334 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:10:05.13 ID:An/ms4rX0
同じ人々 同じ景色 同じ日常
僕は もう飽き飽きした

だからなのかもしれない


こんなことを したのは

( ^ω^)「もう学校も家も人生もめんどいお」

何もかも 面倒くさい

だから 僕は望む

この世界から 鎖から 抜け出したい と

336 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:10:36.86 ID:An/ms4rX0
('A`)「ブーン、この前借りたCD持って来たぞ」

( ^ω^)「ありがとだお。また貸してやるお」

('A`)「ああ、今はいいがな」

学校。勉学に励む場。
同じ服を着て、同じ場所に行き、同じような授業を受けて、同じように帰る。
毎日、毎日。
何時までも。

337 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:11:05.58 ID:An/ms4rX0
( ^ω^)「次の授業なんだお?」

('A`)「えーっと……体育だな。水泳」

( ^ω^)「めんどいお。サボるお」

('A`)「俺もめんどいな。一緒にサボるか」

( ^ω^)「ドクオも共犯だお」

('A`)「俺はちゃんと授業でてるからいいんだよ」

最近は、こうやってサボることが多くなった。
何もかも、嫌になったから。

338 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:11:33.30 ID:An/ms4rX0
ブーンはドクオとともに保健室に向かった。
授業が始まる前だからか、人が殆ど居ない。

(*゚ー゚)「あら、ブーンくん。また来たの?」

保健室のしぃ先生。
いわゆる"学園のアイドル"的存在。
確かに可愛いとは思うが、そこまで言うほどではないと、ブーンは思う。
………女性への関心までも、薄れてきたようだ。

( ^ω^)「また休ませて欲しいお。お腹痛いお」

(*゚ー゚)「全く、しょうがないわね。ドクオくんは?」

('A`)「あー……俺は頭痛です。頭痛」

(*゚ー゚)「はいはい、二人とも。今日だけだからね?」

毎回こう言って、休ませてくれる。
毎回、だ。
いつもいつも。

339 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:12:07.29 ID:An/ms4rX0
放課後。
ドクオと二人で家に向かう。

('A`)「じゃあな、ブーン。明日もちゃんと来いよ」

( ^ω^)「分かってるお」

ポケットから鍵を出し、ドアを開ける。
冷たい音が、家中に、心に染み渡った気がした。

( ^ω^)「………また誰も居ないお…」

静まり返った家の中。
ブーンの足音だけが響く。
二階への階段を上がり、自分の部屋のドアを開ける。
バッグを投げ捨て、ベッドに飛び込む。
いつもと同じ動作。いつもと同じ光景。

( ^ω^)「………寂しいお」

そう言って、ブーンは眼を閉じた。
頬の上を、少しだけ涙が滑り落ちた。

340 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:12:36.67 ID:An/ms4rX0
ふと眼を開けると、真っ暗な部屋の中。
もう夜になってしまったらしい。
階下の明かりが、ドアの隙間から漏れている。
両親が帰ってきているようだ。

( ^ω^)「ご飯食べてないお。皆と一緒に食べるお」

制服のまま、ひんやりとしたドアを開けて一階へ向かう。
段々と階段が明るくなっていく。
料理の美味しそうな香りが広がる。

J( 'ー`)し「あらブーン。起きたの?」

母親が暖かくブーンを出迎える。

( ^ω^)「おかえりだお、カーチャントーチャン」

その温もりに答えるように、ブーンは返答した。

341 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:13:11.42 ID:An/ms4rX0
( ´ー`)「ブーン……お前また授業サボったのか?
      担任から連絡あったぞ?」

ブーンの心に何か嫌なものが渦巻く。
まただ。

( ^ω^)「………サボったお」

必死でその霧のような黒いものを払いのけようとする。
しかし、それはじわじわとブーンを蝕んでいく。

( ´ー`)「お前、来年は大学受験を控えてるんだ。
      もう少ししっかりやってくれないと」

霧はだんだんと鋭く、剣のような形になっていく。

342 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:13:55.82 ID:An/ms4rX0
( ´ー`)「お前の兄ちゃんは出来が良かったのに…。
      何でお前はこうなんだろうなぁ?」

J( 'ー`)し「あなた……もうやめて……。
      今はご飯時なんですよ?」

( ´ー`)「いーや、こういうのは今言っとかなきゃ」

J( 'ー`)し「……」

暖かな光も、黒い剣で切り裂かれた。
光は、無残にも散っていく。
剣が、霧が、ブーンを覆った。

( ´ー`)「全く……お前は駄目なヤツだな」


黒い剣が、ブーンを打ち砕いた。

ブーンは近くにあった花瓶を握り締めた。
震える手が、それを振りあげる。
そして―――…

343 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:14:17.18 ID:An/ms4rX0


机から、赤々とした液体が滴り落ちていく。
絨毯には、それとは対称的に、黒々とした染みが広がる。
そこに転がっているのは、ブーンの父。
眼を見開き、顔を強張らせ。
怒りなのか、悲しみなのか分からない表情で、倒れている。
頭からは、未だに鮮血が噴出している。

( ^ω^)「あ………ぁ…」

ブーンの手に握られている花瓶。
血を全身に受け、真紅の輝きを放っている。

J(;'ー`)し「……ブーン……!」

(;^ω^)「違うんだお……カーチャン……こんな…はずじゃ…!」

J(;'ー`)し「……っ……」

母は、いきなりの光景に愕然と立ち尽くしている。
ブーンは、それを自分に対しての恐怖と勘違いした。


344 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:14:40.00 ID:An/ms4rX0
( ;ω;)「あ……あぅ……!」

段々と頭から血が引いていく。
ブーンは微かに、だが鮮明に状況を理解した。

父を、殺した。
自らの手で。

( ;ω;)「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

真っ赤な花瓶を投げ捨て、玄関に向かって走る。
頭が真っ白だ。
何故、体が勝手に動いたのだろう。
何故、僕は走っているのだろう。
分からない。

ノブに手をかけて、ドアをあけようとする。
開かない。
何度も何度も、ノブを回す。


345 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:15:01.64 ID:An/ms4rX0
J( 'ー`)し「ブーン!」

( ;ω;)「カーチャン!来ちゃダメだお!」

足元にあった靴を、母親に向けて蹴る。

J( 'ー`)し「きゃぁ!」

( ;ω;)「ごめんお!でも……でも…もうここには居られないお!
       サヨナラだお……カーチャン!」

ようやくドアを開けて、外に飛び出す。
冷たいような生温いような、不思議な空気を感じた。
いや……もう何も感じないのかもしれない。
方向も決めず、ブーンは走り出した。
どこへ行くとも、何をするとも分からずに。

346 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/25(日) 17:15:17.94 ID:An/ms4rX0
自らの束縛の鎖を断ち切った。
いつも望んでいたことだった。
何故、こんなに僕は悲しいのだろう?
何故、こんなに僕は苦しいのだろう?
誰か、助けて。

ブーンは心の中で誰かに救いを求めた。
けれど、誰からも返事は来なかった。
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