829 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:34:04.56 ID:ogeoKxT70
こに閉じ込められてから、もう何年経ったのだろう…

この部屋は俺達を監禁するためだけに作られた物なのだろうか…

それとも何か他の理由で作られた物なのだろうか…


俺達は今、何処とも知らない部屋に閉じ込められている


部屋全体が真っ白 壁も、扉も、便器も、天井も、床も…
全てが白い


そして扉と反対側の壁は全てガラス張りになっている

(´・ω・`)「寒いね…」

('A`)「あぁ…」

(´・ω・`)「もうちょっと寄ってくれない?」

('A`)「あぁ…」

そう言って俺は身をすり寄せた

830 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:35:01.11 ID:ogeoKxT70
俺達は何故ここから出ることが出来ないのかを知らない

いや…連れてこられた理由すらも知らない

まるで脱出する事を拒むかのように作られた扉

俺達の力じゃ壊す事なんて不可能な程の強度を持つ換気扇

完全な密室ではないにしろ、脱出は出来ない

そんな空間で俺達は…何年過ごしたんだろうな…

835 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:39:53.88 ID:ogeoKxT70
ある日俺達は仕事帰りにバーに寄っていた
その日はとても寒く、何か強い酒でもあおっておこうかな…
そう言っていつものバーへと入っていった

(´・ω・`)「今日は本当に寒いよね」

('A`)「俺らみたいな軟弱な野郎には堪える寒さだ…」

( ^ω^)「ブーンは軟弱じゃないお」

(´・ω・`)「嘘つくなよ」

('A`)「酒も飲めないのにか?」

( ^ω^)「ちょ、お酒くらい飲めるお!」

そう言っているブーンの手元にはコーヒーカップがある

('A`)「お前が酒飲んでるとこなんか見た事ないぞ」

( ^ω^)「そこまで言われたら飲むお!マスター!なんか強いのくれお!」

(´・ω・`)「死ぬよ」

( ^ω^)「お酒なんかじゃ死なないお!」

838 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:41:31.64 ID:ogeoKxT70
こんな感じだった…

もう何年も前の話だろうから、おぼろげにしか覚えていない


その後俺達は酒を飲みながら、会社での愚痴を吐きまくっていた

部長の事だとか…

新入社員の奴の面倒とか…

給料が割りに合わないとか…


そんな他愛も無いただの話…

それを肴に酒を飲んでいただけだった…

(´・ω・`)「ちょっとトイレ行ってくるよ」

('A`)「おぉ」

そう言ってショボンが席を立った

この時ブーンは慣れない酒のせいで、既にカウンターに突っ伏していた

841 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:43:42.06 ID:ogeoKxT70
それから三十分…

ショボンが便所から出てこない…

いくらなんでも酒を飲んだだけでこれは長すぎるだろ

それにいつもの調子ならショボンもまだ酔っていないはずなんだが…

俺はそう考えながら、トイレの扉を開け…


覚えているのはそこまでだ

そして気がつくと俺達はこの無機質な空間に放り出されていた

843 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:45:41.40 ID:ogeoKxT70
(´・ω・`)「え?何?ここ」

('A`)「何だここ…」

真っ白な空間

換気扇が回る音

天井に埋め込まれた電球

むき出しに置かれた洋式便所

そして大きなガラス張りの壁


俺達はとにかく脱出しようと、出来る事を試してみた

扉を…ガラス…換気扇を…

なんでもいいから脱出経路を確保しよう…

そう考え我武者羅に自分の体を使い、脱出しようとした


しかし…俺達の力じゃどうすることも出来なかった

845 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:47:30.35 ID:ogeoKxT70
ガシャンッ

いつものように扉にある小さな穴が開く

そこから四角い粘土のような固形食が落とされる


この瞬間が俺達に時間という概念を与えてくれる瞬間だ

この部屋に閉じ込められてからは、今の時間が何時なのかも分からない

いや、時間など俺達には必要がない


ただの白い空間

目に入るのは何年も見続けてきたものばかり…


俺達は静かに咀嚼を繰り返す

乾燥した固形食は、とても好んで食べられるような味ではない

だが俺達にはこれ以上の物を望む事すら出来ない…

848 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:50:32.29 ID:ogeoKxT70
いつものように食事を済ませ、床にへたり込んでいた

すると突然電気が落とされる

真っ白だったはずの部屋が一気に暗くなる


これは俺達がここに閉じ込められてから、ずっと行われている

時間にして何分なのか…はたまた何時間なのか…

はっきりとした時間は分からないが、一度電気が消えてしまえば、次に食料が来た時には腹が空っぽになっているということだ

つまり無駄に動かない俺達が空腹を感じるまで明かりが付かないということはかなりの時間が経過しているんだろう…


そして俺はいつものようにそのまま目を瞑った

849 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:52:53.81 ID:ogeoKxT70
再び明かりが付く

ずっと動かなかった俺でも、腹の中に何かを入れたいのが分かる


いつ食事がくるのだろう…

その期待だけで頭がいっぱいになる


もう思い出に浸るなんて事はしなくなった…

夢を見たって何も無いと気づいた…

結局はこの空間から出られないと…

そう悟った


俺は便器の中の水で喉を潤しながら、次の食事を待ち続けた

850 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:55:33.17 ID:ogeoKxT70
ガコン

突如部屋の扉が開かれた

そこには見たことも無い真っ白な防護服を着た者が立っていた
何かを抱え入ってきて、俺達に白い物体を落としていった

そしてそのまま部屋を出て行こうとする


すると突然

(´・ω・`)「ま、待って!」

ショボンが声を上げた

しかしそいつは振り向くこともせず、扉を閉めた


ショボンはそのまま扉まで走っていき

(´;ω;`)「なんで?なんで?…出して!出して!」

ショボンはそう言いながら、扉を何度も叩く

ガンガンという音が部屋にこだましていく


それでも扉が開く事は無かった

851 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:56:41.96 ID:ogeoKxT70
「う、うん…」

背後からうめき声が聞こえた

俺とショボンはその声の主へと振り返る

( ^ω^)「あれ?」

その声の主はあのブーンだった


('A`) 「ぶ、ブーン…だよな?

(´・ω・`)「ブーン?」


( ^ω^)「ショボンと…ドクオ?」


(´・ω・`)('A`) 「おぉー!!!」


何年振りの再会なんだろう…

俺とショボンはブーンに抱きついた

853 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:57:55.08 ID:ogeoKxT70
( ^ω^)「ちょ、痛いお…」

(´;ω;`)「何年振りだよ〜」

('A`)「ちょ、ショボン泣きすぎだw」

この部屋という事を除けば感動の再開

何年も会えなかった友人に会えた…

それだけの事が物凄く嬉しくて、俺とショボンはひたすらに騒いだ

( ^ω^)「ちょ、落ち着くお…」

(´・ω・`)「なんで?どして?」

('A`)「おまっ、久しぶりの再会だぞ」

( ^ω^)「落ち着くおッ!!」

ブーンが怒声を上げた

俺達の前では決して怒る事のなかったはずだが…

857 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:59:39.19 ID:ogeoKxT70
( ^ω^)「なんで…これからって時にそんなに騒げるんだお…」

('A`)「な、何怒ってるんだ?」

(´・ω・`)「ど、どしたの?」


( ^ω^)「…何も…聞いてないんだお?」

ブーンがそう言った時だった


「あー、お取り込み中申し訳ないんだが、そろそろ説明に入っていいかな?」

スピーカーも無い部屋に聞いた事のない声が響く

('A`)「な、なんだ?」

(´・ω・`)「これ誰?」

「私が誰かなんて知らなくていいんだよ。それじゃあ説明するから」

(´・ω・`)「何の説明?それに…」

「少し黙ってろ」

何処からか聞こえる凄みのある声がショボンの発言を遮った

860 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:01:58.14 ID:ogeoKxT70
「簡単だよ。3人で殺しあってくれればそれでいい。方法は何でも有りだ。それじゃあ、頑張ってくれ」
ブツッという音と共に、声が聞こえなくなった

(´・ω・`)「な、何?殺すって…」

( ^ω^)「最後まで生き残ればいいんだお。生き残れたら、この施設から出してもらえるお」

('A`)「おまっ…何言って…」

俺がそう言おうとした瞬間だった
ブーンが俺に近づき、腹に蹴りを入れてきた

( ;ω;)「仕方ないんだお…僕は生きたいんだお…」

('A`)「ぐッ…げはッ…」

泣きじゃくりながら、ブーンは俺の腹を蹴り続ける

(´・ω・`)「止めろよ!」

ショボンがそう言って、ブーンに体当たりをかます

衝撃でブーンは床に倒れ込んだ

( ;ω;)「は、早く殺さないと…みんな殺されちゃお…」

('A`)「こ、殺され…」

俺が喋ろうとすると、肺に何かが詰まったように息が出来なくなる
咳をすると、真っ赤な血が口から溢れ出た

862 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:03:30.65 ID:ogeoKxT70
(´・ω・`)「ド、ドクオ、大丈夫…」

いきなりショボンの声が遮られる

そして離れた場所からドタンッと何かが倒れる音がした


( ;ω;)「ごめんだお…」


ブーンの声が聞こえた次の瞬間、何かを叩くような生々しい音が聞こえてきた

俺は恐る恐る音のする方を見た


そこには仰向けに倒れたショボンの上に座り、顔面を殴る続けるブーンの姿があった


('A`)「う…あ…げぇ…」

俺は吐き気を必死に抑える

既に腹の中には何もないはずなのに、口から何かが出そうになった

864 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:04:58.99 ID:ogeoKxT70
生々しい音が止むと共に、ブーンが動きを止め俺の方に向き直った

( ;ω;)「ごめんお…ごめん…ごめん…ごめん…ごめん…ごめん…」

まるで羽虫の羽の音のように小さな声で呟くブーン

('A`)「な、なんで…なんでそんな事を…」

( ;ω;)「僕はまだ…やりたい事がいっぱいあるんだお…もっと…もっと…」

('A`)「だったら脱出する方法を…」

( ;ω;)「もう無理だお…殺すしかないお…」

ブーンはそう言うと、俺に向ってゆらゆらと歩き出した


本能的に逃げろと体中に命令が出る

しかし、俺の体には体力なんてものはほとんどない

それにさっきのブーンの蹴りのおかげで腹部がかなり痛む

866 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:05:42.10 ID:ogeoKxT70
ブーンはあっという間に俺の目の前に立ち

( ;ω;)「ショボンに…ごめんって…伝えて欲しいお…」

そう言って、ブーンは俺の腹の上にのしかかり、拳

868 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:06:46.28 ID:ogeoKxT70
>>866
拳→拳を構えた



目の前に…

ブーンが転がっている…

いや…もうブーンじゃない…

ブーンだったそれの顔は既に原形をとどめていなかった


俺…ブーンを殺した…のか?


そう思った瞬間、突然視界がぐらついた…

870 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:07:36.61 ID:ogeoKxT70
目を開けると、またも同じ部屋に居た

無機質で真っ白な部屋

あるのは換気扇と、便器と、大きなガラス張りの壁


しかしそこにはショボンも…ブーンも居なかった…

872 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 22:08:14.07 ID:ogeoKxT70
数ヵ月後…

ガラス張りの反対側…

そこに白い服を着た三人が居た


( ´∀`) 「ここまで来ても発狂もしない…モナか…」

( ´_ゝ`)「やはり失敗じゃないのか?」

( ´∀`) 「いや…まだ見込みはあるモナ」

(´<_` )「ほぅ…何をするんだ?」

( ´∀`) 「まぁ近いうちに実行するから。それまでの楽しみモナ…」

そう言ってモナーは部屋から出て行った
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