- 317 ベッド New! 2006/09/13(水) 00:01:10.32 ID:fe6gX1saO
- 朝が来た。
今日と言う日の始まりだ。
違う。
昨晩の0時を越えた時点で今日は始まってる。
( 'A`)「―――やべ…遅刻だ…。」
無駄な思考が次々と時間を奪って行く。
時計を見ると午前八時。
丁度、朝礼の時刻だ。
そんな風に「俺の一日は始まった。」
今朝の収穫は、この表現の大切さに気付けた事だ。
- 395 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:41:51.50 ID:fe6gX1saO
- 怖い。
夜が来るのが恐ろしくて仕方ない。
そんな俺は、叩きに叩かれるメンヘラだ。
うつ病、不眠症、社会不安、適応障害…。
最早、把握できない程に末期らしい。
( 'A`)「…また一日が無駄に終わった…。」
時計の針、全てが「12」を通過する。
高校を出るまでは良かった。
学歴なんて関係ねぇよ、って意気込みも、まぁセフセフだろう。
そこそこの企業に就職して、これからって時にこの様。
クビ。
( 'A`)「絵に描いた様な駄目人間ですわ…。」
- 398 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:45:03.34 ID:fe6gX1saO
- ( 'A`)「―――ん…。」
どうやら無事眠れたらしい。
時計を見ると午前二時。
これはまぁ、中途覚醒ってやつだ。
「ガ…ガリッ……。」
突然、音がした。
俺は正直ビビりまくって、ありがちな金縛り状態って奴だ。
「あ、あの…聞こえ、ますか…?」
ベッドの下から声がした。
返事も出来ずに硬直する俺。
正直、怖い。
- 399 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:45:56.54 ID:fe6gX1saO
- 「あっ…そのままでも、良いので聞いて下さい…ね?」
夜中に目が覚めたと思ったらベッドの下から女の声がする。
これ、何て都市伝説?
とにかく俺に選択肢はないようだ。
「あ、あの、私、いつもあなたの事、見てます…!!」
不思議と恐怖は消えた。
ただ、「そうなんだ」とだけ思った。
「あなたは…ちゃんとずっと、頑張ってる、と思います…!!」
「ほ、本当は、やりたくないことも、必要だ、って感じたら、すぐやっちゃう人…だし…。」
「今のあなたは、す、凄く、格好良いです…!!」
ようやく脳が追い付いて来た。
- 400 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:46:46.17 ID:fe6gX1saO
- 「だ、だからっ!!あんまり無理しないで下さい…。」
「今は、休んで良い、から…。」
俺、泣いてる。
ずっと泣きたかった。
何故かずっと出来なかった。
あるかどうかも判らないプライドを、必死に装った報酬。
( ;A;)「あの…ありがとう…。」
違う。
俺が言いたいのはこんなちっぽけな言葉じゃない。
もっともっと、大切な言葉だ。
- 401 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:47:36.17 ID:fe6gX1saO
- ( ;A;)「ごめん…ごめん…ありがと…。」
( ;A;)「本当に…ありがとう…。」
やっぱり駄目だ。
言葉に出来ない。
「い、良いんです…本当の事だから…泣かないで…あ、いや、泣きたい時は、泣いて下さい…。」
…あれ?
体が動く。
話がしたい。
俺の事をちゃんとみてくれた人と。
- 402 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:48:25.74 ID:fe6gX1saO
- 変質者だろうと、殺人鬼だろうと、構わない。
都市伝説でも、幽霊でも、関係ない。
「あなたは、あなたのままで良いから…。」
(; 'A`)「動け…!!」
ベッドの下。
「進歩も変化も精進も努力も…。」
そこに居るのは誰か。
次は情けない事にビビって体が動かねぇ。
「しなくても良いんです…。」
「あなたは優しい。」
クソ、こんな時に…。
- 403 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:49:19.56 ID:fe6gX1saO
- ( ;A;)「違うんだ…ゴメンナサイ…本当に…。」
また薬が効いてきた。
「解ってるよ…。ずっと見てる…。」
意識が揺らぐ。
「…大丈夫です。私はずっとあなたを見てます。」
「あ、ああの、でも…。」
「あれの時は…気を、付けて下さい、ね?」
「一枚じゃ、ちょっと…あ、あの…私に、ついちゃうから…。」
- 404 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:50:45.19 ID:fe6gX1saO
- あぁ…ゴメン。
本当にありがと。
全部、解った。
そりゃあ、俺の醜態も恥態も嫌って程見てるわな。
( 'A`)「朝か…。」
寝る前の記憶が少し曖昧だ。
瞼が重い。
今日は布団干そう。
シーツも洗おう。
外へ出よう。
そういえば欲しいガンプラがあった。
その前にあれだ。
- 405 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:51:49.02 ID:fe6gX1saO
- ( 'A`)「おはよう。」
自分以外には誰もいない部屋に向かって、声を掛ける。
当然返事はない。
それでも俺には関係ない。
妄想乙?メンヘラだから?
知ったことじゃない。
- 406 ベッド ◆NIKKO.Rzcc New! 2006/09/13(水) 01:52:52.49 ID:fe6gX1saO
- 照れながら舌を出して笑う彼女。
いるはずのない彼女。
そして、それは現実。
それも関係ない。
俺には解るから。見えるから。
もう寂しくないよ。
もう怖くないよ。
本当に、本当に、ありがとう。
( 'A`)「行ってきます…あー…ティシュ三枚くらいなら見逃して貰えるか?」
本当に、ありがとう。
end