816 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:04:06.14 ID:fqBFJXCr0
いつから、だろうか。
哀しいと悲しいが、そこにあった。

( ^ω^)「かえーりみちーふざーけてーあるーいたー」

何の歌かは知らない。ただ、ほんの少し耳にしただけの歌。
この歳の男と比較しても高めな僕だから、割と楽に歌える高音域の歌。
静かに、一滴を慈しむように、歌う。

( ^ω^)「わーけーもーなくーきみーをーおぉこらーせたー」

優しくなるのに、切ない声が印象的な歌だった。
この曲がどんな場面で、どんな番組で使われていたかは、知らないけれど、
ふと、そんなことを考えた。

悲しいと、哀しいの違い。

( ^ω^)「いーろぉんなーきぃみのーかおをーみぃたかぁったんだー」

僕は一人歌う。一人の部屋で独り歌う。
誰かに聞かせるわけではなく、けれどそうしたいという欲求があるからでもなく、
唇が動く。喉が震える。
知らぬ間に、無意識に、その歌を紡いで行く。

( ^ω^)「おぉきな瞳が、なきそうな声が、今も僕の胸ーをしーめーつぅけぇるー」

誰かが言っていた。
それが誰にでも訪れる事を理解したから、寂しいけれど、悲しくはないのだと。
忘れもしない。一番最後に失った、僕の大切な人だ。
思い起こされるのは、優しくかなしい、あの笑顔。

819 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/09/03(日) 21:05:04.18 ID:fqBFJXCr0
( ^ω^)「すれちーがーうひとーの中でー、きーみをーおーいかーかけたー」

独りの世界で、僕は歌う。
思い出を抱いて、僕は歌う。
家族も、友達も、恋人も、同僚も、
誰一人いないこの世界で、独り歌う。

( ^ω^)「変ーわらぁないーモノー、探ーしていたー、あぁの日ーの君をー忘れぇはしーないー」

僕は今、悲しんでいる。大切なものを失った痛みを抱いて。
僕は今、哀しんでいる。懐かしさにも似た寂寥感を抱いて。

( ^ω^)「とーきをーこえーてくーおもーいがあるー」

こうして想うのは、何度目だろう。
あの日の痛みを、今なお消えない孤独感を、
これから永久に独りで生きていかなければならない、不安を。

( ^ω^)「ぼーくはいまーすぐー、きみにーあいぃたいー」

静寂だけが支配するこの世界で、
何もないこの部屋で、
僕は悲しいと哀しいの海で独り、ゆらゆらと揺れる。

膝を抱えて、ただたゆたうように、歌い続けてゆく。

inserted by FC2 system