474 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/05/19(金) 00:48:38.07 ID:0IJ140H80
しぃは、綺麗な包装紙の上にリボンが巻かれた箱をツンから受け取る。
それは箱の大きさの割には随分と軽かった。

ξ ゚ー゚)ξ 「誕生日おめでとう、しぃ!」
(*゚ー゚) 「ありがとうございます、ツンさん・・・開けてもいいですか?」
ξ ゚ヮ゚)ξ 「もちろんよ。さ、開けてみて!」

しぃはうなづくとリボンをほどき、包装紙を破らないように丁寧にテープを剥がす。
箱の中から出てきたのは丈の長い、長袖の白いワンピースだった。

産まれつきアルビノ(先天性色素欠乏症)であるしぃは、紫外線に極端に弱い。
そのため、夏でも外出時には長袖の服が必須なのだ。

(*゚ヮ゚) 「わぁ、ステキ!ありがとう、ツンさん!」

しぃは満面の笑みでツンに笑いかけると、ワンピースを胸の前に合わせてクルクルと回る。
銀色の長い髪と白いワンピースの裾が宙に広がり、窓から射し込む陽の光りを反射する。
それはまるで、妖精の舞いを見ているかのようだった。

ξ ゚ー゚)ξ 「気に入ってもらえて嬉しいわ」
(*゚ヮ゚) 「はいとっても!大事にしますね・・・」

しぃは嬉しそうな、それでいて泣きそうな笑顔でワンピースを抱きしめる。
そんなしぃに、今度はドクオが大きな紙袋を差し出す。
気恥ずかしいのか、そっぽを向いて視線を合わせようとしない。

('A`*) 「・・・・・・こ、こいつは、オレからだ・・・」
(*゚ー゚) 「あ、ありがとうございます、ドクオさん・・・」
('A`*) 「・・・開けてみろよ」
(*゚ー゚) 「は、はい」

475 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/05/19(金) 00:49:51.91 ID:0IJ140H80

赤い大きなリボンの付いた紙袋を開けると、その中に入っていたのは大きなツバの帽子だった。

(*゚ヮ゚) 「わぁ・・・」
ξ ゚ー゚)ξ 「そのワンピースと合わせると良い感じでしょ?私も一緒に選んだのよ」
('A`#) 「よ、余計なこと言うんじゃねぇよ、ツン!」
ξ ゚听)ξ 「あら、別にいいじゃない?」
(*゚ー゚) 「ドクオさん、ありがとう!!」
('∀`*) 「お、おぅ・・・」

続いて、飾り気のない包装紙に包まれた小箱を手渡すブーン。

( ^ω^) 「おめでとうだお、しぃちゃん。開けてみるお」
(*゚ー゚) 「う、うん!ありがとう、ブーン君」

最初、宝石箱か小物入れかと思われたその箱はオルゴールだった。
蓋を開けた途端、オルゴール特有の済んだ色が部屋中に静かに響く。

(*゚ー゚) 「キレイな音色・・・カッチーニの『アヴェマリア』ね」
( ^ω^) 「オルゴール製作キットを買って、箱はボクが作ったんだお」
(*゚ー゚) 「えっ?これ、ブーン君が自分で・・・?」
( ^ω^) 「うんだお」

確かによく見ると継目に隙間があったりもするが、
ニスを何重にも塗られ、丁寧に仕上げられたそれは、
パッと見、素人の手作りにはとても思えない。
ブーンがそれを作り上げるのに、どれほどの時間と根気が必要だったのだろうか。

誕生日に流れるにしては少し物悲しい音色が、しぃの心を優しく包み込む……

477 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/05/19(金) 00:50:15.77 ID:0IJ140H80

(´・ω・) 「お誕生日おめでとう、しぃちゃん。ボクからは、コレを・・・」

最後にショボンが、おずおずと包みを差し出す。
それはやけに縦長の長方形の箱だった。
しぃは目じりの涙を誰にも気付かれないように拭うと、笑顔で箱を受け取る。

(*゚ー゚) 「・・・ありがとう、ショボン君!開けていいかな?」
(´・ω・) 「うん、もちろん」

包みを開けると、その中身は───















478 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/05/19(金) 00:50:49.00 ID:0IJ140H80

新製機・エヴァンゲリオソのヒロイン、『彩並レイ』の1/4スケールフィギュアだった。

(*゚ヮ゚)^ω^)'∀`)゚ー゚)ξ 「・・・・・・」

声もなく、笑顔のまま凍りついてしまう一同。
その空気に気付かないショボンは、熱を帯びた口調でプレゼントの説明を始める。

(`・ω・) 「これはね!あの有名な潰瘍堂の限定品でね、シリアルナンバー入りなんだよ!」

(*゚ヮ゚)^ω^)'∀`) 「・・・・・・」

(`・ω・) 「ほら、台座にナンバーが刻印されてるでしょ!えっと、No.310だね!これってたった999個──」

(*゚ヮ゚)^ω^) 「・・・・・・」

(`・ω・) 「見て!情報量の多いデザインを巧みに再現したディテールと、繊細なグラデーション塗装──」

(*゚ヮ゚) 「・・・・・・」



≪ さいれん 〜箱の大きさの示すもの〜 【完】 ≫


ξ*゚ー゚)ξ おしまいっ!
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