721 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 21:29:02.11 ID:MVaXDBFf0
おk。初めてだからびびりながらいきます。
投下遅いけど謝ってゆるしてもr(ry

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人類が太陽の光を浴びず早数百年が経っていたのだなんて。

しかし改めて、こんなに明るかったのだろうか、
どす黒い空の頂点で、輝く太陽から降り注ぐ
閃光は予想を遥かに超え眩しい。
眼球の奥に突き刺さるような感覚を経て、
光は脳髄に鈍痛を与える。
鈍痛がやがて激痛に変わるにはあまり時間を要さず、
百余年振りに人を吐き出した地上地下連絡通路の入り口で、
ブーンはしばしうずくまっていた。


722 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 21:32:22.44 ID:MVaXDBFf0
>>719 多分すぐ終わるから無問題。多分。

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( -ω^)「うぅ・・・。」
体勢を変える事ができずに、
どれほどの時間が経ったのだろう、
気付けばブーンの皮膚はあらゆる所で炎症を起こし、
ただれ、めくれあがっている。

ふと目を薄く開ければ、
無機質な地平線に巨大な真紅の太陽が沈んでいった。
気温は未だ下がらず、
じりじりと熱を放つ乾いた大地の彼方では、
陽炎がまるで音を立てながら、
生気を全く感じさせない土地を
これでもかと焼き尽くしているかのように見えた。

( ^ω^)「これが・・・母なる地球かお。」

724 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 21:38:41.40 ID:MVaXDBFf0
この星が人類の手で滅ぼされてからどれほど経つのだろう。
平和?愛?……心?
この風景からは何も感じられない。

過去に栄華を極めたと言われる人類の末裔といえども
今のブーンでは何も無い。何も無いではないか。

人間どころか生あるもの全てを滅ぼし、
地下に潜った僅か数千人の「私の仲間たち」は、
無秩序に愛し合い、数が増えれば殺し合い、
機械に全て任せて数十年、数百年なりの人生を
仲間に怯えつつ、ベクトルを持たずに終えてゆく。

青白い顔をしてゆらゆらと無気力に、
光の余り射さない地下の空間で、
不気味なブーンの仲間たちは何のために生を育むのだろう。

725 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 21:43:09.29 ID:MVaXDBFf0
>>723
添削しながらなんだ。すまない。

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悔しかった。ブーンは心底悔しかった。

( ^ω^)「おおおおぉおおぉおぉ!!!1」
拳を握り締めて叫んだ。
人類が、自分の仲間たちが情けなかった。
しかし、ブーンの叫びは乾いた空気を少し揺らすだけで、
無慈悲にも、数秒後の世界は何も変わってはいなかった。

日はもう沈み、空高くに星だけがぎらぎらと瞬く。
頭上から、彼の小ささをまるでせせら笑うかのように、
派手に、下品に、衰弱してゆくブーンに向かって光を降り注ぐ。
気温は急激に下がり始め、
身震いしつつもブーンは最後の力を振り絞り
ポケットから小さな粒を取り出した。



種。



726 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 21:48:03.57 ID:MVaXDBFf0
( ^ω^)「これ・・・これさえあれば・・・。」

何の種かはブーンも知らない。
それは昔、ブーンが見知らぬ老人から受け取ったものだった。

爺「これはな、美しかった頃の地球の赤ちゃんなんだよ。大切にしてやってくれ。」
  
そこらの石を拾い、浅く穴を掘り、埋める。
土を均しながら、手の平からの最後のエネルギーの一滴を、
この大地に注ごう。
地球へ。
…。


727 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 21:53:38.50 ID:MVaXDBFf0
しばらく眠っていたのかな。
気がつけば遠くの方で声が聞こえる。

('A`)「ブーンが、ブーンがいた!!倒れてるぞー!」
ドク・・・オ?なんでここに・・・?

ブーンの目に鉄の塊のような防護服を着た人影がうっすらと見えた。

(´・ω・`)「しっかりしろ!死ぬなよ!
       今すぐ地下へ連れて行ってやる!」

ショボ・・・か。
なぁ、何のため?お前らは何のために生きてるんだ?
全てを殺して・・・。

( -ω-)「ナンノタメニ・・・・・・・・・?」

ブーンの意識はそこで途切れた。

729 ( ^ω^)が地上に這い出たようです。 ◆sTonERRhIA New! 2006/07/27(木) 22:00:01.47 ID:MVaXDBFf0
ξ;-)ξ「うっ・・・えぐっ・・・ふぇっ・・・」

すすり泣く声。
ブーンの手を握る者がいる。
その力により彼の腕の骨は軽く音を立て
ぱきぱきと粉微塵に砕けたのが分かった。

( ^ω^)(ツン・・・なんで泣いてるお・・・?)

( ^ω^)(これで良かったんだお。)

( -ω-)(意識が遠のいてきたお・・・これが死、かお。)


・・・・・・。


ξ><)ξ「ブーンのことぉっ、・・・愛してたのにいいぃぃぃっ!!!!」
(´;ω・`)「死んだ大地では芽さえ出ない事も目に見えてわかっているだろうに。」
その言葉たちが耳に入らなかった少年、ブーンは
人生を誰よりも楽しみ、喜び、謳歌したのである。

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