218 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 04:53:21.80 ID:nU3yh1pP0
( ^ω^)ブーンがお笑い芸人になったようです


『バーローズ結成6周年記念公演:”1秒間に11回ブーン”の日!!』

ベニヤ板に白ペンキで書きなぐられた貧相な看板が、所在なげに舞台の上で揺れていた。
スピーカーから響く賑やかな音楽と共に、2人の若者が走り出る。

( ^ω^)「ブーン⊂二二二( ^ω^)二⊃……はいどーもー! ブーンでーす」

('A`)「ブーン⊂二('A`)二二二⊃……ドクオでーす」

( ^ω^)「2人合わせて」

('A`)「バーローズでーす」

( ^ω^)「えー最近は何て言うんですかねー、DS! DSが流行ってますねー」

('A`)「ああ、DSね、うん。知ってる知ってる」

( ^ω^)「あのー、ね! 街中でもね、子供はみんなDS持ってますね」

('A`)「子供たちがね。うん」

( ^ω^)「面白いですもんねー」

('A`)「脳トレとかねー」

( ^ω^)「いいですよねー頭良くなりそうですしねー」
駄目だ変に引っ張りすぎた

219 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 04:54:29.12 ID:nU3yh1pP0
('A`)「あとやっぱりマリオでしょ」

( ^ω^)「は? いやいや、DSにマリオは居ないでしょ」

('A`)「いやいや、あるって! マリオだろー、動物の森だろー」

( ^ω^)「いやいやいや! 東大とマリオとなんの関係があるんですかって」

('A`)「東大!? ちょ待って、何? DSと東大にこそ関係あるの!?」

( ^ω^)「あるあ……あるあるwwww大有りですよーそんなん」

('A`)「ええええええ……あーまあでも、脳トレとか東大受験に関係するかなー」

( ^ω^)「当然ですよー、DSと言えば東大! 決まってるじゃないですかー」

('A`)「……あれ? ちょっと待って、それってアレじゃねえの?」

( ^ω^)('A`)『ドラゴン(D)桜(S)』

( ^ω^)「DS違いじゃねえかバーローwwwwww」

('A`)「ツッコみたいのは俺の方だバーローwwwwwww」

( ^ω^)('A`)『どうも、ありがとうございましたー』

パチ……パチパチ……、と――
義理の笑いすら上がらなかったホールに、まばらな拍手が虚しく反響した。

220 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 04:56:10.41 ID:nU3yh1pP0
その夜、芸能プロダクション『オフィス・スカルチノフ』の社長室。

/ ,' 3 「――100人収容のホールで客入り6人……もうちょっと何とかならないのか、お前たち」

バーローズは舞台が終わった後、社長の荒巻から直々の呼び出しを受けた。
言わずもがな、イベントは大失敗に終わっていた。

(;^ω^)「す、すみませんお荒巻社長……俺たちもがんばってるんですお」

('A`)「……すみません」

/ ,' 3 「ふぅ……ウチの立ち上げからずっと頑張ってくれてたお前たちに、こういうことは言いたくないんだが……」

荒巻が何かを言いよどんだその時、社長室のドアがノックと共に勢いよく開け放たれた。

( ´_ゝ`)「失礼する。社長、そろそろよろしいか?」

(´<_` )「すまんな社長、兄者はせっかちなのだ」

2人の闖入者を見て、内藤は驚きを、ドクオは憎憎しげな言葉を吐き出した。

(;^ω^)「あれ? お前らは――」

('A`)「流石ブラザーズ……何だよ、社長は俺らと話してるんだぜ。失礼だぞ」

221 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 04:56:59.20 ID:nU3yh1pP0
流石ブラザーズは、結成1年目にして既に冠番組1本・レギュラー3本を持つ実力派コンビである。
人気も収入も、結成6年目で準レギュラーすら無いバーローズとは雲泥の差であり、2人は
――特にドクオは、『出しゃばりな後輩』である彼らに激しいコンプレックスを抱いていた。

( ´_ゝ`)「奇遇だな、我々も社長に呼ばれて来たのだ」

( ^ω^)「え?」

/ ,' 3 「ちょうどいい、今話そう。ブーン、ドクオ……悪いが、メイン舞台は来週からこいつらに任せることにした」

バーローズの2人がその言葉を飲み込むまで、およそ10秒の間が流れた。

('A`)「……は?」

(;^ω^)「ち……ちょwwwww社長冗談うめぇwwwテラオカシスww」

わざとらしく椅子から転げ落ち、腹を抱えて笑う内藤。
だが、他の4人は笑うどころか身じろぎ一つせず、内藤をじっと見下ろしている。
その視線に居た堪れなくなり、内藤の馬鹿笑いはフェードアウトしていった。

/ ,' 3 「ブーン、いや内藤……俺はこういう類の冗談は好かん。知っているだろう」


222 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 04:58:18.49 ID:nU3yh1pP0
('A`)「本気かよ……こんなキャリアも何も無い、勢いだけの若造にウチのメイン張らせるってのか」

( ´_ゝ`)「ほう……前座の1/10も客が残らない舞台に、社長のお情けで登らせてもらってる『先輩』が我らに説教か」

(´<_` )「OK、落ち着け兄者。こんな『先輩』でもプライドというものがあるのだ」
('A`)「テッメェ……!」

( ^ω^)「まあまあまあまあ、そうカッカしちゃダメだおwwみんなでブーンするおwwwwww」

/ ,' 3 「内藤!」

場を取り繕おうと一人はしゃぐ内藤に、荒巻の悲痛な声が突き刺さる。
内藤は親に叱られた子のように身を縮ませ、そして力なく項垂れた。

/ ,' 3 「俺もお前たちを何とかしてやりたいんだが、もう……無理なんだ。許してくれ」

('A`)「社ちょ――荒巻さん」

( ^ω^)「うはwwwww…………無理、かお……」

とうとう、内藤の顔に張り付いていた笑顔が消えた。
その様子を見て、荒巻の悲哀がいっそう深いものとなる。


223 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 04:59:42.40 ID:nU3yh1pP0
/ ,' 3 「すまん……すまんな」

( ´ω`)「荒巻、さん……」

それきり、社長室から笑い声が聞こえることは無かった。


10年後

( ^ω^)「あれから俺はぬこに好かれる長所を利用してぬこ好きな人に出資を募って竪穴式住居で真夏に暖房を炊くサービス業を始めて大成功したお!」

ξ=><)ξ「ふにゃあああああ!!」

ξ=///)ξ(お…お漏らし…しちゃった…)

( ^ω^)「おっおっwwwよしよしだお」

おわり


駄目だこりゃ
inserted by FC2 system