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439 438 New! 2006/06/23(金) 04:05:46.72 ID:RmC0B3ah0
( ^ω^)が少女に出会ったようです

夏も盛りを過ぎた日の夕暮れ。黄昏時の夕日が辺りを朱く染めている。
ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・
在来の電車が歩道橋の下を通り過ぎて行く。少し幅の広いその歩道橋には人が三人ほど
腰掛けられるくらいのベンチが置いてある。そのベンチに、寂しげな背中の男が一人背をもたれて
腰掛けていた。

( ´ω`)「夕日が眩しいお・・・・・・」
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

( ´ω`)「クビ・・・・ですかお・・」

( ・∀・)「ああ、できれば私もこういうことは言いたくなかった。
     君は今まで本当によくやってくれたから・・・でもこのたびの合併でどうしても
     誰かを切らなくてはならなかった」

( ´ω`)「なぜ・・・私なんですかお・・」

( ・∀・)「・・上が決めたことだ。分かってくれ」


440 438 New! 2006/06/23(金) 04:07:36.01 ID:RmC0B3ah0
( ´ω`)「・・・本当に眩しいお」

ξ゚听)ξ「クビって・・あなたどういうことなの!?」

( ´ω`)「・・・・・・」

ξ゚听)ξ「これからどうやって暮らしていけばいいのよ・・・クーの養育費だって・・」

( ´ω`)「・・なんとかするお」

ξ゚听)ξ「なんとかって・・・・!なんとかって何よ!」

( `ω´)「そんなの俺にだって分からんお!」

川 ゚ -゚)「・・・・・・・」

ξ゚听)ξ「ハッ!クー・・・・」



441 438 New! 2006/06/23(金) 04:09:29.94 ID:RmC0B3ah0
川 ゚ -゚)「お母さん、お父さん・・どうしたの?」

( `ω´)「クー。今お父さん達は大事な話をしてるんだお。あっちへ行ってなさい」

川 ゚ -゚)「・・・・ハイ」
リビングから出て行くクー。

ξ゚听)ξ「あなた、なんであんな言い方するの?クーにだって関係あることでしょ!?
    あなたいつもそうよね・・・・いつも仕事仕事ばかりで・・・・家族の気持ち
    をちっとも分かってないじゃない!」

( `ω´)「おまえ!!」

バシッ!
おもわずツンをぶってしまった内藤。

(;´ω`)「ハッ・・・・すまん・・つい・・」

ξ;凵G)ξ「・・・・・・・・私達しばらく考える時間が必要ね・・・・・」

(;´ω`)「お・・・・・・」

( ´ω`)「絶望の色ってこんなに綺麗だったのかお・・・」
内藤は夕日を見て呟く。


442 438 New! 2006/06/23(金) 04:12:04.79 ID:RmC0B3ah0
内藤はあれ以来家族とは別居している。仕事をクビになったショックも重なり内藤は何もかも
にやる気がもてなくなっていた。
内藤は・・・・・・・・死を考えていた・・・

ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・
電車が近づいてくる音がする。

( ´ω`)「そろそろ・・・逝くかお・・」
内藤は重い腰を上げようとした。

(*゚ー゚)「おじさん・・横、開いてます?」

その時ふと、横から少女の声がした。

( ´ω`)「・・・・・どうぞ」

内藤は少女が突然現れたためにタイミングを逃してしまった。
ガタンガタン、ガタンゴトン・・・・
電車が通り過ぎていく。



443 438 New! 2006/06/23(金) 04:14:40.79 ID:RmC0B3ah0
人生に疲れた中年とまだあどけない少女、その二人が一緒のいすに腰掛けている様は
どう見ても不釣合いだった。

(*゚ー゚)「・・・・・」

少女は夕日を見つめている。

( ´ω`)「(・・・綺麗な子だお)」

その少女は不思議な子だった。端正な顔立ちだが表情がよく読み取れない。
放心しているような、かといって無表情というわけでもない。実年齢もよくわからない。
見方によっては子供にも見えるし、逆に大人の女性のようにも見える。
まるでこの世のものではないかのような美しさだった。
ただおそらく中学生だろうというのは、地元の制服を着ているので内藤にも分かった。

(*゚ー゚)「綺麗だね・・・・」

(;´ω`)「えっ・・!?」

少女が急に話しかけてきたため、顔をじっと見ていた内藤は慌てて目をそらす。

(*゚ー゚)「夕日・・」


444 438 New! 2006/06/23(金) 04:16:49.73 ID:RmC0B3ah0
( ´ω`)「・・・・・・・そうだね」

内藤はそう思っているようには聞こえないトーンで返す。

(*゚ー゚)「おじさん、ここで何してたの?」

少女が内藤の顔を覗き込む。内藤はなぜかこの少女には、気を許せそうな気がした。

( ´ω`)「おじさんはね・・・・・・・・死のうか、と思って」

(*゚ー゚)「そうなんだ・・・じゃああたしと一緒だね」

(;´ω`)「へっ!?」

(*゚ー゚)「あたしもね、ここで死のうかなって思ってたの」

全く予想していなかった返事に内藤は動揺した。
そして今の自分が言うにはふさわしくないことをしゃべりだした。

(;´ω`)「だめだお!君みたいなまだ若い子がそんなこといっちゃあ!
     何があったのか知らないけど・・早まっちゃだめだお!」


446 438 New! 2006/06/23(金) 04:19:03.91 ID:RmC0B3ah0
(*゚ー゚)「でも、おじさんも死のうとしてたんでしょ?」

(;´ω`)「それは・・・・おじさんは先のない中年だから・・・・
     でも君はまだ未来があるお。だからだめだお」

(*゚ー゚)「ふぅん。おじさん優しいんだね・・・・分かった!今日のところは
    やめとくね。だからおじさんも・・・・ね?」

( ´ω`)「わ、わかったお・・・・」

とりあえず内藤は安心した。

(*゚ー゚)「それじゃあおじさん、またね」

少女はそういうと歩道橋から下りていった。

( ´ω`)「ほんとに不思議な子だお・・・・そういえば名前聞いてなかったお」

内藤は再び夕日を見る・・・さっきまで朱く眩しかった夕日はその色をひそめ
西の空へ沈もうとしていた。

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