162 俺と猫(1/7) New! 2006/05/21(日) 03:23:02.95 ID:1ad17C3c0
カチ カチ カチ カチッ―――

キーンコーンカーンコーン


(´・ω・`)「はい。名前を確認して、解答用紙は一番後ろの席が集める事。
      それが終わったら各自帰っていいよ」

(;^ω^)(難しかったお・・・)

VIP高校は、中間テスト期間だった。
今日で全てのテスト科目が終了した。
教室全体が、何かから解放されたという安堵感に包まれていた。

( ^ω^)「ドクオ、テストの出来はどうだったお?」

('A`)   「ん?あぁ・・・・・別に普通だった」

(;^ω^)「普通、かお。ドクオの普通はアテにならないお」

('A`)   「俺は別に―――」

gdgd話すうちに皆はさっさと帰ってしまい、
気が付けば、教室には俺とブーンの二人しかいなかった。

163 俺と猫(2/7) New! 2006/05/21(日) 03:23:35.52 ID:1ad17C3c0
(´・ω・`)「じゃあお前ら、最後に教室の戸締り頼むな。」

バタン

(;^ω^);'A`) 「あ」

仕方なく俺とブーンは、職員室に鍵を返却しにいった。
今考えると―――この間に起こっていたのかもしれない。

* * *

昼頃。
その日は、朝から小雨が降り続いていた。
地面は少し濡れているが、傘を使う必要はないだろう。
帰るのが少し遅かった為か、帰宅する人は少なかった。

学校の駐輪場で、ブーンは自分の荷物を自転車のカゴに入れた。
その後校門を出て、お互い他愛ない話をしながら歩いていた。

――そこは狭い道だったので歩道もなく、車の通る量も少ない場所で、
校門からわずか数十分歩いた場所だった。

そんな道の片側車線に、『白い何か』が横たわっていた。

164 俺と猫(3/7) New! 2006/05/21(日) 03:24:12.35 ID:1ad17C3c0
( ^ω^)「・・・・・?あれは何だお?」

('A`)   「さあ・・・?」

俺は、最初に遠くから見たときは白いビニール袋か何かかと思っていた。
しかし、風が吹いていても動く様子はないし
それにしては大きすぎるな、とも思った。

俺とブーンは、『白い何か』に向かって歩いていた。
歩いて近づく度に、『白い何か』は鮮明になっていく。
細長く、白く、そして赤い―――――猫の死体だった。
瞳孔が開き、ぐったりしている。すでに死んでいた。

('A`) 「あー・・・・・かわいそうに、車に轢かれたんだな」

( ^ω^)「・・・・・」

俺はそう言いながら、猫の死体を通り過ぎた。
俺はブーンの方を向くと、そこにはいなかった。

後ろを振り向くと、俺の目には
小雨の降るなか立ち尽くすブーンの姿と、猫の死体が映った。

それはどこか、哀しく映っていた。

165 俺と猫(4/7) New! 2006/05/21(日) 03:24:43.15 ID:1ad17C3c0
('A`) 「どうしたんだよ。早く帰ろうぜ?」

( 'ω`)「・・・・・」

('A`) 「猫の死体は、きっと誰かが片付けてくれるさ」

( 'ω`)「・・・・・イヤだお」

('A`) 「え?」

( ;ω;)「そんなモタモタしてたら、また轢かれちゃうお!
       ドクオは、もっかい車に轢かれないように見てて欲しいお!」

ブーンは俺にそう言うと、荷物を置いて自転車で学校に向かっていった。
今度は、俺と猫だけが取り残された。

('A`) 「行っちゃった・・・・・仕方ないな」

何台かの車が、小雨の降る道を通った。
ときには大型のバスも通ったが、俺が手を振ると猫がいる事に気づいてくれ、
運転手は上手に避けてくれた。


その時、見覚えのある一台の車が向かってきた。

166 俺と猫(5/7) New! 2006/05/21(日) 03:25:18.21 ID:1ad17C3c0
その車は、俺の目の前で止まった。
運転席から一人の男が降りてきた。ミルナ先生だった。

( ゚д゚ )「ドクオか、こんな所でどうしたんだ?」

('A`) 「実は―――」

俺が言い終わる前に先生は猫に気づき、
俺のやっている事を理解してくれた。

( ゚д゚ )「まて、大体分かった。ご苦労だったな。
     猫は先生が道路の脇に移動させてやるからな」

そう言うと先生は嫌な顔一つせず、猫を道路わきに寄せた。
その後、俺は先生が軽く黙祷をするのを黙ってみていた。
黙祷が終わるのを確認してから、先生に話し掛けた。

('A`) 「ブーン君がたぶん職員室に向かっているので、
     もし途中で見かけたら何か一言いっておいて下さい」

( ゚д゚ )「うむ。たぶん保健所か市役所に連絡するよう言われるだろうから、
     取り合ってくれない様子だったら、先生が電話しとくぞ」

ミルナ先生は俺にそう言うと、車を飛ばして学校に向かっていった。
再び、俺と猫は取り残された。

しばらくして、数人の男子生徒がこっちに向かってきた。
その中の一人は俺の中学からの知り合いだった。
俺はコイツが、嫌いだった。

167 俺と猫(6/7) New! 2006/05/21(日) 03:25:47.89 ID:1ad17C3c0
< `∀´>「ドクオじゃないかニダ。そんな所で何やってるニダ?」

('A`) 「・・・・・別に」

< `∀´>「うわ、それは猫の死体かニダ?まじキモイニダ。
      ××がはみ出してるニダ。肉の塊ニダ」


ガッ


肉の塊。
さすがの俺もこれにはムッときた。
殴ってやろうとも思ったが、ニダーは既に殴られていた。
突然の事にニダー達はビビリながら、仲間達と逃げるように帰っていった。

そこには、まだ息の荒いブーンがいた。
目には薄く涙を浮かばせて、明らかに怒っていた。

( `ω´)「猫の事を、そんな風に呼ぶなお!」

('A`) 「ブーン・・・」

ここまで怒ったブーンを、俺は今まで見たことがなかった。

168 俺と猫(7/7) New! 2006/05/21(日) 03:26:10.81 ID:1ad17C3c0
('A`) 「―――落ち着いたか?」

( 'ω`)「・・・うんだお」

('A`) 「・・・・・で、職員室行ったらどうだった?」

( 'ω`) 「最初はフーン先生に話したけど、適当に流されたお。
       ショボン先生に話したら、保健所に電話しとくって言ってくれたお。
       しばらくかかるから、そこで待っとけって言われたお・・・」

('A`) 「そうか・・・」

それから30分程待っただろうか。
一台の軽トラックが、こちらに向かってきた。
車の運転手は、50代半ば程のおじさんだった。
おじさんは猫を見ると、一瞬だけ苦い表情を作った。
そして助手席から黒いゴミ袋を取り出すと、その中に猫の死体を入れた。
おじさんは袋を荷台に乗せ、車に乗り込みエンジンをかける。


ブーンは走り去る車を、見えなくなるまで見送った。

                    〜おわり〜

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