96 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(1/16) New! 2006/06/24(土) 23:36:27.65 ID:2bsD6lYk0

『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』

( ^ω^)「はぁー。今日も学校暇だお。」

彼の名前は内藤ホライゾン。皆からはブーンと呼ばれている。
どこにでもいる平凡な高校生だった。今日も平凡な一日が流れている。

( ^ω^)「ん?あっちが騒がしいお。」

('A`) 「あぁ・・・またあいつだよ。」

どうも日本人というのは自分達の集団から外れている者をいじめるという傾向があるらしい。
それはこの平凡な高校でも例に漏れずにいじめは存在していた。


97 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(2/16) New! 2006/06/24(土) 23:38:07.55 ID:2bsD6lYk0

( ・∀・)「うわっオタク女だ。近付くとオタク菌に感染しちゃうぞwwww」

<ヽ`∀´>「ちょwww近寄るなニダ!触れたら謝罪と賠償を要求するニダ!!」

( ゚∀゚)「おっぱい小さい女に興味はない!失せな!!」

ブーンのクラスには漫画の男の主人公のシールを机に貼っている女がいた。いわゆるオタクだ。
他の女子も「絵に描いた男に恋する女」だと言って友達になろうとする者はいない。
集団から外れている、まさにいじめの対象にはうってつけの存在であった。

ξ;凵G)ξ「・・・」

彼女はいつも反論せず無視してはいるが、目にはうっすらと涙が見える。

(;^ω^)「(・・・テラカワイソス。でも助けるとブーンもいじめられるお・・・)」

ここで彼女を助けたらブーンもまた「集団から外れる者」に認定されてしまう。
そうやってブーンはいつも心を痛めつつ、見て見ぬフリをしていた。


98 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(3/16) New! 2006/06/24(土) 23:40:28.68 ID:2bsD6lYk0

ある日の出来事だ。いつもと同じ平凡な一日。次の四時間目の授業は体育だった。
男子は教室で体育着に着替えていた。すると、いつもいじめている連中が彼女の机の中を探っていた。

( ゚∀゚)「・・・よし。あいつ更衣室に入ったみたいだ。」

( ・∀・)「おっ・・・あったぞ!このファイルだな。」

<ヽ`∀´>「さっさと行くニダ。見つかったら面倒ニダ。」

( ^ω^)「(な、何の話をしてるんだお?・・・気になるお。)」

そのまま彼等は机から盗んだ物を持って教室を出て行った。その時にブーンは見た。

(;^ω^)「(・・・!あれは・・・確か漫画の切り抜きだお・・・。)」

それは彼女が大切にしている漫画の主人公の切り抜きが入っているファイルであった。

(;^ω^)「(あいつら何するつもりなんだお・・・。) ドクオ、悪いけど先行くお!」

ブーンは気になり3人の後を追った。


100 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(4/16) New! 2006/06/24(土) 23:41:48.96 ID:2bsD6lYk0

3人が向かった先は当然次の授業をやる体育館だった。早目に来たのでまだ教師の姿も見えない。
3人は体育倉庫にこそこそと入っていった。ブーンも気付かれないように中を覗いた。
すると中では3人がファイルの中身をぶちまけていた。

( ゚∀゚)「これでおkwwwwっうぇwwwwww」

( ・∀・)「うはwwwwテラオモシロスwwwwww」

<ヽ`∀´>「リアクションが楽しみニダwwwwww」

(;^ω^)「(あいつら!・・・テラヒドス・・・。)」

その後の体育の授業は何事もなく終わった。


102 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(5/16) New! 2006/06/24(土) 23:43:24.32 ID:2bsD6lYk0

そして昼休みになった。

ξ゚听)ξ「無い・・・私のファイルが無い・・・。」

当然、彼女は机からファイルが紛失しているのに気付いた。彼女は急いで教室中を探し始めた。

ξ;凵G)ξ「・・・どこ・・・どこなの・・・。」

( ・∀・)「何必死になってんのwwwwwテラキモスwwwwwww」

<ヽ`∀´>「何か失くしたニダ?どどんまいニダwwwwwww」

( ゚∀゚)「ちょwwwwこっちにまで探しに来るなよwwwww」

彼等はそんな彼女を見て幸せそうにゲラゲラと笑っていた。
ブーンは無関係を装い寝たフリをしていた。見るに耐えなかった。


104 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(6/16) New! 2006/06/24(土) 23:44:47.51 ID:2bsD6lYk0

放課後、ブーンはドクオと一緒に帰ろうとした。
ふと教室の一角を見ると彼女はまだファイルを探していた。
隠した連中もすでに飽きたらしく帰ったらしい。
ブーンは彼女の姿を見ていて胸が痛んだ。そして決意したのであった。

('A`)「おーいブーン。何してんだよ、早く帰ろうぜー。」

( ^ω^)「ドクオ・・・悪いけど用事が出来たから先に帰っててくれだお。ksk!」

そう言ってブーンは両腕を広げ廊下を走っていった。

(;'A`)「ちょwwww」

ドクオがあっけにとられるのを後ろに、ブーンは体育館へ全速力で向かっていた。


105 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(7/16) New! 2006/06/24(土) 23:46:06.42 ID:2bsD6lYk0

ξ;凵G)ξ「うぅ・・・どこなの・・・。」

彼女は教室で未だにあるはずのないファイルを探していた。
すると誰かが廊下を走ってこちらに向かってくる足音がした。
そいつは顔いっぱいに汗を流し、手には彼女が必死に探していたファイルがあった。

(;^ω^)「はぁ・・・はぁ・・・探してたのは・・・これかお?」

ξ゚听)ξ「あっ・・・それ・・・。」

(;^ω^)「実は・・・隠してあった場所・・・知ってたんだお・・・正直すまんかった。」

ξ゚听)ξ「・・・どうして・・・返してくれるの・・・?」

( ^ω^)「ブーンもこの漫画持ってるお!」

ξ゚听)ξ「えっ・・・?」

( ^ω^)「ブーンの名前は内藤ホライゾン、ブーンって呼んでくれお!君の名前はなんだお?」

ξ////)ξ「・・・わっ・・・私の名前はツンデレ・・・ツンって呼んで・・・。」


106 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(8/16) New! 2006/06/24(土) 23:47:24.26 ID:2bsD6lYk0

そしてブーンは次の日から2つのものを手に入れた。
1つは「オタク女と同類のオタク男」の称号、そしてもう1つは「趣味の合う友」だ。

ブーンとツンはそのまま付き合うことになった。しかしツンと付き合い始めると奇妙な事に気がついた。
最初に気付いたのは、ある日街中を2人で歩いていた時だった。

( ^ω^)「ツンはブーンと最初に会話した時とは違って今はツンツンばっかしてるおww変わったおwww」

ξ゚听)ξ「べっ別に変わってなんかいないわよ!けどブーンは小さいころに比べて逞しくなったよね。」

(;^ω^)「・・・?何言ってんだおツン・・・ブーンとは高校で初めて知り合った仲だお?」

ξ;゚听)ξ「あっ・・・別になんでもないわよ!ちょっと勘違いしただけ!」

(;^ω^)「・・・ごめんだお・・・。 (ツンどうしたんだお?・・・何か違和感を感じるお。)」

ブーンが感じ取ったこの違和感は日に日に増していった。そして一週間後にはブーンは違和感の正体に気付いていた。


107 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(9/16) New! 2006/06/24(土) 23:48:40.83 ID:2bsD6lYk0

( ^ω^)「あーノドが乾いたお ちょっとポーション買ってくるからそこで待っててお」

ξ;゚听)ξ「あっ・・・いっちゃダメッ!一人じゃ危険だわ!私も一緒に行く!」

(;^ω^)「・・・そうかお・・・じゃいくお (やっぱりだお・・・)」

ツンはあのお気に入りの漫画のヒロインの台詞を言っていたのだ。それも普通の会話に支障を来す頻度になっていた。

ξ゚听)ξ「違うわよブーン。そこは『お前を危険にさせるわけにはいかない。頼む、待っててくれ。』でしょ」

(;^ω^)「・・・お前を危険にさせるわけにはいかない。頼む、待っててくれ。」

さらにはブーンに主人公の台詞を言わせるようになってきた。その度にブーンは渋々クサい台詞を言っていた。


108 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(10/16) New! 2006/06/24(土) 23:50:11.29 ID:2bsD6lYk0

夏休みに入るとツンの奇行は更にエスカレートしていった。
ツンは台詞だけでは飽き足らず、ヒロインの服装や髪型まで真似し始めたのだ。

( ^ω^)「ツン、急に呼び出したりして何の用だお?」

ξ////)ξ「ハイこの服あげるわ・・・べっ別にわざわざ買ったんじゃないわよ!たまたま拾っただけよ!」

(;^ω^)「ウソつくならもっと上手いウソつくんだお。見事にバレバレだお。でもサンクスwwwww」

しかしツンから貰ったその服を見たブーンは驚愕した。

(;^ω^)「これ・・・あの主人公の服そっくりジャマイカ・・・!」

ξ゚听)ξ「そう、ブーンに似合うと思ってね。ゼッタイ着てね!あ、そうそうブーンも髪型を変えなくちゃね!」


109 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(11/16) New! 2006/06/24(土) 23:51:15.65 ID:2bsD6lYk0

この時、ブーンの中で今まで積もりに積もってきた不満が爆発した。

(♯`ω´)「ツンいいかげんにするんだお!ツンが付き合ってるのはあの主人公じゃなくてブーンだお!!」

ξ;゚听)ξ「えっ・・・どっ、どうしたのブーン・・・?」

(♯`ω´)「そんなにあの主人公が好きなら結婚でも何でも勝手にしてくれお!!ツンとは絶交だお!!」

そう言ってブーンはツンをその場に置き去りにしさっさと何処かに行ってしまった。

ξ;凵G)ξ「・・・くよ!!・・・ず帰っ・・・ね!!ずっ・・・・るから!!」

ツンは後ろで何かを叫んでいたが、それは空しく都会の雑踏に吸い込まれていった。


110 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(12/16) New! 2006/06/24(土) 23:52:21.88 ID:2bsD6lYk0

それから3日が経ったがツンから連絡が無かった。ブーンは意外だと思ったがこちらから連絡する気も無かった。
その日、ブーンは適当におやつやら飲み物やらを買おうと自宅近くのコンビニへ行った。
店に入り店内を巡ろうとした時、ブーンは雑誌コーナーにある一つの雑誌に気がついた。
それはツンがハマッているあの漫画が掲載されている週刊少年誌であった。

(;^ω^)「・・・何か・・・すごい悪寒がするお・・・まさか・・・。」

ブーンはそう呟き、雑誌を手に取りその漫画を読み始めた。そしてブーンは自分の悪寒が的中したことを悟った。
今週のラストページ、主人公がヒロインに突然別れを告げるシーン、それは最後にヒロインの台詞で終わっていた。

『約束よ!!必ず帰ってきてね!!ずっと待ってるから!!』

そう、つい前に聞いた台詞、つまりツンが別れ際の時最後に叫んでいた台詞と一言一句同じなのだ。
ブーンは恐怖に似た何とも言えぬ寒気に襲われた。背筋がゾクゾクするあの感覚に。
ブーンはそのまま何も買わずに急いで店を出た。そのまま家に全速力で帰り布団の中にうずくまっていた。


111 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(13/16) New! 2006/06/24(土) 23:53:21.76 ID:2bsD6lYk0

(((;゚ω゚)))「お、落ち着くんだお・・・これはただの偶然だお・・・。」

本来ならばツンがあの台詞を知っているはずが無い。あの雑誌は今日発売されたからだ。
ツンが、もはや漫画のヒロインと思考が同調するほど中毒になっている、という事実はブーンの想像の範疇をも超越していたのであった。

そして更に一ヵ月後。夏休みも残り僅かとなった。ブーンは明日から夏の最後の思い出作りのため友達と旅行に行くことになった。

( ^ω^)「さて、明日は早いしもう寝るお。」

そう言って就寝するブーン。その直後、枕元ではブーンのケータイがメールを受信し振動するが、ブーンは気付かなかった。

『タイトル:(無題)   フロム:ツン   内容:助けてブーン!!戻ってきて!!』


112 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(14/16) New! 2006/06/24(土) 23:54:30.20 ID:2bsD6lYk0

(;^ω^)「ふぅー・・・やっと帰ってこれたお。じゃドクオバイバイだお。」

('A`)「あぁ・・・じゃーな、来週学校で。」

ブーン達がこの街に帰ってきたのは3日後であった。ブーンはドクオと別れ自宅に帰ろうとした。
その途中、いつものコンビニに寄った。ブーンは疲れていたので何か飲み物でも買おうとしていた。
するとあの漫画の単行本が売っていた。ブーンはツンと別れて以来あの漫画は読んでいなかった。
ブーンはツンを必死に忘れようとしていた。あのメールも送り主がツンだとわかったから内容は見ていない。
その過程でこの漫画の存在も忘れかけていた。漫画の続きは普通に気になったので、ブーンは単行本を手に取って開いた。
そこには、再会したヒロインをかばって大怪我をし血だらけになっている主人公が描かれていた。
その後ヒロインと主人公の愛の力が奇跡を起こし主人公は助かる、というストーリーのようだ。

(;^ω^)「は、はは・・・馬鹿馬鹿しいお。所詮は漫画だお・・・。」

もしかしたら、とブーンは思う。もしもあのままツンと付き合っていたら、自分は大怪我を負っていたのかもしれない、と。
それは冗談のつもりでは無かった。現にツンとの別れ際は例のこの漫画にそっくりであった。

(;^ω^)「(やはり・・・別れて正解だお・・・。もう学校で会っても無視するお・・・。)」

そう思い単行本を元に戻し、飲み物を買って家に帰ろうと再び街中を歩き始めるブーン。


113 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(15/16) New! 2006/06/24(土) 23:55:37.72 ID:2bsD6lYk0

しかし、いとも簡単に2人は再会してしまった。街中で正面に立ちこちらを睨み付ける女、ツンがブーンの眼前に現れたのである。

ξ゚听)ξ「なんで・・・なんでそんなに元気なの・・・?」

(;^ω^)「なっなんの事だお!もうブーンの目の前から消えてくれお!!」

ξ゚听)ξ「あなたは・・・私がピンチになった時に戻ってきてくれて・・・私をかばい大怪我のハズよ!!」

(♯`ω´)「だからそれは漫画のことだお!!現実と区別ぐらいつけれるようにするお!!」

するとツンはゆっくりと手に持っていたカバンから包丁を取り出す。そしてゆったりとブーンに近付いていく。

(;^ω^)「ちょ・・・な・・・何する気だお!!警察よb


114 『( ^ω^)ブーンがオタク女と付き合うようです』(16/16) New! 2006/06/24(土) 23:56:24.50 ID:2bsD6lYk0

しかし、時既に遅く包丁はブーンの腹に深々と突き刺さっていた。周りもその異常さにようやく気がついたようだ。

(;´∀`) 「ひっ・・・人殺しモナ!!!」

,( ・)(・ )、「ぎゃああああああ包丁なりだすよ!!!」

(;´_ゝ`)「けっ警察だ!!早く警察を呼べェ!!!」

ξ;凵G)ξ「ブーン!?ウソでしょ!?しっかしして!!死なないで!!私をおいていかないで!!!」

そんな騒ぎの中、ツンはあの漫画のヒロインの言葉をはやりそっくりに言っていた。

しかしそれ以上漫画の通りにはいかなかった。何故なら既にブーンというキャラクターの人生は終わってしまったからだ。

 - end -


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