61 真ドクオ物語 New! 2006/09/14(木) 22:56:17.19 ID:fPz30OX4O
題:駐車場、うんこあまぞん、雷、夏休み、VIP

('A`)「あー、やっぱVIPのレベル下がってんなぁ」

エアコンをガンガンにつけ、少し肌寒さを感じるくらいに。それが俺のやりかた。
パソコンの画面はもちろんVIP。ただ、夏休みの時期の為、非常に面白くない。

外は猛暑で、何処かの誰かが死んだらしい。
ハンカチ王子世界へ。
お偉いさんの子供がお生れに。

俺には関係なくやっぱり世界は進み、止まっているのは俺だけだ。
いや、俺だけじゃない。
モニターの向こう側の奴だって時間が止まっているはずだ。うんうん。

『アン、アンアン!』

('A`)「隣のバカップル……女がまた変わってやがる」

63 真ドクオ物語 New! 2006/09/14(木) 22:57:22.76 ID:fPz30OX4O
なんで世の中はこんなにも間違っているんだろう。
とっかえひっかえ女を変える奴より、俺の方が真面目なのに。
正直者は馬鹿を見るって奴か。

『すいませーん、宅急便ですおー』

お、うんこアマゾンから荷物が届いたな。
今回はエロマンガだから、前みたいに特典が入ってないって事も無いだろう。

('A`)「今、開けますよ……っと」

ドアの前に立っていた配達員は汗だくで、俺の部屋から出る冷気に驚いている。
嫌な目だ。そんな目でみないでくれ。

( ^ω^)(何でこいつ真っ昼間から、エアコンガンガンにしてエロ本の注文なんかしてんだ?
ニートマジキメェ。働けやボケ。
それにしてもクッセー部屋……死ねば日本経済の救いになるのに。)

俺の妄想は留まる事を知らない。
いや、こいつは絶対にこんな事を考えてる。決まってるんだ。
やべぇ、恐い。

64 真ドクオ物語 New! 2006/09/14(木) 22:59:02.73 ID:fPz30OX4O
( ^ω^)「サインお願いしますお」

ああ、サインね。
だが、手が震えてうまく書けない。
早くしなきゃ。早くしないと。

( ^ω^)(こいつなんできょどってんの?
マジきめぇ。マジきったねぇ字)

なんて考えられちまう。

足はガクガク、汗、ダクダクになりながらもなんとかサインを終えた。
ミミズの這ったような俺の字が俺に渡される。
この配達員、会社に帰ってから俺の事を言い触らすんだろうな。やだな。

( ^ω^)「ありがとうございましたお。失礼します」

配達員が去った後、俺はフローリングに座り込んだ。
どうしようもない虚脱感と、絶望感が俺を襲う。
あれほど楽しみにしていたエロマンガも開ける気にならない。
いつもこうだ。もうアマゾンなんか使うもんか。

65 真ドクオ物語 New! 2006/09/14(木) 22:59:53.60 ID:fPz30OX4O
俺は一体何をしているんだろう。
何がしたいんだろう。
何をすればいいんだろう。

('A`)「……コンビニでも行くか」

持ってから鳴った例しの無い携帯を持ち、いや、鳴る事はある。迷惑メールが。

友達。――なにそれ。
親。――しらね。
恋人。――都市伝説だろ。

俺は外に出た。遠くの方で雷が鳴っている。
まるで今後の俺の未来を予測しているみたいだ。

今は平気でも、未来は暗い。
やだやだ。考えたくもないぜ。

67 真ドクオ物語 New! 2006/09/14(木) 23:00:36.51 ID:fPz30OX4O
川 ゚ -゚)「うーむ、困ったな」

コンビニに行く途中の駐車場、女が腕組みをしつつ、車の前で首を捻っていた。
どうしたんだろう。声を掛けようか。
声を掛けて、もしかしてお礼とかなんとか。
あ、VIPにスレ立てもしなきゃ。スレタイはどうしよう。

……結局通り過ぎてしまった。情けない。

『もしもし、車が動かなくなったから迎えに来てほしいのだが』

背後から女が携帯で話しているのが聞こえる。やっぱり彼氏持ちか。
危ない危ない、修羅場は御免だぜ。

『今すごいキモイ男が通ったよ。こっちチラチラ見てんの。
早く来てくれ』

68 真ドクオ物語 New! 2006/09/14(木) 23:01:34.40 ID:fPz30OX4O
俺は何も聞いちゃいない。何も見ていない。泣いてなんかいない。
糞、くそ、クソ。みんな死ねばいいのに。

テレビから女の子が出て来たらいいのにな。
ペットが女の子に変わればいいのにな。
空から女の子が降ってくればいいのにな。

('A`)「……ふふ」

本当の俺は強くて聡明。
めちゃくちゃ喧嘩が強くて、女に冷たいんだ。
刃物になんか負けやしないし、弾丸だって躱してみせる。

そういう場面が現実にないから、俺は輝かないんだよな。
あーあ、親の仕送りなくなったらどうしよう。

ふと気付くと、コンビニは遥か彼方だった。

……死にたい。現実なんて嫌いだ。

終わり

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