35 Replicant New! 2006/06/24(土) 22:07:02.59 ID:61C1OYg40
とりあえず、過疎なので投下してみたいと思います。

・・・どのくらい、目を瞑っていただろう・・・。
何もない、暗い部屋の中で・・・。
俺はドクオ。傍から見れば人間だが、人造人間。言うなれば、レプリカントだ。
何をされたって痛くない、何をされたって悲しくない。
一見、有利に見えるだろう。
けどな・・・逆に言えば、感覚が全て無いんだ。
感動も出来ない。喜ぶ事も出来ない。悲しむ事も出来ない。何も・・・何も・・・。
そんな自分に嫌気が差し、首を吊ったのだが、苦しくないし、痛くもない。
死ぬ事も出来ない・・・。餓死も、窒息死も、圧死も、焼死も・・・どんな手段であっても・・・。

36 Replicant New! 2006/06/24(土) 22:07:28.86 ID:61C1OYg40
パチン。
部屋の電気が灯ると同時に、
川 ゚ -゚)「・・・どうしたの?」
女の声が聞こえる。
そうだ、こいつは・・・クーというヤツだ。
なぜか、こんな俺に付きまとってるヤツだ。
('A`)「いや・・・別に・・・。」
川 ゚ -゚)「ふーん・・・。今にも、死んでしまいそうな顔してたのにね・・・。」
死ねるもんなら、死にたいさ。
どんな事をされても、泣けない。嬉しい時も、悲しい時も、泣けない。
('A`)「放っておいてくれ・・・。」
川 ゚ -゚)「・・・なーんか、人造人間みたいね。」
みたい、じゃなくて人造人間なんだ。
もういいや、こいつに嫌われるため、全てを言ってやろうか。
そうすれば、気味悪がって逃げるに違いない。
('A`)「・・・俺は、人造人間だぞ?」
川 ゚ -゚)「あっそ・・・。」
・・・こいつはどうして、こんなにも冷静なんだ。
目の前で自殺が起こっても、何も言わずに電車を待っていた。
川 ゚ -゚)「あのね・・・、あなただけが人造人間なんて、思わないでよ?」
('A`)「・・・は?どういうことだ?」
川 ゚ -゚)「私も、人造人間なの。あなたよりも、新型なんだけどね。」

37 Replicant New! 2006/06/24(土) 22:08:00.21 ID:61C1OYg40
俺は、言葉が出なかった。
クーは、そんな俺の隣に座り込んだ。
川 ゚ -゚)「あのさ、死にたいって・・・今、思ってたでしょ?」
('A`)「・・・。ああ、悪いか。」
川 ゚ -゚)「別にー・・・。死のうが、生きようが、私には関係ないし。」
('A`)「・・・関係ないなら、なお更死にたいな。」
川 ゚ -゚)「・・・でも、死ねないのが悩みなんでしょ?」
本当に、こいつは洞察力が凄い。他は、どうか知らないが。
('A`)「ああ・・・、どうしたら死ねるんだ?」
川 ゚ -゚)「えっとね、ひとつだけ・・・あるの。」
('A`)「・・・あるのか?」
クーはうなずく。
('A`)「・・・どういった手段だ?」
川 ゚ -゚)「えっとね、頭に小さなスイッチがあるの。」
('A`)「それを、押すのか?」
川 ゚ -゚)「そう。でもね、自分で押しても意味が無いんだって。」
('A`)「そうなのか。じゃあ、クー。押してくれないか?」
川 ゚ -゚)「はいはい、言われなくても押してたわ。」
クーは気だるそうに立ち上がり、俺の後ろに立つ。
川 ゚ -゚)「それじゃあ・・・押すわよ?」
('A`)「ああ。早く押してくれ。」
クーが俺のスイッチを押した瞬間。俺の視界は歪んでいった。
これでようやく、全てにグッバイできるのか。そう思うと安らいだ。

39 Replicant New! 2006/06/24(土) 22:08:25.09 ID:61C1OYg40
・・・と、思った瞬間。視界が元に戻った。
('A`)「おい・・・。どういうことだ?嘘だったのか!?」
川 ゚ -゚)「ううん。本当よ。でもね・・・あなた、旧型だから押す相手によって効果が変わるの。不便よね。」
('A`)「・・・どういうことだ?」
川 ゚ -゚)「だから、本当に心の底から死ねって思ってないと、スイッチを押しても死ねないの。
心の底から好きだと思っていたら、ただ・・・眩暈が起こるだけなの。」
('A`)「・・・。」
川 ゚ -゚)「だから、死にたかったら・・・。私以外に頼んでよね。」
そういうと、クーは部屋から立ち去った。
・・・本当に、どういうことだろうか・・・。
少しだけ、生きていこうと思えた。

こんな俺・・・馬鹿らしいか?

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