953 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/07/10(月) 11:09:21.42 ID:/HLUihCO0
(*゚ー゚)「ふふふ、やっと新型媚薬が完成したわ。
即効性もあって効果は強力。弱点はキスによる摂取じゃなければいけない所…。
それは言い換えれば恋人たちの背中を押すには完璧ってことかしら。
…実験も済んだし、後は証拠を隠滅してサンプルを持って帰るだけ」

薄暗い実習室で怪しげな実験器具を所狭しとぶちまけたしぃは妖しく微笑みます。
なにやら玉虫色の薬をアルコールランプで煮詰めているようです。

(*゚ー゚)「myハウスの秘密実験室でエクステンションパァァァァァァァティ!!」

意味のわからない鼻歌(?)を歌いながら、手早く薬を処分して残りの少量を試験管に詰めます。
このまま誰も来なければしぃの計画は完璧でした。
誰も来なければ。

( ゚Д゚)「うぃー、レポートがまだ完成してないからって補習かゴルァ。全く学生は大変だねぇと」

しぃのすべらかな背中も驚きのあまりハリネズミのごとく逆立ちます。
蓋をする前の試験管がバランスを崩したしぃの顔に落下していきました。
その口を下向きに開けて、玉虫色に輝く嫌な液体が、こぼれ…

Σ(;゚ー゚)「ぇ、ちょ、アラ!?」

ごっくん。

954 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage >>952気にするな。俺だって同じこと考えたからお相子だ New! 2006/07/10(月) 11:10:49.35 ID:/HLUihCO0
( ゚Д゚)「…あれ? ここじゃねぇかな…っかしいな、どこいったんだろ?」

量そのものはわずか少量ですが、
直接口から吸収するとえげつないことになるという結果がでているこの薬を誤って飲んでしまったのです。
幸い憧れの体育教師ギコには見つかりませんでしたが、それでもやっぱりえげつないことになっているのは確実です。

(;;;゚ー゚)「…うっ、ううううっ!!」

なんとしぃが金色です。黄金です。きんきらきんに輝いています。
全身が光り輝き、あまりのまぶしさに目が焼かれそうな…それはもう完璧な黄金です。

(; ー )「なんてこと…二人分の唾液を媒介に化学反応を起こすことで媚薬効果をもたらすこの薬は
一人で飲むと人間の身体組織を変質させて…純金に、変えてしまう、作用があったのに…!!」

嗚呼何という事でしょう。ここにいるのはアホです。真性のアホです。
何故わざわざ媚薬一つ作るのにそんなややこしい効果を添付するのでしょうか。
何故普通に強力な薬をつくらないのでしょうか。
勿論彼女は普通ではありませんので、そういうことを聞いたところで返ってくる答えは二つに一つ。
つまり、

(; ー )「そのほうが面白いからに決まってるじゃない!」

もしくは、

(; ー )「たまたま出来ちゃったんだから試したいと思うのは必然の心理!!」

非情に、ひじょーにややこしい人です。
純金のしぃ先生は薬の効果が解ける時間を静かに計算しています。
ですがそれを邪魔するかのごとく隣の科学準備室の扉が無茶苦茶に叩かれました。

955 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/07/10(月) 11:12:46.96 ID:/HLUihCO0
「あっ、開けるおー! 開けるおーしぃ先生!! それから事情の説明を願いたいのでかいつまんでこれをなんとかするおー!!」

どう聞いても錯乱しているようにしか聞こえない少年の声が聞こえてきました。
その扉はこちら側に向かって大きく撓み、次の瞬間強烈な音を立てながらぶち抜かれてしまいます。
中から出てきた学生も目を見張るような黄金で、まるで純金像が学生服を着て歩いている…というか、そのままですね。
いかにも体育会系で頭の悪そうな顔をしたでかい少年が現れました。

(;^ω^)「目が覚めたら! 体が! 体が金にぃぃぃぃぃぃ!?
億パーセントの確立でアンタが原因っつーのはわかってるから何とかしろよ今すぐ!!」
(;゚ー゚)「な、内藤くん…。
えっと、中和剤を下手に作って飲むと口の中に最初の薬品が残留して二度とキスできなくなる代わりに速攻で現状は回避できるわ。
時間経過でも元に戻るはずだけどどんなに短く計算しても12時間。長くて3日…つまり72時間ね」
(;^ω^)「恥を晒すか得体の知れない爆弾を抱えるかの二択ですかお。なんとも究極の選択」

内藤くんは頭を抱えます。それはそうです。
まだ高校生活一学期半ばという場面で今後の人生を左右しかねない選択肢をありありと突きつけられては誰だって悩みます。
第一彼は被害者です。珍しく紅茶など入れてもらって一口口にした途端いきなり記憶が飛び、
気がつけば全身が見事すぎる黄金に変わっているのです。誰だって錯乱します。
とにもかくにも、全ての原因はしぃ先生なのです。彼の思考は彼女を責め立てる事に移行します。

(#^ω^)「このマッドサイエンティストめ!! アンタのおかげで僕はこんなになったんだお!? 責任とれお!」
(#゚ー゚)「むっか。なによぉ、その言い方じゃ全部あたしが悪いみたいじゃない」
(#^ω^)「貴様が悪くないわけないだろぉよ。僕にこんなわけのわからん薬を飲ませやがって…!」
(#゚ー゚)「科学部部員なら紅茶の睡眠薬〜醒めぬ眠りへご招待〜くらい一発で見抜きなさいよバカねぇ」
(#^ω^)「不吉なサブタイつけんなお。だいたいあんたがきんきらきんになってるってことは現在総重量は…」
(# ー )「ブチブチッ、比重から元の体重が割れるのでそれから先を言うのはやぁめましょうねぇぼぉやぁ」

黄金像×2がにらみ合い、火花を散らします。

956 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/07/10(月) 11:15:34.55 ID:/HLUihCO0
('A`)「後はここか。まったく、何でないかなぁ俺の筆箱。最後に授業行ったのはここだし、まああるだろうとは思うけど」

ガラッ。
廊下側の扉が開き、誰かが入ってきました。
しぃの教え子であり、内藤くんのクラスメイトでもあるドクオくんです。
二人はドクオくんを見ます。
ドクオくんは二人を見ます。
気まずい沈黙が流れますが、最初に硬直から抜け出したのは黄金像×2でした。



(# ω )(# ー )「「忘れろおおおおおおおおおおおおお!!!!」」



内藤くんは見事すぎるラリアットから肘のコンボ、しぃは鮮やかすぎる金的から顔面に膝を叩き込む極悪コンボを決めました。
鉄と比較しても明らかに重過ぎる黄金色の攻撃に、
ドクオくんはなすすべもなく窓ガラスの外と無意識の海へダイブしていくのでした。

口論は続きます。
物語は…きっと多分続きますか?
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