226 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 03:24:24.08 ID:pIWfG9ZOO
( ´_ゝ`)「ん、弟者どうした? ボーッとして」
(´<_`;)「え、いや…何か感じたんだ」

俺が、兄者と初めて距離感を感じたのはこの時だったのかもしれない。

(*´_ゝ`)「クッwww弟者は敏感だなぁ」

いつもの様に2ch見て、エロ画探して…
だけど、ハッと、確かに何か暖かいものを感じた。

(´<_` )「キメェ」
( ´_ゝ`)「正直スマンかった」

兄者の手がスルリと動く。途端、妙な感覚を膝上に覚える。

(´<_`#)「だから何で太股さするんだよ」
(;´_ゝ`)「いや、なだめようとしてだな…感じ易いんだろ?」
(´<_`#)「……馬鹿か…ちょっと出て来る」
(;´_ゝ`)「おい、弟者どこ行くんだ?」
(´<_`#)「コンビニだ」

そうして俺は部屋から飛び出した。

228 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 03:25:10.06 ID:pIWfG9ZOO
(´<_` )「さて…どうするか…」

勢いに任せて部屋を出るなんて俺らしくないな。
持ち物が出る時に羽織ったコートのポケットに偶然入っていたものしかない。
薄い財布と、電池の減った携帯だ。

(´<_` )「取りあえずコンビニでも行くか…」

吐いた息が白かった。
適当に吐き捨てた言葉通りに向かうなんてな…
自嘲して鼻で笑ったら、丁度擦れ違ったカップルに睨まれた。
コンビニまでの5分間、俺は俯いて歩いた。
ただでさえ寒いのに、余計寒く感じる。
早くコンビニに入って暖まりたい。

ガー、
低い音をたて、コンビニのドアが開く。
言い方は悪いが、モワッとした空気が顔に当たる。

(´<_` )「ったく…地味に混んでるな…」

見渡せば、暖を求めて来ているのかと思う程混み合っていた。

(´<_` )「まぁ良いや」

取りあえず雑誌を立ち読みする。

229 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 03:27:27.71 ID:pIWfG9ZOO
(´<_` )「………秋田県」
読み初めて早30分たつ。
雑誌を無造作に棚に戻すと、缶コーヒーと肉まんを二つずつ買ってコンビニを出た。
俺も大人気なかった。それに兄者に悪気があったとは思えない。
帰って兄者に謝るか……
俺は家に帰る事にした。今はもう俯いていない。
寒い空気のお陰で気持ちまで清々しく感じる。

「あれ〜? 私の10円玉がないよぉ〜」
(´<_` )「ん?」
家とコンビニの中間辺りにある、公園前の自販機で俺は立ち止まった。
どうやら自販の隙間にお金を落としたらしい。
(´<_` )「どうしたんですか?」
気持ちが晴れているからか、変な事を言ってしまった。
从'ー'从「え? 実は10円玉落としちゃって〜探してたんですぅ〜」

顔を上げた彼女を見たら、左手が急に暖かくなった。
心臓の音も強くなる。これが一目惚れか?

(´<_`;)「じ、10円ですか、ならお、俺が上げますよ」

まずい、噛んでしまった。

从'ー'从「ん〜、ありがとうございます、でも良いです」
(´<_` )「?」
从'ー'从「ギザ10だったんですよぉ〜!」
(´<_`;)「………^^;」

どうやら彼女は俺の思う「普通」ではないらしい。

237 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 04:21:24.79 ID:pIWfG9ZOO
苦笑いする俺にニッコリ笑うと、彼女はまた自販の下に手を突っ込んだ。

(´<_`;)「あの…ん?」

俺の携帯のバイブが突然鳴った。見れば兄者からだった。

(´<_`*)「兄者も謝ろうとしてたのか…流石兄弟」

frm:兄者
本文:今コンビニか?ついでにうまい棒買い占めて来てくれ

(´<_`#)「………」ピキピキ
(´<_`#)「あの、良ければコーヒーあるので飲みませんか?」

少し声が大きかったかもしれない。だが、しゃがんでいる女性は嫌な顔もせず俺を見てくれた。

从'ー'从「何コーヒーですかぁ〜?」
(´<_`;)「え…MAXコーヒーですけど…」
从'ー'从「いただきますぅ〜、ありがとうございますぅ〜!」
(´<_`;)「じゃあそこの公園で…」
从'ー'从「はい〜」

そう言って、彼女は内股気味に立ち上がると、パタパタとスカートをはたいた。
はたき終わると、トテトテと公園に向かう。
俺はその彼女の背中を見てからしゃがむと、自販の下に手を突っ込んだ。
すぐに10円玉が見つかった。
俺は再び苦笑いして、彼女の背中を追った。

238 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 04:22:22.50 ID:pIWfG9ZOO
私の名前は「渡辺」だと彼女が教えてくれた。
コーヒーは少し温くなっていたけど、彼女は美味しそうに飲んでいた。
ついでに肉まんも渡辺さんに上げた。
今更兄者に上げる気など残ってはいない。
それから色々話した。主に俺が、兄者の愚痴を。
それでも彼女は嫌な顔一つしなかった。
むしろ微妙にずれたアドバイスをしてくれた。
渡辺さんが肉まんを二つ食べ終わる頃には、渡辺さんも自分の話をしてくれるまでになっていた。

(´<_`*)「渡辺さんか…可愛かったな…」

俺は帰り道を歩いている途中ずっとにやけていた。
時折、交換したアドレスを眺めてはニヤけ、また眺めてニヤけ…
家に着いてもニヤけていた。

(´<_`*)「ただいまー」
( ´_ゝ`)「おう、おかえり弟者」
(´<_`*)「兄者か…さっきはスマンかった…下らない事で怒って」
( ´_ゝ`)「いや、良いんだ分かってくれれば、ところでうまい棒は?」
(´<_`*)「ねーよwww」
(#´_ゝ`)「頼んだじゃないか!」
(´<_`*)「フラグktkrでそれどころじゃなかったんだよ」
(;´_ゝ`)「ふ、フラグ…sneg?」
(´<_`*)「驚くなよ」
(;´_ゝ`)「ん、kwsk」

239 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 04:24:27.40 ID:pIWfG9ZOO
俺は簡単に彼女との出会いを話した。
(;´_ゝ`)「mjd?」
(´<_`*)「こんな嘘ついたら普通しにたくなるだろ」
(;´_ゝ`)「ムムゥ…」

さっき感じたのと同じ、くすぐったくて生暖かい感覚が膝上にした。
それが上下する。

(´<_` )「なんのつもりか知らんがそれは止めろ」
(;´_ゝ`)「え?あ、あぁ…これが夢じゃないか心配でな」
(´<_` )「そうか、なら自分で確かめろ」
(;´_ゝ`)「正直スマンかった」

右手を掲げる俺に兄者は素直に謝った。
だが、
(´<_`*)「今はそんな事どうでも良いや、渡辺さんにメールしよ」
( ´_ゝ`)「弟者、虹ロリは良いのか?」
(´<_`*)「三次に開眼した」

俺はベッドに横になるとメールを打ち始めた。まずは適当に。
意外と返事は早かった。

(´<_` )「何してるんだ?」
(;´_ゝ`)「いや、気になって」

どうやら兄者も興味深々らしく、俺の背後から携帯を覗く。
(´<_` )「兄者はPC弄っててくれ」
( ´_ゝ`)「うむ…把握した…」
そう言って、一度はPCの前に戻る兄者だったが、気付けば俺の後ろにいた。

240 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 04:26:56.49 ID:pIWfG9ZOO
風呂入る

249 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 05:27:10.12 ID:pIWfG9ZOO
ですよねー^^

(´<_`#)「兄者いい加減にしろ、怒るぞ」
(;´_ゝ`)「待て待て、もちつくんだ」
(´<_`#)「………」

俺には理解出来なかった。いくら仲が良い兄弟とはいえ、個性はある。

(´<_` )「次見たら俺が出て行く」
( ´_ゝ`)「…そうか…分かった」

それから、兄者は俺に近付かなくなった。
時折近付こうとはするが、何かを思い出したようにまたPCの前に戻るのだった。

250 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 05:40:14.80 ID:pIWfG9ZOO
そうして早くも一週間が過ぎていた。
その間、俺と渡辺さんは毎日メールしていた。
まるで赤い糸を手繰り寄せる様に、俺は渡辺さんに近付いている気がする。
反面、兄者との関係は余り良くない。俺は暇さえあれば渡辺さんとメールしていた。
そうなると、もう兄者の事何てどうでも良かった。

だから、俺は言ってしまった。

(´<_` )「兄者、部屋を別々にしないか?」

元々一緒だった事の方がおかしいのだ。だから、言ったのだ。
俺は自分にそう言い聞かせた。
しかし、実際の所、兄者との距離感が分からなくて怖かった。
一度離れた兄者と、どう話をすれば良いか分からなかったのだ。
俺がメールしてる時は兄者は近寄れなくて、メールしてない時は近寄っても大丈夫。
それでは余りにも兄者の立場が無い様に思えてならなかった。

だから言ったのだ。

( ´_ゝ`)「…そうか、母者に後で言いに行こう」

一瞬の沈黙の後、兄者が言った。
俺は兄者との溝を改めて実感した。
俺が開けた、深い溝だった。

350 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 16:48:40.19 ID:pIWfG9ZOO
その日の晩、俺と兄者で、母者に部屋を別々にするように頼んだ。
そりゃ最初は驚いていたけど、
「まぁ、難しい年頃なのかねぇ…」
と許してくれた。
俺は物置に使ってた部屋で寝る事になった。
多分、今度の休みにでも部屋を片付けて、兄者の部屋にある俺の荷物も整理するのだろう。

(´<_` )「…兄者」

考えていたら目が熱くなっていた。
母者に言いに行って、最初に口を開いたのは兄者だったのだ。
それも反対する為じゃなく。

( <_  )「兄者…俺は兄者との関係を壊してまで何が欲しかったんだ…?」

俺が呟いた。直後携帯が揺れた。


(´<_` )「渡辺さんか」

携帯を開く。渡辺さんの良く分からない顔文字で文は始まっていた。

(´<_` )「俺には渡辺さんの方が…大切なんだよな」

実際、渡辺さんとメールするのはとてつもなく嬉しい。
しかし、だからと言って………
俺は兄者と部屋を別々にした事を後悔していた。
隣りに誰もいなくて寒かったから。
兄者との溝をこれ以上広げたくなかったから。
理由何て幾らでもあった。

351 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 16:49:58.44 ID:pIWfG9ZOO
(´<_` )「でも…どうすれば…」

気付けば、俺は情けなくも渡辺さんに相談していた。
勿論渡辺さんの名前は出さない。

(´<_` )「情けねぇ…っと来た」

携帯が揺れる。直ぐにメールを開けた。

(´<_` )「…仲良くなるにはスキンシップが大切なんですぅ〜…スキンシップか」

俺は携帯を閉じ、決心した。

(´<_` )「兄者の部屋に行く!」

立ち上がり、暗い天井を見上げた。
その暗さが夜明け前の暗さに感じられた。

俺は静かに物置の扉を開けると、薄暗い廊下を急いだ。
そして、兄者の部屋の前に立った。

(´<_` )「兄者、起きてるか?」

返事がない。寝てたのか………
まあそれはそれで都合が良い。
俺はゆっくりと扉を開けた。

352 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/15(金) 16:51:21.16 ID:pIWfG9ZOO
兄者の輪郭が、PCの青白い光で照らし出されていた。
その輪郭が僅かに上下する。
薄暗い部屋には、汗の臭いが漂い、兄者の荒い息が全ての音だった。

(´<_` )「俺がいなくなった途端これか」
(;´_ゝ`)「ヒャワッ! おと、弟者! 驚かすな」
(´<_`;)「兄者…部屋の前で待ってるから汚いもの早くしまえ」
(;´_ゝ`)「ウム、頼む」

俺は部屋の前に出ると笑ってしまった。いつもの兄者じゃないか。

(´<_` )「兄者…怒ってるか?」

ドアに寄り掛かりながら言った。すると反対側から、ミシ、と小さく音がした。

( ´_ゝ`)「いや、怒ってないぞ」
(´<_` )「そうか、すまなかった」
( ´_ゝ`)「良いんだ、弟者に彼女が出来たら自分の部屋ぐらい必要だろ?」
(´<_`*)「か、彼女なんて…きごほよいな…」
( ´_ゝ`)「だから俺の事は気にすんな」
(´<_` )「兄者…ありがとう」
(*´_ゝ`)「彼女のパンツうpwktkしてる」
(´<_`#)「………」

それから、俺は一緒に寝た。多分これが最後だ。
隣りで寝る兄者が凄く暖かくて、俺の目頭が、また熱くなっていた。
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