789 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:10:13.83 ID:OGXNlWLU0
流れ無視したネタだけど投下します><
ネタなんで実際の○○はもっとワルだろ、とかいう突っ込みは勘弁してください(´・ω・`)



昔、俺は家族が好きだった。
今は、何も好きになれない。


( ゚∀゚)「おい、次の対戦相手が決まったぞ」
( ^ω^)「・・・」
( ゚∀゚)「おい!ブーン!聞こえてるやろ!?」
( ^ω^)「すまん親父。ちょっと考え事しとったんや。そんで、相手はどんな奴や?」
( ゚∀゚)「こいつや。ヨードセングライ。タイの奴や。お前の強さなら楽勝や!軽くシバキ倒したれ!」
( ^ω^)「・・・・なぁ、親父・・ちょっと言いたいことがあるんや」
( ゚∀゚)「なんや?言うてみいや」
( ^ω^)「いや、やっぱなんでもないわ。大丈夫、きっちりKOで倒したる」
( ゚∀゚)「おう!絶対KOやぞ!ガッツリ視聴率かせぐで!」


俺は今まで一度も対戦相手の成績を教えてもらった事が無い。
でも・・・俺だって馬鹿じゃない。わかっている。相手はカマセ犬だ。
俺がKOで勝たなきゃファンは出来ないし、満足しない。
昔はあんな親父じゃなかった。俺が、プロになるという人生最初の夢を叶えた時、親父は、金の魔力に飲まれてしまったんだ。

791 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:11:07.84 ID:OGXNlWLU0
( ゚∀゚)「おい、明日は計量や。試合前でお前も大変やろうけど、いつも通りしっかり頼むわ」
( ^ω^)「わかっとるよ。しっかり相手びびらせたるわ」


俺は明日も芝居をする。いつもの事だ。
相手に派手な挑発をすれば一般人はそれに群がる。結局リング上でのスポーツなんてあいつらには興味がないんだ。喧嘩が見たいだけ。
それを理解せずに真面目に戦う奴等、それに気が付きカマセ犬ばかりと戦わせる親父。どちらが正しいのかは、考えたくなかった。

( ^ω^)「俺が勝ち続ければ、稼ぎ続ければ、親父の全ての夢を叶えれば・・親父や家族みんなが昔みたいに・・・・」

793 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:11:47.94 ID:OGXNlWLU0

(・・)「ああーっ!!ブーンラッシュ!!凄まじいラッシュです!」
(・・)「ヨードセングライ、たまらず倒れたあああああああッ!立てません!KOです!」
(&v&)「素晴らしい試合でしたねぇー。私が18歳だった頃はあんな試合出来ませんでしたよ。間違いなく天才です、元世界チャンプの私が断言します。ブーンは天才です」
( ^ω^)「楽勝や!今すぐ世界取に行ってもええよ!」
( ゚∀゚)「よくやったブーン!わしらなら今すぐでも世界取れるわ!既にチャンピオンより強いで!」
観客「ブーン!お前最強だーーーー!!!」
  「ブーン私を抱いてぇーっ!!!」
  「ぶっ殺せぇーーーーー!!!」
  「ブーン!ブーン!ブーン!」

皆狂ってる。金を貰って俺を持ち上げる元世界王者、薄汚い言葉を叫びながら興奮する観客。
金の操り人形になった親父。俺は何も見たくなかった。


795 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:12:56.85 ID:OGXNlWLU0
1年後・・・・

( ゚∀゚)「っあの糞野郎!なんやねん!」
( ^ω^)「どうしたんや?親父」
( ゚∀゚)「これ見てみぃや!あんの糞じじぃ・・・・!」
( ^ω^)「・・・・!」

親父が持っていたのは新聞だった。
元世界王者ショボーン・・・。そこに書かれていたのは、元世界王者のショボーンの俺への批判記事だった。

(´・ω・`)「弱い外国人とばかり対戦しているのにコミッションがランキングに押し込んだような気がするよ・・・」
(´・ω・`)「会見や計量で相手を挑発するような言動は・・・ちょっとよくないんじゃないの・・?」

ショボーン・・実は俺が一番尊敬していたボクサーだった。
彼が勇気を持って俺の行為に苦言を呈した事は、俺にとっては嬉しい事でもあり、悲しい事でもあった。
自分が尊敬した男は間違ってなかった、と思うと同時に、今自分が何をしているのか再認識させられたし、本当のボクサーとしての自分をショボーンに見せられない事が悲しかった。


勿論俺は、親父に言われた通りにショボーンに反論した。



796 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:14:05.17 ID:OGXNlWLU0
2ヵ月後・・・・

ついに世界戦が決まった。
対戦相手の名は、ポン・ラベンダー。王者がベルトを返上し、空位になった王座をラベンダーと争う事になった。
現役王者に挑戦するよりは楽だろうが、今までの相手とはレベルが違う。俺のモチベーションは高まった。
苦しい練習をひたすら耐え忍んだ。本当は出たくないのだが、練習の合間を縫ってTVにも出演した。世間の期待に押しつぶされそうにもなったが、汗を流してできるだけ考えないようにした。

そして、試合前日・・・

( ゚∀゚)「ブーン!ハッキリ言うで。今回はな、判定行ったら勝ったも同じなんや。わかるやろ?」

ついに親父が化けの皮を剥がして、俺に堂々と言ってきた。
今までどんな弱い相手との対戦でも、親父として上っ面だけは良くしたかったのか、それとも俺に反抗されるのが怖かったのか、相手はカマセ犬だ、などとは一言も口にしなかったのに。
今更ながらに、ああ、やっぱり親父はこんな奴になってしまったんだと実感して、少し悲しい気持ちになった。

( ^ω^)「わかったわ親父。まかしときや」
( ゚∀゚)「今回はわしらの人生かかっとるんや!絶対負けたあかんで!」



そして、俺は倒れた。


797 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:14:39.14 ID:OGXNlWLU0
世界はそんなに甘い場所ではなかった。
ロクな相手と戦ってない19歳の俺と、数々の修羅場を経験してきたラベンダーではレベルが違った。
1R、ダウンを奪われ、その後もラベンダーに試合をコントロールされた。
そして予定通りに俺の腰にはベルトが巻かれた。

(・・)「ブーン奇跡の逆転勝利!!!!素晴らしい試合でした!!!!!!」
(&v&)「気持ちの勝利ですよぉ!素晴らしいですぅっ!」

( ^ω^)「親父ありがとう・・・・!!!」
言葉の三分の一は本心だけど、残りには悲しみが詰まってた、と思う。


798 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/08/08(火) 03:15:13.94 ID:OGXNlWLU0
世界だけじゃない、世間もそんなに甘い場所ではなかった。
当然俺の判定勝ちには誰も納得しなかった。
TVも、新聞も、インターネットも、街も、皆俺の敵になった。

そして、世界戦から10日過ぎた今・・・

( ゚∀゚)「糞・・・!!!!糞!糞!!!糞!!!!!!もう終わりや!どうにもならへん!」
( ^ω^)「親父・・・俺ラベンダーと再戦するよ。もう一度やって、きっちりKOすれば誰も文句言わへんやろ?」
( ゚∀゚)「誰の所為でこんな目にあっとると思っとるんや!お前が弱いからやろ!何べんやってもお前なんかじゃ勝てへんわ!クズ!!」

俺の中で、何かが消えた。

気づいた時には親父を殴っていた。

( ゚∀゚)「すっ、すまん・・・!もう一度なんとかしy・・」

何度殴ったかはわからない。ただ、こいつは絶対に殺さなきゃいけないと、思った。

終了。
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