76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/09(土) 00:14:55.10 ID:HUagNUmz0
( ^ω^)とξ゚听)ξとイオナズン

目的ってのはいいものだ。どんなに足が速かろうと、
あてもなく走っていたって何処にもたどり着けないから。
ま、オレの場合は、スペックだって高くはないわけだけど。
いや、スペック高くない分、無目的ってのは致命的、なのだろう。

だからオレは常々、思っている。
オレだけの目的がほしい。
ささやかでかまわない。
くだらなくてかまわない。
エロゲだってかまわない――胸を張って、誇れるならば、なんだって。

生きていく、理由がほしい。

(;'A`)「いや……『なんだって』は、訂正しようかな」

オレはぼやく。超ぼやく。
誰だってぼやきたくもなるだろう、なんて厨くさい台詞を吐きたくなる。
深夜の路上。煙草を加えて会社からの帰り。
手にはさっき薬局で買った「いいちこ」と柿の種。
そして、目の前には西洋剣を構えた少年と、
大きな木の杖を構えた少女が立っていた。

( ^ω^)「何を呟いてるお?」
ξ゚听)ξ「何を使うか分からない魔術師の言葉には、耳を貸しちゃダメよブーン」
(;^ω^)「ハッ、そうだったお」

こちらを見据えて、西洋剣を構えなおす少年。
油断なくこちらを睨んでくる少女。

77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/09(土) 00:15:30.42 ID:HUagNUmz0
(;'A`)「どう見ても電波です。本当にありがとうございました」
ξ#゚听)ξ「誰が電波よ!」
(;'A`)「生きていくにしても、オレは現実でもう少し頑張ります」
ξ#゚听)ξ「何よ! 週末はエロゲー三昧ですみたいな顔して!」
('A`)(ヒデェ)
(;^ω^)「ちょwwwおまwww反応すんなwww」
Σξ゚听)ξ「!」
ξ#゚听)ξ「計ったわね!」
(;'A`)「工工エエェェ('A`)ェェエエ工工」

いまどき小学生でも使わないようなベタなボケ。
突っ込む気にもなれず、オレは一歩下がる。
服装は普通だし、ぱっと見そんなにイカレてる様でもないが、
何処の世界にリーマン魔術師を襲う、パーカー剣士と、ジーンズ魔術師がいるものか。

(;'A`)「あの、事情を聞かせてくれると、とてもありがたいんですが」

オレの言葉を聴いてくれたのか、それともはじめから言うつもりだったのか、
女の方が口を開く。

79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/09(土) 00:16:04.05 ID:HUagNUmz0
ξ゚听)ξ「あなたドクオね。ヒトリミ・ドクオ。ここに――VIP市に住んでる」
( ^ω^)「ヒトリミ家の一人っ子長男。母子家庭。カーチャンは元気かお?」
(;'A`)「あんたらストーカーか何かッスかwww」
ξ゚听)ξ「大いなる術からは何者も逃れられないわ」
( ^ω^)「良く分からないけど、そうだお」
ξ゚听)ξ「それは魔術師である貴方が一番良く知ってるはずよ」

改めてこちらを睨みつけて、女が一歩踏み込んでくる。
オレが思わず一歩下がると、女は怪訝な顔をする。

ξ゚听)ξ「フツー“領域”をむざむざと明け渡す? 魔力も感じないし、アンタ何企んでんの?」
(;'A`)「いや、あの、何にしやしょう」

思わず良く分からないことを口走る。つか相手が良く分からないことを口走っている。
オレの応えは、当然というべきか、要を得ないものだったのだろう。女が言う。

ξ゚听)ξ「……まぁいいわ、斬れば分かることだもの。ブーン」
( ^ω^)「了解したお」

男が応えて、一歩を踏み出す。途端に、不穏な圧迫感がオレを包んだ。
殺気とかそういうものだろうか? 西洋剣を構えてるからか?

なんかよくわからんが、これって危なくね?

(;'A`)「……フヒヒッ、すいません!」

オレは素早く一歩下がりつつ、跳ね上げた腕で鞄を放り投げた。

80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/09/09(土) 00:16:47.98 ID:HUagNUmz0
(;^ω^)「おっおっ」

投げつけるやすぐさま踵を返した俺の後ろから、男の慌てた声。
効果を確認する間も惜しんで、オレは必死で走る。
なんか良く分からんまま斬られてたまるか。そんな気分。
オレもなかなか熱い所あるじゃん、きめぇ、とか、心の中でオレが言う。
うっせぇ。命あっての喪のだねだ。

ξ#゚听)ξ「背中を見せるとは、予想外ッ!」
( ^ω^)「追うお!」
ξ゚听)ξ「必要ないわ。驚いたけど――背中を見せてるもの。離れて!」

後ろで女の鋭い声。
思わず走りつつ振り返った俺が見たのは、青白い光に包まれる女の姿。

ξ゚听)ξ「赤い星、黒い雨、白い川、青い雪、天上天下を一切合財私の色に染め上げろ!」
(;^ω^)「ちょwww流石のぼくでもその呪文は引くわwww」

やばい。宇宙ヤバイ。そんな言葉が頭の中でスパークする。

ξ゚听)ξ「集って叫べ! イ オ ナ ズ ン !」

女の声が、びりびりと空気を揺らす。

悪寒と爆発した光が、世界を一瞬で青色に染め上げた。
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