485 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:33:19.01 ID:5Ma6KQWZ0
(;^ω^)「暑いお……。」

('A`;)「こうも暑いと、遊びに行く気も起きねぇな。」

(;´・ω・`)「まったく。まぁ肝心の元手もないんだけどね。」

期末テストもめでたく本日にて終了。
これでやっと羽を伸ばせる!
…と言いたいところだが。
ここにいるのは、常日頃から「金ねぇよ」が口癖の貧乏高校生3人組。
涼みがてらカラオケやファーストフードに入るのだって金が要る。
つまり、貧乏人は寄り道などせず、汗と涙を流しつつまっすぐカエレ!ってこった。

(;^ω^)「とりあえずコンビニ行くお。」

買いたいものがあるわけではない。
いや、買えるものなら買いたいものは山ほどある。
だが繰り返すが、彼らには金がない。よって買い物することが今回の目的ではない。
そう、内藤の真の目的とは!

486 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:35:35.57 ID:5Ma6KQWZ0
('A`)「……駄目だ。みんな考える事は同じだな。」

ガラス張りの店内を覗くと、雑誌コーナーの前は内藤たちと同じ制服で埋め尽くされていた。
もはや蟻の子一匹入る隙間もない。いや蟻なら入れるだろうが。

(#^ω^)「けしからんお!金も払わずマンガ読んで、あまつさえ涼を得るとは何事だお!」

(´・ω・`)「他人の事は言えないと思うけど……。」

('A`)「かえって暑そうだけどな。満員電車並みにぎゅう詰めで。」

(´・ω・`)「密着ktkr」

ショボンだけは目を輝かせているが、蟻は入れても小太りの内藤やショボンの入る余地などありはしない。
名残り惜しそうなショボンを引きずっていって体力を消耗するのももったいないと、
内藤とドクオは薄情にもショボンを残して歩き出した。
と言っても、これまた体力消耗したくないからと、ちんたらスローペースな歩みである。
「うほっ!男だらけの立ち読み大会」を諦め、貼り付いていたガラスから離れたショボンが
二人に追いつくのは簡単だった。

487 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:38:15.55 ID:5Ma6KQWZ0
('A`)「夏なんて、何もいいことねえな。」

降り注ぐ日射しと蝉の声。高く突き抜けた空とぐんぐん大きくなる入道雲。
夏の訪れにwktkしていたのは、小学生までの話だ。
今じゃ、制服のシャツが身体に貼りついてうっとうしいだけの季節でしかない。

(´・ω・`)「せめて電車通学なら、冷房きいてたのにね。」

('A`)「だから一緒だって。満員でクソ暑いって。」

(´・ω・`)「その満員がいいんじゃないか。」

( ^ω^)「自転車通学なら風が当たるから、少しはましかお?」

('A`)「降りてからが余計に暑いだろ。あれ何でなんだろうな。」

488 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:39:06.07 ID:5Ma6KQWZ0
( ^ω^)「VIP市は徒歩通学者のために、すべての道に屋根と冷房つけるべきだお!」

('A`)「さらに動く歩道だったら完璧だな。」

( ^ω^)「よし、俺はVIP市の市長をめざすお!」

('A`)「じゃあ俺は工事会社に入るわ。発注ぜんぶ俺のとこにまわしてな。」

( ^ω^)「おk、賄賂よろしくだおwww」

('A`)「お代官様も人が悪いwww」

(´・ω・`)「母さん僕は今、汚職の実態を目の当たりにしています。」

現実逃避もはなはだしい内藤の妄想に、同じく妄想でもって相槌をうったドクオだったが、
ふと、前方から歩いてくる人物に目を止めた。

('A`)「…すまん内藤。俺はやはりお前と同じ道を歩くことはできない。」

(#^ω^)「なにー!おんどぅるうらぎったんでぃすかだお!!」

('A`)「いや、素数かぞえて落ち着いて考えてみろ。もし、この道が冷房完備だったら…。」

歩いてくるのは、同じクラスの女子だった。
うだうだちんたらのろのろと家に向かっている内藤たちとは違い、さっさと家に帰って出直してきたところらしい。
町内の夏祭りにでも行くのだろうか。

489 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:40:29.66 ID:5Ma6KQWZ0
ξ゚听)ξ「セーラー服って暑いのよねー。今日からしばらくお別れできると思うと、せいせいするわ。」

川 ゚ -゚)「……だが、今の君の格好も暑そうに見えるぞ。」

ξ゚听)ξ「あら、そうでもないわよ。肌触り良いし、首筋涼しいしね。」

浴衣姿のツン。
普段は活発で気の強さが目立つ彼女も、和装に身を包んでいると、どことなくおしとやかに見える。
髪を高い位置でツインテールに結い上げているのはいつもと同じなのに、
着ているものが違うというだけで、晒された首筋がやけに色っぽく感じるのは気のせいだろうか。
長い裾からわずかに覗くくるぶしもしかり。
慣れない下駄と、スカートやジーンズほどには可動域の広くない裾のおかげで、やや歩きづらそうなのがまた良い。
控えめな色気こそ、ジャパニーズ・エロティシズムの本道と見つけたり。

川 ゚ -゚)「君は浴衣が似合うな。正直羨ましい。私は胸が大きいから似合わない、とよく言われるんだ。」

ξ゚听)ξ「バカ、褒めたって何も出な……って褒めてないわよ、それ。
    でも、私はクーが羨ましいな。お互い無いものねだりなのかもね」

タンクトップにジーンズ姿のクー。
制服の上からでもその胸の大きさは男子の注目の的だったが、
ややゆったりめに作られたセーラー服の上着とは異なり、身体にフィットしたタンクトップは、
その形状の美しさ……「巨乳」というだけではなく「美乳」でもある事実を、余す所なく見せつけてくれる。
隣のツンに比べるとはるかに高い露出度でありながら、押し付けがましいセックスアピールを感じないのは、
クー自身の飾りっ気のないたたずまいによるものだろうか。
ストレートの髪をさらりと背に流し、タンクトップも濃紺のごくシンプルなもので、サンダルの踵も高くはない。
女らしさを武器にしようなど、本人はこれっぽっちも考えていないのだろうが、なにしろこのナイスバディである。
わざとらしくアピールする類の色気とは異なる、無意識のうちにほとばしる色気が、そこにはあった。

490 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:41:22.83 ID:5Ma6KQWZ0
('A`)「もし、この道が冷房完備だったら…。」
('A`)「人々は服装で体温調節をする必要がなくなる。」
('A`)「つまり、浴衣女子も!タンクトップ女子も!絶滅してしまうんだよ!!」

ΩΩ Ω<ナ、ナンダッテー!


( ^ω^)「……何故3人?」

('A`)「3人?何言ってんだ?お前とショボンしかいないじゃん。俺キバヤシ役だし。」

( ^ω^)「でも、今、たしかに3人いたお……。」

(´・ω・`)「そういう事もあるよ。夏なんだし。」

(;^ω^)「ちょ、恐い事言うなおwwwww」


( ^ω^)「そんな事より、今は浴衣ンクトップ女子だお!」

訳のわからない造語を編み出しつつ、内藤が鼻息を荒くする。
幸いにも、ツンとクーは喋るのに夢中で、こちらには気づいていない。
鼻の穴が広がりすぎた間抜け面をもし見られようものなら、
ツンからは的確かつ容赦ない罵声を、クーからは無意識ゆえの残酷な指摘をくらったことだろう。
3人はこそこそと電柱の影に隠れた。
とは言っても、細身+ピザ+ピザの3人組である。隠れられるわけがない。
道行く人々が怪訝そうな目で、あるいは可哀想な子を見る目で眺めながら通り過ぎていくが、
おそらく3人の脳味噌は既に暑さで溶けきってしまっているのだろう。確かに可哀想な子たちである。

491 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:42:06.23 ID:5Ma6KQWZ0
(*^ω^)「うなじのチラリズムがテラエロス」

('A`*)「巨乳ハァハァ」

(*´・ω・`)「正直そそられるよね。」注:ショボンは両刀です

怪しい3人組に視姦されている事など、露ほども気づいていないツンとクーが次第に近づいてくる。
これほど通行人の注目を浴びまくっている3人組に気づかないなんて、
よほど話に花が咲いているのか、それとも単なる鈍感か。まあ間違いなく後者だろう。
しかし、内藤たちにとっては好都合。
日頃エロゲと2ちゃんばかりやっていて、視力の悪い彼らである。

(*^ω^)('A`*)(*´・ω・`)(早く近くまで来い!じっくりゆっくりねっとり舐め回すように見つくしてやる!)

獲物が至近距離までやってくるのを、今か今かと待ち構えていたその時。

J( 'ー`)し「何してるのホライゾン?」

(;^ω^)「……やばすwww」

492 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:43:44.52 ID:5Ma6KQWZ0
J(#'ー`)し「お前って子はまったく!ご近所さんの見てる前で変な真似するんじゃないよ!」

(メ)^ω^)「ごめんなさいお……。」

耳たぶを摘まれて家まで引きずってこられた内藤は、母にこっぴどく叱られた。
優し気な外見とは裏腹に、内藤の母は怒ると流石家のおかん並に恐ろしい。
鉄拳制裁に及ぶ事もしょっちゅうだったが、それでも内藤は母の事が大好きで、尊敬していた。

(メ)^ω^)(俺なんて、ドクオと二人でもショボン引きずるの面倒くさかったのに。
       ピザの俺を家まで引きずってこられるカーチャンは凄いお。)

尊敬の方向が多少ずれているのはご愛嬌。

( ^父^)「まぁまぁ母さん、そのくらいで。」

息子の頬が腫れ上がるまでひっぱたい……いや、ぷくぷくなのは元からだった。
むしろ逆に、顔のラインは引き締まったような気がしないでもない。
しかしそんな事にはお構いなく、さらに手を上げようとする母を、父がやんわりと止めた。

( ^父^)「ホライゾンだって反省してるじゃないか。
       若いうちは、好奇心と照れくささとがあいまって、奇妙な行動をとってしまうものだよ。
       今のこの時期だけの事さ。大目に見てやってくれんか。」

493 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/07/02(日) 05:44:09.34 ID:5Ma6KQWZ0
J( 'ー`)し「それもそうね……。
     次からは、もうノゾキみたいな真似はやめるのよ、ホライゾン。」

(メ)^ω^)「わかったお。ごめんだおカーチャン。」
(メ)^ω^)「トーチャンもありがとうだお。
       お礼にこないだショボンが焼いてくれた『盗撮マニアックスvol.2』あげるお。」

( ^父^)「 」

(メ)^ω^)「……?どうしたお?
       盗撮モノ好きだって、トーチャン前に言っt」








(メ)^ω^(メ)「トーチャンにもぶたれたお」

おしまい
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