名人と対局してみたりと好き放題やったが、大抵の望みは叶うらしい。
バケツプリンは浴びる所か視界を埋め尽したし、羽生名人にも勝ち越している程だ。
でも何故か、いくら望んでも理想の女性は現れない。
何度試してもツンが出てくる。
因みに俺にツンデレ属性はない。

109 ( 'A`) New! 2006/09/23(土) 01:52:34.81 ID:Nme5NblJO
ξ゚听)ξ「本っ当にキモイわね…ブツブツと」

( 'A`)「うるせぇ、氏ね」

気付かない内に声に出していたようだ。

ξ゚听)ξ「アンタ…そんなに帰りたいの?」

( 'A`)「そりゃあそうだ。何と言っても…」

あれ?
続く言葉が浮かばない。
帰りたいはずなのに。

ξ゚听)ξ「何よ?家族?友達?…まぁ、恋人じゃないのは判るけど」

( 'A`)「うるせぇよ」

何だ?
家族ではない。
友達も居ない。

ξ゚听)ξ「そもそもね、ここに来た時点でアンタは重症よ?」

110 ( 'A`) New! 2006/09/23(土) 01:54:01.04 ID:Nme5NblJO
良く喋る妄想だ。
産みの親が自分であるとは思えない。

ξ゚听)ξ「アンタは現実に失望したの。だから、ここに逃げて来た」

( 'A`)「何で、そんなこと知ってんだよ」

ξ゚听)ξ「全部、知ってるわよ。この世界が示してるじゃない?」

この世界には何もない。
上辺だけの希望と灰色の空気。

(;'A`)「違う…そんな事ない!!」

俺には未来がある。
夢も希望もある。
それを何故、こんなクソみたいな世界の、クソみたいな女に否定されなきゃならない?

(;'A`)「俺は…俺は、終わってない!!!!!」

ξ゚听)ξ「…良い事、教えてあげよっか?」

止めろ、聞きたくない。

ξ゚听)ξ「アンタの望むものしか存在しない世界で、何故、私が生まれたと思う?」

(;'A`)「そんなもん知るかよ。」

111 ( 'A`) New! 2006/09/23(土) 01:55:41.50 ID:Nme5NblJO
ξ゚听)ξ「不思議よね、何故かしら?私みたいな現実をズバズバ指摘しちゃうような子が生まれたのは…」

( 'A`)「…」

ξ゚听)ξ「解ってるんでしょ?認めちゃいなさい…」

そうか…。
俺はここに逃げたのか。
現実から逃げたんだ。
この女は、俺の最後の良心。
必死に逃げて、疲れて、もがく俺自身。

ξ゚ー゚)ξ「帰りたいんでしょ?夢も希望もあるもんね?」

灰色の世界は徐々に白み始める。
ツンは何だか悲しそう微笑んでいる。

( ;A;)「…」

さよならも言えない情けない俺。

『バカじゃないの?私はあなたの中に居るのよ?残念ながら“さよなら”はないわね』

そんな声を聞いたような、聞いてないような―――
俺は無意識に目を閉じた。

113 ( 'A`) New! 2006/09/23(土) 01:59:47.93 ID:Nme5NblJO
自慢じゃあないが、俺は人を好きになったことがない。
家庭環境のせいじゃない。
俺自身の欠陥も大した問題じゃない。

ξ゚听)ξ「何、ボケッとしてんのよ。早くしないとまた遅刻じゃない」

( 'A`)「今、行くよ」

ほんの少し、素直になれないだけのことだ。

―end―

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