171 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:07:26.23 ID:/7VHl02G0
↑の名前欄は気にしないでください。他板のが残った。

お題「彼岸花」 前スレで出てました



 彼岸花を知ってるかい?
 植えておくと火事になる? はは、そりゃアンタ迷信だよ。
 毒がある? そうだけど、あれを食おうって人間は少ないだろうな。

 そうじゃない、彼岸花だよ、彼岸花。
 お江戸で知らぬ者は無い、正義の義賊『彼岸花』。

 なに、それこそ迷信だって?
 はは、世知辛い御時世だ。そのくらい信じても構わないじゃないか。

172 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:11:17.78 ID:/7VHl02G0
ξ゚听)ξ「何を信じても構いませんけど、そろそろツケ払ってよね」
(,,゚Д゚)「なに言ってやがる。江戸っ子は宵越しの金を持たねぇんだゴルァ!」
ξ#゚听)ξ「へえ。宵越しの命もいらないと?」
(;゚Д゚)「すみません、ちゃんと払うんで勘弁してください」

 そう言いながらも、ちゃんと団子は食わせている。
 看板娘・おツンは、気立てが優しいと評判の娘だった。

ξ*゚听)ξ「べ、別にそんなんじゃないんだからね!」

 はいはい、ツンデレ乙。


 さて、ギコが帰るのと入れ替わりに、見かけないお侍がやってきた。

ξ゚听)ξ「いらっしゃいませー」
(´・ω・`)「やあ。このバーボンはサービスだから…」
ξ゚听)ξ「アンタは客でしょうが」
(´・ω・`)「素で間違えた」

173 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:15:18.97 ID:/7VHl02G0
 季節は初秋、気の早いススキが穂を揺らし、赤とんぼが飛んでいく。
 蒼空に、ガーゼみたいな雲が浮かぶ。
 変な客は、出された団子をパクパク食った。

(*´・ω・)「うほっいい団子」
ξ゚听)ξ「黙って食べなさい」
(´・ω・`)「冗談抜きで美味しいよ。郷里(くに)じゃあ、こんなの食べたことがない」
ξ*゚听)ξ「ほ、褒めてもお茶しか出ないんだからね!」
(´・ω・`)「わーい」

 侍がお茶を啜る。
 しまい忘れた風鈴がチリチリと鳴り、平和な午後を彩っていた。

(´∀`)「見つけたモナ!」
(´・ω・`)「ん?」

 いきなり現れた侍たちが、客の男を取り囲んだ。

(´∀`)「ニューソク藩・藩士、ショボン。横領の疑いで逮捕するモナ!」
ξ;゚听ξ(;´・ω・)「は?」

 男たちはショボンを両脇から抱え、引きずって連行しようとする。

(´・ω・`)「なにをする、放せ、放してくれ!」

174 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:20:13.86 ID:/7VHl02G0
(´∀`)「申し開きは江戸屋敷でするモナ! しょっぴくモナ!」
(#´・ω・)「ちょっと、痛いよオイ。痛てぇなコノヤロウ。ぶち殺して埋めて犯すぞ」
(´∀`;)「ひいっ!?」
('A`)「何をしておる!」

 威厳のある声。侍たちが左右に別れ、偉そうな男が姿を現した。

(*´・ω・)「あぁら、ドックン♪」
(;'A`)「きめぇwwwマジ萎えるからやめろwwwwwww」
(´・ω・`)「ちっ。えーと、ドクオ様、此は何事にござります?」

 ドクオと呼ばれた侍は、わざとらしく頷いて語りだした。

('A`)「ショボン、貴様が会計方と通じて、藩の金子(きんす)を持ち出したること、既に明白」
(´・ω・`)「なんだと」
('A`)「この旅も帳簿の辻褄を合わせるのが目的だろう。しょっぴいて調べてやる」
(*´・ω・)「やさしくしてね♪」
(;`A')「ぶち殺すぞ」
ξ゚听)ξ「ちょっと、ちょっと待ちなさいよ!」

 黙って聞いていたおツンが割って入った。

('A`*)「ななな、なんですか、お嬢さん?」
ξ゚听)ξ「きめぇwwwwwww」
('A`;)「」

175 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:24:59.39 ID:/7VHl02G0
ξ゚听)ξ「じゃなくて、なによ偉そうに。本当にこの人が犯人だと思ってるの?」
('A`)「なに?」
ξ゚听)ξ「いえね、アンタの振る舞いが上に立つ人間らしくないから、つい、ね」
('A`*)「なんだと、このアマ! 言わせておけば!」
(´・ω・`)「よさないか!」

 今度は逆にショボンが割って入る。

(´・ω・`)「ドクオさま、私は江戸屋敷に参ります。ですから、どうぞお怒りをおしずめ下さい」
ξ゚听)ξ「お侍さん…」
('A`#)「けっ、もとより藩の務めを果たすが最優先。小娘に叱られて喜んでおる場合ではない!」
ξ;゚听)ξ「ちょwww待てwwwwwww」
(#`A')「ひったてーい!」
(´∀`)「ははーっ」
(´・ω・`)「くっ…」
ξ゚听)ξ「おさむらいさーん!」

 ショボンは連行されていってしまった。
 おツンは黙って見ているしかなかった…

177 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:28:07.42 ID:/7VHl02G0
 その夜、ニューソク藩・江戸屋敷。
 意外なことにショボンは手厚くもてなされていた。

('∀`)「悪いなショボン。お前が無実だって、本当は信じてたんだ」
(´・ω・`)「そういうプレイがお好みかい? だったら研究しておくけれど…」
('A`)「きめぇwwwwww」

 酒をついでやりながら、ドクオが話しかける。

('A`)「それでさー、ショボン。お前に無実の罪かぶって切腹して欲しいんだよねー」
(´・ω・`)「は?」

 ショボンは意味がわからず、間抜けっぽく聞き返した。

(´・ω・`)「あの、いま何と?」
('A`)「実はさ、あれやったの俺の友達なんだ。バレると俺もヤバイんだよね」
(´・ω・`)「……」
('A`)「なあ、お前が江戸に来たのは、イトコの仕官先を探してのことだろう? 良かったら口きいてやるぞ?」
(´・ω・`)「ウッ」
('A`)「お袋さん病気なんだろ? 大サービスだ、俺が面倒みてやるぜ?」
(´・ω・`)「母上…」

 ショボンの動揺を確信してから、ドクオはとどめの言葉を囁いた。

('A`)「お前が無実なのは、ちゃーんと知ってるから。藩のために腹切ってくれよ。な?」
(´・ω・`)「ド、ドクオ様……」

178 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/07/17(月) 22:29:24.01 ID:/7VHl02G0
>>176の才能に嫉妬
続きキボンヌ

179 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:34:02.38 ID:/7VHl02G0
――ガタンッ!


('A`)「何奴!?」

 ドクオは近くの槍を手にとり、天井を突き刺した。

(´・ω・`)「いかがなされました?」
('A`)「気のせいだ。ねずみだろうよ…」

 抜いた槍には、血はついていなかった。

 翌日、ショボンは横領の罪を認め、腹を切って死んだ。


(,,゚Д゚)「おーい、おツンちゃん!」

 ギコは普段通りに団子屋へきた。
 しかし、おツンの姿が無い。

(,,゚Д゚)「あれ、今日は休みか? 仕方ねぇな…」

180 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:34:19.05 ID:/7VHl02G0
 ギコが残念がっていた頃、おツンはショボンの墓に手を合わせていた。

ξ゚听)ξ「ショボンさん。今日は文句言いにきたんだよ?」

 立ち上がりながら言う。

ξ゚听)ξ「アンタ、団子のお金置いてかなかったね。三文も踏み倒すなんて酷いじゃない」

 いつしか彼女の眼光は、町娘のそれではなくなっていた。

ξ )ξ「しょうがないわね。あの偉そうな男の命……それで三文チャラにしてあげる」

 墓前には一本の彼岸花が手向けられていた。

182 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:39:16.44 ID:/7VHl02G0
('A`)「あー、なんかつまんねーな」
(´∀`)「女遊びとかしますか? せっかくの江戸です、吉原など……」
('A`;)「いや、俺、女と話すの苦手だし。吉原とかマジ無理」
(´∀`;)「」
('A`)「素人娘がいいなー。俺でも普通に話せそうなさ、素人娘つれてこいよ」
(´∀`;)(はい、ドクオさま)「無茶ぬかすな童貞」
('A`;)「どどど童貞ちゃうわ!」



(´∀`)「おい、そこの女」

――……

(´∀`;)「お前だ、お前!」

――私に何か用かい?

(´∀`;)(うわ、美人モナ!)

(´∀`)「身分ある殿方が、話し相手をお探しじゃ。一緒に来てくれ」

――いいだろう。後悔するなよ?

183 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:42:39.05 ID:/7VHl02G0
(´∀`)「ドクオさま、ドクオさま!」
('A`)「どうした、そうぞうしい?」
(´∀`)「すっげー美人が見つかりました!」

('A`;)「……mjd?」

(´∀`;)「なんで引き気味なんですか?」
('A`*)「フヒヒ、すみません」
(´∀`)「いやあ、無理だと思っても試してみるもんですねぇ」
('∀`*)「わ、わかったから、この部屋へ連れてこい!」
(´∀`)(わかったモナ!)「なんでコノヤロウに、あんな美人が!」
('∀`*)「これ何てエロゲ?」


――お呼びですか?

('A`;)(うわ、美人だ…!)

('∀`*)「お、おお。一人で酒飲むのも寂しくてな。一緒にどうだ?」

――では、ありがたく。

('A`)「おっとっと……いい呑みっぷりだなぁ」

190 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:53:13.22 ID:/7VHl02G0
――お侍さん、お金持ちなのかい?

('∀`)「まあな。お陰さまで金だけはあるぜ」

――そうか。悪いことしてないだろうね?

('∀`)「ははは、悪いことなんかしてねぇよ」

――本当かい?

('∀`*)「本当さ。そ、それより……もっと近うよれ!」

――わっ!?

('∀`*)「一度やってみたかったんだよね、帯回し! ほーれ、クルクルクルー!」


ξ゚听)ξ「そこまでよ」

 ドクオの喉元に、かんざしが突きつけられた。

191 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:57:12.28 ID:/7VHl02G0
ξ゚听)ξ「悪いことはしてない? ショボンさんを殺しておいて?」
('A`;)「テメェ、何しやがる!?」
ξ゚听)ξ「お上の法で裁けぬ外道の命。私が三文で買ってあげる」
('A`;)「な、なんだ? なんだ、お前!?」
ξ゚听)ξ「地獄に落ちたら、そこで咲いてる彼岸花に聞くんだね」

 ツンのかんざしが刺さろうとした瞬間。

川゚-゚)「ちょっと、よいだろうか?」
ξ゚听)ξ「へ?」

 町娘が割り込んできた。


川゚-゚)「殺されては困る。これは私の奴隷(予定)だ」
ξ;゚听)ξ「は?」
('A`;)「え?」
川゚-゚)「この子の親が事態に気づいててな。こいつは私が死ぬまで監視する約束なんだ」

('A`;)「え、何の話?」
川゚-゚)「うるさい。御主人さまに口答えするな!」
('A`;)「ぎゃぼーっ!」

 クーの拳がドクオの頬を、したたか打った。

192 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:57:45.26 ID:/7VHl02G0
ξ;゚听)ξ「あの……」
川゚-゚)「どうした?」
ξ;゚听)ξ「いえ、こんな状況は初めてで、どうしようかと……」
川゚-゚)「そりゃお互い黙っておけばいいんじゃないか? 君の手柄にしていいからさ」

 クーはドクオに首輪をはめた。

川゚-゚)「さ、おいでポチ」
('A`;)「うそ!? 何の話!?」
川゚-゚)「帯回し、やりたかったんだろう? いいぞ許可する」
('A`)「え?」
川゚-゚)「だから良いと言っているのだ。はやく帯を解きたまえ」
('A`;)「え? ちょっ、ちょっと待っ」
川゚-゚)「どうした。来ないなら私から行くぞ」
('A`;)「ああっ、いやっ、おかあさーん……!」



(´・ω・`)「これも愛の形だよね。でも嫉妬するよね」←生きてた
ξ;゚听)ξ「ひいっ!?」

193 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 22:58:56.15 ID:/7VHl02G0
数日後。

ξ;凵G)ξ「あたしの存在価値って……」
( ^ω^)「おっおっ、ツンどうしたお?」
ξ;凵G)ξ「あたしも活躍したいのに、最近すっかり影薄いじゃないの!!」
(;^ω^)「うわ、ツンが殴ってくるお! ブレイク! ブレイク!」
ξ;凵G)ξ「うわーん、あの女が地位と見せ場を奪っていくー!」

 完。



※ドクオはヘタレなんで、ショボンを殺せませんでした。
 なんか分かりづらくなったなあ。スマソ。
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