133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 19:06:18.84 ID:PGE28IEZO
お題俺にも俺にも。

209 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 20:24:43.42 ID:PGE28IEZO
僕の一番強い気持ち。
それはたぶん好奇心。恐いもの見たさっていう、我慢の利かない感情。

言っておくけど僕は、幽霊や怪談、恐怖物の番組や心霊写真は大っ嫌いなんだ。

でも、好奇心はいつだって僕を怖い方へ追いやる。
見たくないのに、聞きたくないのにその場から離れられないんだ。

('A`)「あー、見るんじゃなかった」

枕に顔を埋めて思いっきり布団の上でばた足をした。畳の固さが、足の甲に伝わってくる。

完全に焼き付いた、白いマスクと裂けた口のせいで、窓は【怖いもの】に変わってしまった。

深夜1時をとっくに過ぎているから、外から聞こえる音はほとんど無い。
代わりにモンゴルァ8000のカセットが延々リピートしていて、部屋の静けさをかき消してくれている。

('A`)「今夜は眠れなさそだな」

ため息混じりに呟きながら、壁に向かって転がってみる。
枕とタオルケットを乗り越え、2回転ちょいで背中が壁にくっついて止まった。

急いで手を伸ばし、タオルケットを引き寄せ頭からかぶる。
窓なんか、怖いワケがない。って呟きながら。

タオルケットの即席王国は、少しだけ気持ちを落ち着かせてくれた。


211 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 20:27:00.68 ID:PGE28IEZO
ふいに部屋から音楽が消えた。テープがラジカセ内でがちゃがちゃ言ってる。

裏面に移るんだろう。それに気付いてさらに思い出したく無い事に気付く。

曲の前は30秒くらい空白を入れるのが僕のポリシー。もちろん、今ほどそれを後悔する時は無い訳だけど。

部屋にいきなりやって来た無音の世界に、体が自然と強ばった。
無意識にポケットの中の携帯を握り締める。


ぴりりりりりり


電子音と僕の絶叫が、当たり前の生活から脱線する合図だったんだ。


212 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 20:30:42.19 ID:PGE28IEZO
('A`)「えあうあぁああ!?」

3センチは確実に、体が浮いた気がする。人って驚くと本当に飛び上がるのか。
そんな事を考えながら、一気にMAXまであがった鼓動をなんとか押さえつけてメールを見る。
指の震えが全然とまらない。あぁやだやだ。

細かく揺れる画面には「宿題のネタ見つけた。明日昼集合」とあった。送り主は見なくても判る。ショボンだ。

自由研究、すっかり忘れてた。夏はもうすぐ終わるってのに。

('A`)「だがショボン、明日がお前の命日だ。僕を驚かした罪は果てしなく重い」

ふははははと笑いながらタオルケットを体に巻き付ける。
安っぽいマントを身にまとって、6畳部屋の王は寝ることにした。

もう一度背中を壁に付けて、布団に転がる。
洗濯ばさみで隙間が出来ないようにされたカーテンが目に入った。

……今日はうつぶせに寝ることにしようか。顔は壁の方へ向ける。

窓が怖いわけでは無いのだ。王は何も恐れない。
ふははははは。

221 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 20:51:15.22 ID:PGE28IEZO
〜翌日〜
日が昇ってもうずいぶん経つ。
とりあえず、新聞屋の兄ちゃんと隣の家のヤンキーは王の権限で死刑決定。
深夜に物音をたてるのが悪い。怖くは無い。迷惑なのだ。

('A`)「ほわあああぁぁ」

あくびを一つ。
父母妹は、それぞれ会社・囲碁サークル・部活に朝早く出て行った。

それにしても、眠気とやる気のなさが物凄い。夏休みが人をダメにするのは、どうやら疑い様の無い事実らしい。

見事なぐうたらっぷりで居間のソファーに寝そべっていたら、笑っていいとも増刊号が始まった。

同時に電話が鳴りだす。
正直めんどくさい。無視に限る。

ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる
ぷるるるるるる

うるさい。しつこい。鳴りやまなそうなので仕方なく出てやる事にする

222 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 20:58:41.68 ID:PGE28IEZO
('A`)「はい」
(´・ω・`)「あっドクオ??起きてた?」

馬鹿ボンだ。

('A`)「起きてるよ。非常に眠いけどね」
(´・ω・`)「おぉ?また怖いもんでも見て眠れな」
(#'A`)「ぶち殺しますよ?」
(´・ω・`)「悪かった悪かったよ。で、メール見た?」

昨晩、王を布団から浮かせたアレの事か。

('A`)「ああ、見たよ。ネタって何さ」
(´・ω・`)「知りたいなら僕んとこおいでよ。ご飯くらいは作ってあげるよ。どうせ、どっちもまだなんでしょ?」
('A`)「ショボンの料理?どうしても遠慮したいんだけど」
(´・ω・`)「じゃネタは無しだ」
(;'A`)「あああああ、わかった!わかったから!」
(´・ω・`)「じゃ待ってる。早くおいでよ」

それだけ言って電話は切れた。
どうやら僕に選択権は無いらしい。しょうがない、行ってみるか。
適当に服を選んで家を出た。


225 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 21:09:46.56 ID:PGE28IEZO
〜ショボ宅〜
お世辞にも綺麗とは言いにくい部屋の真ん中。ちゃぶ台の向こうに馬鹿ボン。
二人の間に一冊の本。

('A`)「あー、ショボンくん」
(´・ω・`)「なんですかドクオさん」
('A`)「これはなんですかショボンくん」
(´・ω・`)「都市伝説の本です」
('A`)「心霊モノですよねショボンくん」
(´・ω・`)「当たり前ですよねー」
('A`)「ですよねー」

(#'A`)「……」
(;´・ω・`)「……」

(#'A`)「あんたって子はぁぁぁぁあっっ!!」
(;´・ω・`)「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃ」



231 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 21:39:35.17 ID:PGE28IEZO
とりあえず投げるものが無くなったので話を聞いてやることにした。

('A`)「で、なんでこんなものを見せるのさ」
(´・ω・`)「……だって」
('A`)「だって?」
(´・ω・`)「一人でこれやるの怖いんだもん」

(#'A`)

(´・ω・`)「あああ待って待ってまって!!」
(´・ω・`)「写真撮るだけだから!明るいから!二人だから!」

(´@ω@`)「ぎゃあああああ」

233 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 21:44:29.80 ID:PGE28IEZO
本当に帰りたい。目の前の本をこいつの口に突っ込みたい。

(A` )「お願いだから写真のページはやめて下さい。血みたいな字のページもやめてください」

そっぽを向きながら頼む。
(´・ω・`)「そんなに恐がらなくてもいいでしょ?」
(A` )「嫌なものはいやなんだ」
(´・ω・`)「しょうがないなぁ。じゃ、何をやるかだけ説明するね」

顔を背けたままの僕にショボンは話し始めた。

(´・ω・`)「都市伝説ってしってる?口裂け女とか、ベッド下の男とか、海岸のフジツボとか」
(A` )「シッテマス。シンジャエー」
(´・ω・`)「それを調べるんだよ。どこでいつ何をすれば、都市伝説と出会えるか」
(´・ω・`)「方法だけは調べたんだよ。でも実行するのが怖くてきみを呼んだんだ」
(´・ω・`)「きみは写真を僕と何枚か撮るのに付き合ってくれればそれでいい。明るい時間だし、二人。怖くないでしょ?」

(A` )「  」
('A`)「こわいからやだ」
(´・ω・`)「でも、都市伝説なんて噂の集合体みたいなものだよ?実在するわけないじゃない」
(´・ω・`)「適当に写真撮って【そんなものには出会えませんでした】で宿題完了。ね?いい話でしょ?」
('A`)「ショボン」
(´・ω・`)「ん?」
('A`)「怖いの無いな?絶対だな?」
(´・ω・`)「無いにきまってるじゃない」
('A`)「そっか……本当に、ほんっとーに嫌だけど宿題のタメかぁ」

315 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/12(火) 23:59:24.44 ID:PGE28IEZO
書きあがった。投下再開します。

ショボンはカメラと変なビン。僕は手ブラで出掛けた。
  〜小学校校庭〜

('A`)「で、ぼくは何をすればいい?」
(´・ω・`)「とりあえず、校庭の真ん中に立って」
('A`)「ひとりで??」
(´・ω・`)「うん、その通りなんだすまない。この酢昆布はさーびすだから」(*'A`)「……すこんぶ」
(´・ω・`)「で、合図したら」
〜(´・ω・`)ノシ「こんな感じに踊り狂って」
(*'A`)「おう。まかせといて!」

316 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:00:30.08 ID:s/CVLENHO
鼻から抜ける爽やかな香りに気分も自然と良くなった。いわれた通り真ん中に立ってショボンを見た。

(*'A`)「おーい、ここでいいかー」
(´・ω・`)「いーよー」

(´・ω・`)「じゃ、よーい……ハイ」


(((*'A`)ノシ バタバタ

……(*'A`)ノシ パタパタ

……('A`)ノシ

('A`)「はぁ……はぁ……しょぼーん!まだー!?」
('A`)「あ……あれ?しょぼん?」

323 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:11:09.99 ID:s/CVLENHO
なんか変だ。すごい音が聞こえる気がする。心なしか足元も……揺れてる?
ショボンはカメラを構えず( ゚д゚ )こんな顔でこっちをみてる。

さすがに気付くよ。何か後ろに来てるんだ、って。
酢昆布の味がしない。唇が一気に乾いて、喉まで水分がなくなったみたい。

見たくない。なのに見てしまうのが僕の押さえられない感情のせい。

振り返らなきゃよかった。
('A`)「  」

(;A;)「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


324 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:12:34.06 ID:s/CVLENHO
土煙をあげて走ってくるオカシイやつら。
喉が破れるほどに叫び続けながら、僕は観察がやめられなかった。

上半身だけのおばあさんが血の道を作りながら這って来る。
ぼろぼろのバイクの上には首の無いライダー。
頭をドリブルしながら走ってくる女の子は10才くらい。
鮫島。
校庭の脇にいた二宮金二郎像も台から飛び降り、一団に合流した。

そして

从゚∀从「これでも綺麗かー!!」
口の裂けた女がいた。

325 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:13:20.19 ID:s/CVLENHO
(;A;)「ごめんなさいごめんなさいごめなさいいい!」

叫びながら全力で逃げた。
心臓が破裂しそうにいたい。でもそれ以上に後ろは最悪だ。

(;A;)「しょぼんっ!逃げようっ」

我を失っていたショボンの手をつかみ無理矢理走る。

(#'A`)「なんであんなにたくさんいるんだよ!」
(´・ω・`)「いくつかを何回かにわけるの面倒だから、全部方法混ぜちゃったんだ。効率重視って奴だyぐふぅぅぅ」

思いっきり殴ってやったら馬鹿ボンが気絶した。予想外。

326 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:15:54.07 ID:s/CVLENHO
((#'A`))「あああああしょぼ起きて起きておきて!」
(´。ω゚`)

(#'A`)「役立たずー!馬鹿ボンッ!阿保ボンッ!!なんか使えるもの持って無いのっ!」

(#'A`)「これは!?えええい、どうとでもなれ!」

手に握り締められてたビンをもぎ取ってブン投げた。
その一瞬《ぽまーど》の字が見えた。

328 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:27:36.76 ID:s/CVLENHO
(#'A`)「はぁっはぁっ」

呼吸するのに精一杯でもう動けない。でも、ラッキーだった。
ビンは先頭を走る口裂けにあたった。

从 ∀从「ああああああああああ」

耳を塞ぎたくなるような、寒気のする叫び声と同時。
口裂けはまわりのヤツラを殴り、噛み、投げ、蹴り、食い千切った。

((('A`)))「あ……あ……」

あまりの光景にことばが出せない。

不意の攻撃に、かわすことのできなかったヤツラは、次々と黒い塵になって吹き飛んでいった。
残ったのは二宮金二郎だけ。

从 ∀从「あああああ」
(金゚∀゚)「うあああ」
二人がぶつかり合った瞬間、真っ黒の塵が風に巻き上げられ吹き飛んでいった。

329 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:29:22.04 ID:s/CVLENHO
('A`)「なん……だったんだろ」

目の前にはただのグラウンド。ビンが一本だけ落ちている。

不思議と怖くない。あんなオカシイものに巻き込まれたのに。

('A`)「しょぼ、起きて」

ぺちぺち

(´+ω・`)「う……ううん」
('A`)「かえろう?早く休みたいんだ」

夕暮れが校舎を真っ赤に染めている。空でコウモリが、鋭角に方向をかえた。

330 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:30:45.34 ID:s/CVLENHO
〜しょぼ宅〜
('A`)「 」
(´・ω・`)「 」

なんだか話す力も無いや。頭の中もごちゃごちゃで疲れた。

すっかり外は暗くなってた。家にはしょぼの家にとまるって電話しといた。

(´・ω・`)「ドクオ」
('A`)「ん?」
(´・ω・`)「宿題どうしようか」
('A`)「新聞集めて天気調べにしようよ。もう、あんな思いはしたくないし」
(´・ω・`)「うん。そうだね。ふたりでやれば効率も良さそうだ」

(´・ω・`)「じゃ僕、風呂入ってくるよ。ごろごろして待ってて」
('A`)「わかったー」

ぱたん

しょぼがでていった。
言われた通りごろごろするため、ベッドに飛び乗った。

331 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/13(水) 00:31:49.72 ID:s/CVLENHO
自分の部屋と違う匂い。見慣れぬ窓外の風景。慣れない部屋に一人。
……マッハの速度で部屋中のカーテンを閉める。怖くはない。王は恐れない。

けど、はやくしょぼ帰ってこないかな。
背中を壁にぴったりくっつけて寝転んでみると、枕元に酒ビン持った猫の人形を見つけた。
なんとなく、背中はくっつけたままが良くて指先だけで取ろうとしてみる。

('A`)「まあ、落ちるよな」

仕方なく猫人形を救出に向かう。

足を壁にくっつけた形で、上半身を折り曲げ、落ちた人形を掴む。

(*'A`)「よーし、任務かんりょ……」

ふと視線を感じてベッドの下に目をやる。


( <●><●>)

おとこがいた


(;A;)「いやぁぁぁぁぁあ!」



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