70 廃墟1 sega New! 2006/08/03(木) 01:15:07.91 ID:WtBCRuVi0
怪談。夏にはもってこいの涼しげな話題、言い伝え、噂、デマ・・・・

こと人間は普段見えないものに対しての興味が強い。
時には危険を顧みない事もしばしば。うそのようなほんとの不思議な体験。

( ^ω^)「ドクオ、街のはずれにある廃病院知ってるお?」

そう問いかけたのはクラスでも一番元気のある少年。ブーン
彼は好奇心旺盛などこにでもいる普通の少年。
ブーンは友達に街の外れにある遥か昔に立てられたであろう病院跡の廃墟についてこう問いかけてきた

('A`)「ああ、いつ建ったかわかんねーあれな、あれがどうした?」

( ^ω^)「肝試しいくお!こないだ街の人が『あそこには幽霊が出る』っていってたお!」

('A`)「ダルー」

( ^ω^)「いいからいくお!ツンとショボンも誘うお!」

こうして土曜日の夜12時に廃病院へと着いたブーン、ドクオ、ツン、ショボンの4人。

木造で所々朽ちているその建物は鬱蒼と茂った木々に囲まれている。

( ^ω^)「幽霊ウォッチングいくお!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ほんとにいくの・・・?」

(´・ω・`)「まあ目の前まできちゃったんだし、いってみようよ」

('A`)「ダルー」

71 廃墟2 sega New! 2006/08/03(木) 01:15:31.46 ID:WtBCRuVi0
ツンの心配をよそにずかずかと突き進むブーン。

ギィィィ・・・・

扉だった木の板が軋みその口を開く。
それだけでツンはちょっと泣きそう。

ξ;゚听)ξ「ね、ねえやめましょうよ・・・ね?」

( ^ω^)「何いってるんだお、幽霊さんに挨拶しにいくお!怖いならかえってもいいお」

ξ;゚听)ξ「何いってんの!私が怖がる訳・・・・ないじゃなぃ」

あくまでも口は強気、だが姿は怯える少女を物語る。
そうこうしてるうちに扉の奥へと消えていくブーン
比較的大人しいが好奇心はそこそこあるショボンが続く。

ドクオは相変わらず「ダルー」と言いながらも何故か二人についていく。面倒くさいんじゃないのか?

ξ;゚听)ξ「・・・ぁあもう!わかったわよいくわよ!」

半ば自棄になりツンもそのあとを駆けてついていく。

明かりの無い建物は昼間ですら気味が悪く地元の人間は全く近寄らないというに
この4人はその建物を深夜、懐中電灯だけで突き進む。

床板を踏む音だけが辺りに響く。

73 廃墟3 sage New! 2006/08/03(木) 01:16:07.16 ID:WtBCRuVi0
ギシッ・・・ギシィッ・・・ギシ・・・アン

一同がその場でぴたりと停止する。

( ^ω^)「お・・・?今なんか変な音しなかったお?」
(´・ω・`)「なんか聞こえたね」
('A`)「ダルー」
ξ;゚听)ξ「ちょ、やめてよ何も聞こえてないわy」

・・・・・ギシ・・・アン

ξ>凵)ξ「!!!!!!」

歩いていないのに何故か木の軋む音と不可解な声が耳に入る。
瞬間ツンは飛び上がりブーンにしがみつく。

( ^ω^)「おっおっ、ツンは怖がりだお、風の音ぐらいで驚いてちゃ幽霊さんに逢えないお」

ξ>凵)ξ「バカバカ!風なんかじゃないわよ!人の声よ!」

ぽかぽかとブーンを叩きつつそれでも尚離れようとしないツン。

(´・ω・`)「確かに木の音の後に、人の声っぽいものが聞こえたね、僕ら以外の」

('A`)「ダルー」

声らしきものは更に奥から聞こえてきたようだ。

74 廃墟4 sage New! 2006/08/03(木) 01:16:39.17 ID:WtBCRuVi0
( ^ω^)「よし、じゃあもっと先いってみるお」

ブーンが再度歩き始め、辺りにまた床板の音が響く。

そしてとある病室だった部屋にたどり着いた時。

・・・・・ギシ・・・・アン!

先程よりも強くはっきりと声が聞こえた。間違いない。

( ^ω^)「ここだお!ここに幽霊さんがきっといるお!」

ガララララァァァッ!!

病室への扉を力強く開け放ち懐中電灯の光を当てるとそこには・・・・・

(#゚;;-゚)「アン・・・・・」

うっすらと人の形をした『もや』のようなものが見える。

ξ>凵)ξ「いやあああああ!!!!」

その場に腰を抜かしへたりこむツン。

(´・ω・`)「ちょ、ツンちゃん落ち着いて」

ξ>凵)ξ「落ち着いてなんかいられないわよ!幽霊よ!幽霊!いやあああぁぁぁ・・・・」

取り乱し髪をかき乱す回すツン。そんなぐしゃぐしゃの顔で居たらどっちが幽霊かと。

75 廃墟5 sage New! 2006/08/03(木) 01:17:16.77 ID:WtBCRuVi0
('A`)「OooOoOOOoooo」

(#゚;;-゚)「OOOooOooooOOoooOoOoOOO」

先刻まで「ダルー」としか言わなかったドクオが突然幽霊に向かってなにやらしゃべり始めた。

それに応じて幽霊もなにやら音のようなものを伝えてくる。

('A`)スキル:霊話マスター(霊界に属するものと交信が行える)

(;^ω^)「ドクオが壊れたお・・・」

ブーンの心配をよそにドクオは交信を続け、音がとまりどうやら交信はひと段落したようだ

('A`)「どうやらこの人指輪を探してほしいらしいぜ」

(;^ω^)「ど、ドクオ幽霊さんと会話できるのかお?」

('A`)「まあちょっとな」

76 廃墟5 sage New! 2006/08/03(木) 01:17:38.32 ID:WtBCRuVi0
ドクオの話によるとこの幽霊はここで大切な婚約指輪をなくしてしまったらしい。
それが見つからず成仏できずに居るという事だとか。

('A`)「ってことで探してくれないと祝うぞって」

(´・ω・`)「それは仕方ないね、探せるだけ探してみよっか、探検にもなるし」

(;^ω^)「祝うって・・・多分呪いたいんだおね、探してみるお」

ξ>凵)ξ「みんなが行くなら私も・・・いく」

('A`)「あ、俺パスな、この人がもう少ししゃべりたいらしいから3人で探してこいって」

そんなこんなで廃墟を更に探検することになったブーン、ショボン、ツン
指輪の心当たりは手術室の手前らしいということで手術室を目指す。

( ^ω^)「ここが手術室の前っぽいお、部屋の上に『手術室』って書いてあるお」

(´・ω・`)「じゃあ手分けして探そっか、ブーン・ツン、僕との2組に分かれて探そ」

そして辺りをガサゴソと漁り始める、埃まみれになりつつも辺りを見回し、手探りするブーンとショボン

77 廃墟6 sage New! 2006/08/03(木) 01:18:13.90 ID:WtBCRuVi0
ξ;゚听)ξ「ちょっと・・・・触るのはイヤかな・・・あれ?」

ツンがなにやら木の板に挟まっている金属片らしきものを見つけた。
そこを指差し、ブーンが金属片を取り出す。

( ^ω^)「これかお・・・?錆びた指輪だお」

確かにそれは指輪だった、所々錆びており今にも崩れ落ちそうではあるが。

(´・ω・`)「とりあえず幽霊さんに見せてみよっか」

そしてブーンは指輪をポケットに入れ来た道を戻っていく。

ツンはブーンの服の裾をしっかと掴みそろそろとついていく。

―――――――

('∀`)「ooOOOoooOOOoOoOOOoOoOOooooO」
(*゚;;-゚)「OOooOoOoooOOOoO」

ドクオは先程と変わらぬ『音』で幽霊と交信を続けている。心なしか二人とも楽しそうに見える。

( ^ω^)「ドクオー、指輪見つけたおー」

そんな折、3人が戻ってきてブーンがポケットから指輪を取り出す。

78 廃墟7 sage New! 2006/08/03(木) 01:19:12.44 ID:WtBCRuVi0
(#゚;;-゚)「!!!!!」

その指輪を見るや否や幽霊がぴたりと止まる。

( ^ω^)「・・・・お?正解かお?」

突然窓が開き風が吹き込んでくる。

ξ>凵)ξ「キャッ!」

取り出した指輪がみるみる朽ちていき吹き込んできた風によって風化していく。

サアァァァァ・・・・

そして幽霊も・・・・

(*゚ー゚)「・・・・・」

その笑顔は穏やかでそして優しく、美しかった。

その顔にツンを除く3人がみとれているうちに幽霊がどんどん薄くなっていく。

(*゚ー゚)「・・・・・・・・ありがとう」

79 廃墟END sage New! 2006/08/03(木) 01:19:29.46 ID:WtBCRuVi0
('A`)「またな、しぃさんよ。あの世のポチによろしくな」

最後に全員がそう耳にして幽霊は

消えた。夏の夜の涼しげな風と共に。

そして窓から朝日が差し込んでくる。深夜を過ぎ早朝まで探検をしていたようだ。

それから廃墟の幽霊噂は一切なくなったという。

とある夏の夜の出来事であった―――――――――

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