266 譲れないもの sage New! 2006/07/08(土) 03:35:29.46 ID:jZYrd8ebO
七夕

それは彦星と織姫の為に用意された特別な日。


しかし、それは決して甘美なものではなかった・・・・・・・・

天の河のほとり、佇む影が二つ。
両者は互いに睨み合ったまま動かない。
そこにあるのは絶対なる静寂。
両者ともキッカケを探していたのだ。始まりの合図となるキッカケを。


267 譲れないもの sage New! 2006/07/08(土) 03:36:58.56 ID:jZYrd8ebO
不意に、天の河の水がはね、ポチャンと音を立てる。
その瞬間、片方の影がもう片方に恐ろしい速さで接近する。

( ^ω^)「肉体硬化ぁ・腕っ!」

走る影が叫ぶとその腕はみるみるうちに肌色から鉛色になってゆく。
そして、その腕で相手に殴りかかる。

ξ゚听)ξ「水蛇」

そう殴りかかられた方が言った瞬間、巨大な水の蛇が相手に襲いかかる。
相手は辛うじて防御するが、押し負けて数10m向こうに吹き飛ばされる。



268 譲れないもの sage New! 2006/07/08(土) 03:40:33.62 ID:jZYrd8ebO
ξ゚听)ξ「相変わらず単調な攻撃ね、彦星。」

馬鹿にするように蛇を放った者が言う。

( ^ω^)「ゲホッ、織姫は相変わらず容赦がないお。」

彦星と呼ばれた者が起き上がりながらそう言う。

ξ゚听)ξ「容赦はしない。そうゆう闘いなのよ。これは。」

織姫が冷たく言い放つ。
そう、これは己の威信を賭けた闘い。避けることの出来ない闘いなのだ。


269 譲れないもの sage New! 2006/07/08(土) 03:42:37.80 ID:jZYrd8ebO
ξ゚听)ξ「話し合いはこれまでよ。水蛇連牙!」

織姫がそう言うと天の河の水が何匹もの蛇になり、彦星に向かって行く。

( ^ω^)「闘いたくはないけど、織姫が考えを変えないなら仕方がないお。」

( ^ω^)「肉体鋭化・脚」

彦星がそう呟くと、足が刃物の様に鋭くとがる。
彦星は向かって来る蛇を足で切り裂きながら織姫に近付いて行く。

ξ゚听)ξ「やっぱりこの程度じゃ駄目か。」

ξ゚听)ξ「水竜大瀑布!」

一段と強く織姫が叫ぶと、更に巨大な水の竜が現れ、彦星へうねりながら
向かって行く。

( ^ω^)「クッ、こうなったら。」

( ^ω^)「全身鋭化ぁ」

同じ様に彦星が叫ぶと、彦星の体は槍の様にとがっていく。

270 譲れないもの sage New! 2006/07/08(土) 03:43:21.38 ID:jZYrd8ebO
( ^ω^)「ブーーーーーーン!」

そう叫び、彦星は竜に体当たりを仕掛ける。
ドォォォォォォォォン
爆音が辺りに響く。煙が立ち込める。


ξ゚听)ξ「か、勝ったの?」

「いいや。織姫の負けだお。」

ξ゚听)ξ「なっ!?」

煙から飛び出した彦星は素早く刃物の様な足を織姫の首に突き付ける。

( ^ω^)「これ以上はやりたくないお。考えを変えてほしいお。」

ξ゚听)ξ「・・・・・・・しょうがないわね。考えを変える・・・・・・」

それを聞いて彦星の警戒が弱まった時だった。


271 譲れないもの sage New! 2006/07/08(土) 03:44:33.82 ID:jZYrd8ebO
ξ゚听)ξ「わけないじゃないの。水柱破!」

途端、地面から水の柱が現れ、彦星を吹き飛ばした。

( ^ω^)「アッーーーーーー」

ξ゚听)ξ「目玉焼きにソースは譲れないんだから!次、覚えてなさいよ。」

そう負け惜しみを言いながら織姫は彼方へと去って行った。

( ^ω^)「こっちも目玉焼きに醤油は譲れないおー。」

織姫に聞こえるように叫ぶ。

( ^ω^)「それにしても、来年も闘わなきゃいけないのかお。疲れるお。」

もしかしたら、貴方が見た空で織姫と彦星は闘っていたかもしれない・・・・・・

END

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