74 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:22:32.64 ID:hEPQjR8L0
('A`)ドクオが不思議な体験をするようです

('A`) 「あー・・・・ひめぇ」

ドクオは祖父の法事のため田舎のカーチャンの実家に来ていた。
ここにはPCもゲームもない。あるのは山村に未だ残る自然だけだ。

J( 'ー`)し「ちょっとドクオ、アンタさっきからゴロゴロしてばっかりじゃない
      少しは何か手伝いなさい」

('A`)「マンドクセ」

J( 'ー`)し「ったく、アンタはいつもそうなんだから。従兄弟のモナーちゃんなんか
      自分から進んで手伝ってくれてるわよ」

('A`)「うるせーなー。そもそも俺は来たくて来たわけじゃねーよ
   カーチャンが無理やり連れてきたんだろ」

J( 'ー`)し「ハァ・・・・・じーちゃんが聞いたら悲しむだろうねぇ」

あきらめたようにため息をつき、カーチャンは準備に戻った。

('A`)「法事なんか坊主の小遣い稼ぎみたいなもんだろ」
    
    

75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:23:23.44 ID:hEPQjR8L0
('A`)「それに俺あんまりじーちゃんのこと覚えてないしなぁ」

じーちゃんはドクオがまだ小学生の頃に亡くなった。当時は夏休みになると
よく家族そろって遊びに来ていたし、じーちゃんもドクオを可愛がってくれた。
ドクオも一緒に遊んでくれるじーちゃんのことは大好きだった。

しかし時間が経つに連れてじーちゃんとの思い出も色あせていった。
ドクオも今年で20である。

('A`)「・・・・・・・暑い」

縁側に寝そべりボーっとしているドクオ。
その視界に、ふと珍しいものが映った。

('A`)「麦わら帽子?」

風に吹かれてストローハットが宙を舞っている。
それはクルクルと回りながら、家の下にある棚田のほうへ落ちていった。


76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:24:12.00 ID:hEPQjR8L0
('A`) 「誰かのが飛ばされたのかな?」

気になったドクオはサンダルを履き麦わら帽子が消えていった方へ降りていった。
帽子は棚田のそばに植えられた柿の木に引っかかっている。

('A`)「なんとか届きそうだな」

ドクオは背伸びをして帽子を取った。

('A`)「どこから飛んできたんだ?この帽子」

その時、誰かがドクオの服の裾をチョンチョンと突いた。

('A`)「ん?」

( ^ω^)「おっおっお」

('A`)「なんだお前?」

そこにいたのは小さな少年だった。見た目は小学校低学年くらい
ランニングに短パンという一昔前の格好で、肌は日焼けして小麦色だ。

77 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:25:26.91 ID:hEPQjR8L0
( ^ω^)「その帽子僕のだお。返してお」

('A`) 「ああ、これお前のか。ほらよ」

( ^ω^)「へへへ、あんがとお」

('A`)「(親戚の子か?こんなやついたかな・・)」

('A`)「お前この辺の子か?」

( ^ω^)「そうだお。土地っ子だお」

('A`)「(この辺まだこのくらいの子供いたんだな。
    ジジババばっかだと思ってたわ)」

( ^ω^)「何黙ってんだお、色白のおっさん」

('A`)「ああ?色白なのは認めるが俺はまだおっさんじゃねぇ
    お兄さんと呼べ」

78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:26:12.67 ID:hEPQjR8L0
( ^ω^)「分かったお、おっさん」

('A`#) ビキビキ「(この糞ガキ・・・・)」

( ^ω^)「おっさん見るからに不健康そうだお。どうせ引きこもってばっかなんだお?
      そんなんじゃダメだお」

('A`;) 「う、うるせーな。ガキがいっちょ前に説教してんじゃねーよ」

( ^ω^)「図星かおwwwww。しょうがないから僕が一緒に遊んであげるお!
      運動するお!」

('A`;)「え、ちょ、おい!」

少年はドクオの手をひっぱる。

('A`)「おい、どこに連れてく気だよ」

( ^ω^)「来れば分かるお。おっおっお」

79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:27:26.04 ID:hEPQjR8L0
ドクオが連れてこられたのは、家の裏手の山を越えたところにある小高い丘だった。
ここからは村の景色が一望できる。

('A`) 「ハァハァ・・・しんどい」

( ^ω^)「若いのにだらしないお。しっかりしろお」

('A`) 「年寄り臭いこと言うなよ」

('A`) 「それにしても、こんな場所があったの今まで知らなかったわ」

原っぱに寝転び空を仰ぐドクオ。夏草の匂いがする風が心地いい。

( ^ω^)「フヒヒ、僕の秘密の場所だお」

('A`) 「いいのか?そんなとこに俺なんか連れてきて」

( ^ω^)「おっさんは麦わら帽子取ってくれたから特別だお」

('A`) 「ちょ、だからおっさんじゃないって言ってんだろ!」

80 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:28:30.59 ID:hEPQjR8L0
( ^ω^)「おっおっお。細かいことは気にするなお
      それよりせっかく来たんだから遊ぼうお!」

不思議な少年だった。ドクオよりはるかに年下なのに、軽くあしらわれてしまう。

('A`) 「それになんだろう・・・・妙に懐かしい気がする」

( ^ω^)「おーい、いつまで寝そべってるお!こっちくるお」

('A`) 「ん?ああ、分かった・・・ってなんだこれ?」

( ^ω^)「何って、どう見ても自転車だお」

('A`) 「いや、それは分かってるよ。これで何するんだよ」

( ^ω^)「これで丘の頂上から滑り降りるんだお」

('A`) 「はあ!?そんなアブねーことできるかよ!」


81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:29:24.60 ID:hEPQjR8L0
( ^ω^)「おっさんビビッてんのかお?」

('A`;) 「な!べ、別にびびってねーよ・・」

( ^ω^)「やっぱりビビッてるおwwwwww20のくせして情けねwwww」

('A`) 「ビビッてねーって言ってるだろ!よーし、いいよやってやるよ」

( ^ω^)「そう来なきゃだお!」

少年を後ろに乗せ自転車にまたがるドクオ。

('A`;) 「(やっぱこの高さは怖いな・・・)」

( ^ω^)「よーし、行くお!」

('A`;) 「ちょ、ちょっと待て!まだ心の準備が・・ってうわああああああああああ!!」

二人を乗せた自転車は風を切り、丘を一気に駆け下りていく。



82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:30:10.78 ID:hEPQjR8L0
('A`;) 「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

( ^ω^)「URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

('A`*) 「向かい風がすっげー涼しい!これは・・・・・!」

( ^ω^)「たまらんだお?」

((('A`*)))「たまらんんんんんんん!!!」

ドクオは気がつくと夢中で遊んでいた。まるで自分も子供の頃に戻ったようだった。
二人は大の字になって丘に寝そべった。

('A`*) 「あーこんなにはしゃいだの久しぶりだな。ちょっと疲れたよ」

( ^ω^)「でも楽しかっただろお?」

('A`) 「まーな。そういえばまだお前の名前聞いてなかったな」

( ^ω^)「僕はブーンだお」

('A`) 「へぇーブーンっていうのか。なんかどっかで聞いたことある名前だな。
    あ、そうそう俺の名前は・・」




83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:31:07.66 ID:hEPQjR8L0
( ^ω^)「知ってるお。ドクオだお」

('A`) 「え?なんで知ってるんだよ」

( ^ω^)「さて、僕もうそろそろ行かなきゃだお
      久々にドクオと遊べて楽しかったお」

('A`) 「お、おい!ちょっと待てよ!」

( ^ω^)ノシ「バイナラお〜〜〜」

その時、一陣の風が吹いた。ドクオは思わず目をつぶる。
そして再び目を開けたとき、そこにはもうブーンの姿はなく
麦わら帽子だけが残されていた。

('A`) 「どうなってんだ??」

狐につままれたような気分でドクオは祖父の家にもどった。

( ,'3 )「おや、おかえりドクちゃん。どこ行ってたんだい?」

('A`) 「ああばあちゃん、ただいま。なんか変なガキと遊んでたんだ。
    これそいつが忘れてったんだけど」



84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/17(月) 18:32:12.10 ID:hEPQjR8L0
( ,'3 )「ん〜麦わら帽子かい・・・・おやおや、フフフ」

('A`) 「どうしたばあちゃん?」

( ,'3 )「あの人もドクちゃんが久々に来てくれたから嬉しかったんだろうねぇ」

('A`) 「どういうこと?」

( ,'3 )「ドクちゃん、その麦わら帽子はブーンじいちゃんのなんだよ
     農作業の時いつもかぶってたねぇ」

('A`) 「え!!?じゃあ俺と遊んでたのは・・・」

( ,'3 )「フフ、じいちゃんはドクちゃんと遊ぶの大好きだったから・・
    お盆だしちょっと帰ってきたのかも知れないねぇ」

('A`) 「だから俺の名前知ってたのか・・・・」

夏の日差しが部屋に差し込み畳の色を分けている。ドクオはふと光が差し込んで
くる外を見る。その視線の先に、ちらりと白いランニングが見えた。
でもすぐ風が吹き込んできたので―――その幻もすぐに消えた。

('A`)「じーちゃん・・・・・ありがとう。俺、来年も来るよ」   



inserted by FC2 system