319 ペットボトルとツン1 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 21:59:41.15 ID:7xky4kRZ0
('A`)「あーだりぃ」

空は一面青だな、所々に浮かぶ雲はあんなに自由で気ままに流されてる。
俺も雲みてーに自由になりてえもんだ。

('A`)「うめぇ、やっぱ茶はこれに限るな」

ペットボトルのお茶なんて今日びコンビニに行けばいくらでも買える
剛拳美茶、十八番茶、ナマモノ茶、ウホーイお茶・・・・その中でも俺が一番好きなのは十八番茶だ

  「ドークーオー」

屋上の扉が開く音が聞こえて俺を呼ぶ声がする。
空を見上げている俺の視界を塞ぐ

ξ゚听)ξ「いつもそうやって空を眺めてて楽しい?」

('A`)「いいじゃねえか、青い空、白い雲、これぞ青春」

ξ゚听)ξ「そんな台詞言うタマじゃないわ」

('A`)「うるへー。お、ピンクのくまさん」

ξ///)ξ「ちょ、あんたどこ見てんの!」

ガスッ

(#)A`)「・・・・見たんじゃねえ見えちまったんだよ」

そんなやりとりを二人でいつものように繰り返す。あの時からずっと――――

320 ペットボトルとツン2 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:00:10.70 ID:7xky4kRZ0
  「ねえ、そこで何してるの?」

いつものように寝転がる俺に知らねえ女が声をかけてきた。
別に何だっていいじゃねえか、関係ねえ。

  「ねえ、何してるのって」

放っといてくれよ、俺は一人でいんのが好きなんだ。

  「黙ってないで返事しなさい!」

ガッ

(#)A`)「いってえな・・・何しやがんだよ」

ξ゚听)ξ「人が呼びかけてんのに返事しないアンタが悪いのよ」

(#)A`)「何もたいした事はしてねーよ、空を見てるだけだ、これでいいか?」

ξ゚听)ξ「ふーん。空、か・・・」

今度は寝てる俺の隣に座ってくる。何なんだ?この女。俺を蹴った上に人の領域にずかずか踏み込んできやがって。
女を殴る趣味はねえけど、今回ばかりはちょっとムカついたな。

ξ゚听)ξ「綺麗よね、青い空って・・・・」

('A`)「空をみんならあっちいってくれ、俺は一人で見るのが好きなんだよ」

ξ゚听)ξ「いいじゃないそれぐらい、減るもんじゃなし」

321 ペットボトルとツン3 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:01:00.24 ID:7xky4kRZ0
('A`)「・・・・ったく、好きにしやがれ」

ちょっと喉渇いたからペットボトルでも・・・

パシッ

('A`)「ちょ、おめー人の飲み物奪うんじゃn・・・」

ξ゚听)ξ「んくっ・・はぁ」

ξ^凵O)ξ「おいしかったわ、ありがと」

('A`)「あ、ああ・・・・」

ξ゚听)ξ「ありがと、またくるね、じゃーねー」

そう言って立ち上がっていっちまった。何なんだ、勝手に喋りかけてきて、勝手に座ってきて、勝手に人の飲み物飲んで
勝手に笑顔見せてきやがって・・・・

('A`)「ちっ、調子狂うぜ・・・」

―――そしてまたある日、またあの女がやってきた。
前と同じ調子で勝手に隣に座ってきやがる。

ξ゚听)ξ「お邪魔するわよ」

('A`)「すんなつっても邪魔するだろ」

322 ペットボトルとツン4 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:01:35.58 ID:7xky4kRZ0
ξ゚听)ξ「よく分かってるじゃない、この間のお礼、はい」

ペットボトルを渡された、こないだ奪って飲んだ時と同じお茶だ。

('A`)「今は別のお茶をのんd・・・」

ξ゚听)ξ「はい!」

より一層強く差し出してくる。・・・・・受け取った方が身のためかもな。

('A`)「あぁ、サンキュー」

まだ飲みかけのやつがあるが、なんかこっちに飲めって視線を感じる・・・・

('A`)「んぐっ・・・ふぅ、ありがとよ、あとはお前が飲めよ、俺こっちあるし」

ξ゚听)ξ「そ、ならしょうがないわ、空を眺めながら二人で飲みましょ」

もう既に「二人」かよ。俺はまだ一人がいいんだっつの
でも、ま、たまには悪くねえかもな・・・・

323 ペットボトルとツン5 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:02:29.93 ID:7xky4kRZ0
――――またきやがった、もう殆ど毎日じゃねーか。
俺以上の暇人だなこいつも。

ξ゚听)ξ「ね」

('A`)「あ?何だ?」

ξ゚听)ξ「そういえば、名前は?」

('A`)「あ?」

ξ゚听)ξ「名前は?」

('A`)「・・・・ドクオだ」

ξ゚听)ξ「ツンよ、今更だけど宜しくね」

('A`)「ほんと今更だぜ」

ξ゚听)ξ「いいじゃない。あ、またそのお茶?好きね」

('A`)「これが一番うめーんだよ」

俺から奪って飲んで、お礼にくれた時と同じお茶を飲む。別に?理由なんてねえよ?
うめえからだ。ほんとそれだけだぜ・・・・

324 ペットボトルとツン6 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:02:58.09 ID:7xky4kRZ0
―――――今日は雨。しょうがねーから屋上の入り口の内側から空を見る
扉を開けて空を見る、たまの雨もおつなもんだ。無論ツンも居る。

('A`)「雨はだりー」

ξ゚听)ξ「あんたの顔の方がよっぽどダルいわ」

('A`)「生まれもっての顔を馬鹿にすんな」

ξ゚听)ξ「じゃあ笑顔見せてみなさいよ」

('∀`)

ξ゚听)ξ「・・・・・やっぱいつものままでいいわ」

('A`)「・・・・ああ」

やっててちょっと空しくなっちまった。

―――――いつものことだ。隣にツンが居て空を眺めんのは
もう慣れたよ、ツンの前じゃ嫌だつっても隣にくるからな。

('A`)「今日も青いな、空は」

ξ゚听)ξ「そうね、喉かわいちゃった、お茶ちょうだい」

('A`)「自分で買ってこいよ」

そう言って俺のペットボトルを取ろうとする。今日はもう残りすくねーからやらねえって。

325 ペットボトルとツン7 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:04:11.09 ID:7xky4kRZ0
ξ゚听)ξ「いいからちょっとだけ!」

ξ;゚听)ξ「あっ!」

ボトッ
トポポポポ・・・

こぼれちまった、俺のお茶・・・

('A`)「・・・・てめえ何しやがんだ!」

ξ;゚听)ξ「!」

('A`)「いっつも関係ねーのに勝手に隣にきやがって人の飲み物取って!いい加減にしやがれ!!」

ξ゚听)ξ「・・・・ごめん」

ξ )ξ「邪魔しちゃったわ、またね」

いっちまった・・・言い過ぎたかな、まぁあれぐらい言わねーとわかんねえだろ

―――――あの日からこなくなっちまった。
やっぱ言い過ぎたかもしれねえな、まあ、やっぱ一人がいいぜ

('A`)「あーだりぃ、この後全校集会だっけな、行くのだりぃ」

ばっくれると先公がうるせえから行くか・・・
階段下りてっと、廊下を通ってと

バンッ!ガタンッ

326 ペットボトルとツン8 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:05:14.36 ID:7xky4kRZ0
ん?通りがかった教室で何かやってr・・

('A`)「ツン・・・」

ツンが教室で床にへたり込んでやがる。何か他の奴等が笑ってやがる
胸糞わりー光景だな、おい

( ・∀・)「どうしたんだよ、ほら立てよ」
( ´∀`)「可愛いからって調子乗ってんなよモナ」

よってたかって数人で・・・うぜえ

('A`)「おい、てめえらそれぐれえにしてやったらどうだ?」

( ・∀・)「誰だお前?この女に騙されt・・」

ガッ!

('A`)「ぐだぐだ言ってんじゃねえ!」

あースカっとした。ツンはさっきから動かねえな。

('A`)「ツン、大丈夫か?」

ξ;凵G)ξ「ぐすっ・・・・うん」

('A`)「とりあえず、保健室にでも行くか、立てるか?」

ま、しょうがねえ連れてってやるか
保健室はっと・・・ここだここだ

327 ペットボトルとツン9 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:06:45.34 ID:7xky4kRZ0
('A`)「ほらそこに座んな」

ξ;凵G)ξ「うん・・・・」

泣き止まねえな。そうだ、お茶でも買ってきてやるか

('A`)「ちょっと待ってろ」

自販機、あったあった。いつものお茶でいいか

・・・・保健室に戻ってきてもツンはまだ泣いてやがる

('A`)「ほらよ、これでも飲んで落ち着け」

ξ;凵G)ξ「あ・・・このお茶」

ξ;凵G)ξ「ありがとう…ふぇっ…ぐすん」

あーなんでまたそこで泣き出すかな、泣き止めって

('A`)「まあなんだ、お前いじめられてたのか」

ξ;凵G)ξ「ぐすっ・・・・」コクン

('A`)「だからいっつも屋上きてたのか?」

ξ;凵G)ξ「・・・・」コクン

('A`)「そうか・・・」

328 ペットボトルとツン10 Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:08:07.84 ID:7xky4kRZ0
ξ;凵G)ξ「ごめんね、ごめんね・・・・」

('A`)「なんでお前が謝るんだよ」

謝るのはこっちだっつの、そこまで言うのは俺らしくねえからやめとくけどな

('A`)「ま、来いよ、屋上」

ξ;凵G)ξ「えっ・・・?」

('A`)「迷惑なんかじゃねーからよ」

また笑顔見せてくれよ、泣いてる顔は様にならねえよ・・・やっぱり言えねえけどな

('A`)「ま、そろそろ俺はいくぜ」

ガタッ

(  )「待ってっからよ、屋上でな」

これが限界だ、恥ずかしくて顔見せらんねえ

――――――

329 ペットボトルとツンEND Romancing SaGe New! 2006/08/06(日) 22:08:39.17 ID:7xky4kRZ0
('A`)「ツン」

ξ゚听)ξ「何?」

('A`)「毎日、こいよな」

ξ///)ξ「うん・・・」

そして俺はいつものように空を眺めてお茶を飲む。俺の分とツンの分、2本のお茶を用意して――――
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