47 ニート New! 2006/06/22(木) 19:21:36.33 ID:sVhoffiJ0
桃色がすっかり緑色になった五月、初夏。
入学した学生達はもうすっかり慣れた様に足を学校へと進める。

それを眺める、一人の男が居た。

男の名前は内藤。 友達からはブーンと呼ばれていた。
しかしそんなことは今や昔。 彼は大学を中退し、何もしなかった。
俗に言う、ニートだ。

別にイジメなんかなかった。
だるい それだけの理由だ。
働いても価値を見出せない。 強いて言うならそれが理由。
ブーンは外をひとしきり見つめると、窓を閉めてブラインドをさっと落とした。

( ^ω^)「・・・皆大変だお・・・」

小さな自分の部屋で、ポツリと一言呟いた。
それがやたら哀しく感じられる。

( ^ω^)「なんもやる気ねえお・・・ どうするか・・・」

適当に、自分の携帯を見つめてみる。
メール欄には沢山の、親友達からのメール。

( ^ω^)「・・・暇だし、久しぶりに見てみるか・・・」

48 ニート New! 2006/06/22(木) 19:22:09.93 ID:sVhoffiJ0
一件目、ドクオだ。 小学校から大学までの腐れ縁。 三ヶ月くらい前らしい。
内容は大学へ戻れと言う言葉。 馬鹿馬鹿しい。

二件目はツン。 ブーンの想い人でもあった。 偶然にも、小学校から大学まで全て一緒。
ドキドキしながらメールを開けてみる。
内容は単純、ドクオと同じだ。


(;^ω^)「・・・そんなに気にするもんかお。」


自分が居なくなってもいいんじゃないか。
という考えがあったブーンは届いたメール全てが大学へ戻れと勧告する内容だったのに驚いた。
自分は意外にも必要とされているのか と、ちょっと嬉しくなる。

最後に、一ヶ月くらい前だろうか、ショボンのメールを開けてみた。
ショボンは高校卒業してから大学に行かず、バーを開くと意気込んでいた。
折角成績優秀だったのに勿体無い と思ったがそのときは止めなかった。

バーが開けたのか? と思い開けてみる。
内容はその通りだった。

( ^ω^)「ショボンが開いたバーか・・・ 行ってみるかお。」

ブーンは薄いコートを引っつかみ、財布を持って外へ出た。






49 ニート New! 2006/06/22(木) 19:22:46.73 ID:sVhoffiJ0

(;^ω^)「やべえ・・・そういえば道知らないお。 俺テラアホスwwwww」

もう一度、携帯の画面を見つめても、地図なんか出てこない。

(;^ω^)「しょうがない。 聞くしかないお。」

携帯電話を持ち、空白に文字を打ち込んでいく。
場所を尋ねる旨を書き、それを送信した。





数分間の空白の後、携帯から着メロが流れる。

( ^ω^)「お・・・きたお。」

少し微笑みながら、メールの内容を確認する。
どうやら、すぐ近くにあるようだ。

( ^ω^)「フヒヒ! さぁいくお。」



50 ニート New! 2006/06/22(木) 19:23:39.44 ID:sVhoffiJ0
(´・ω・`)「やあ、ようこそバーボンハウスへ。 このコンドームはサービスだから受け取って欲しい。」

( ^ω^)「来た途端それかおwww  大体コンドームなんて何に使うんだお?」

(´・ω・`)「レッツくそみそ」

( ^ω^)「きめえwwwww  俺はDTなんだおwwww  純潔は捧げられんおwwww」

(´・ω・`)「なんだい、つまらない。  ドクオは僕に乗ってくれたのに。」

( ^ω^)「ちょwwwwww  あいつホモだったのかお?www」

(´・ω・`)「単に襲っただけだけどね。」

( ^ω^)「おまwwwwwww」

(´・ω・`)「まぁいいや、何か飲むかい?」

( ^ω^)「テキーラで頼むお。」

(´・ω・`)「はい。」

すぐにブーンの座ったカウンターにはテキーラが出される。
それを確認したブーンは、一気にそれを飲み干した。


51 ニート New! 2006/06/22(木) 19:24:11.54 ID:sVhoffiJ0
(´・ω・`)「ブーン、今ニートだっけ?」

飲み終えたのを確認したショボンは、ブーンに話しかけた。

( ^ω^)「・・・それを言うなお。 恥ずかしいお」

(´・ω・`)「でも、働かないとねえ。」

( ^ω^)「働くことに意味なんかあるのかお?」

それを聞いたショボンは、少し考える素振りをしてから言った。

(´・ω・`)「そうだな。  でも、働かなきゃ生きていけないだろう?」

( ^ω^)「それは一理あるお。 でも、なんかやる気でねえお。」

(´・ω・`)「これを見てもかい?」

その言葉と共に、ショボンは一枚の写真を取り出した。
そこには、ツン、ドクオ、そしてショボンが楽しそうに微笑んでいた。

( ^ω^)「お? これはなんだお?」

(´・ω・`)「皆で海岸行った時の写真だよ。」

( ^ω^)「なんで俺を誘ってくれなかったお?」

そこで少し口調を強くしてブーンは言った。
自分が除け者にされたようで、腹が立っていたのだ。


52 ニート New! 2006/06/22(木) 19:25:00.70 ID:sVhoffiJ0
(´・ω・`)「・・・だって、呼んだけど来なかったじゃないか。」

(;^ω^)「え・・・?」

(´・ω・`)「携帯の履歴かなんか見てごらんよ。」

ブーンは言われたとおりすぐに確認した。
確かに、誘いのメールがあった。

(;^ω^)「・・・」

(´・ω・`)「大学行けば、こうなることは無くなるんじゃないの?」

( ^ω^)「携帯確認しときゃ、ニートでも大丈夫だよ。」

(´・ω・`)「むぅ・・・ ニートの意思は無駄に固いか。
       仕方が無い、カモン皆!」

ショボンがその言葉を言って手をたたくと、ドアの外から男女が現れた。
見慣れた二人。 親友の二人。

(;^ω^)「ツン・・・ドクオ・・・」

ブーンがそう呟いたすぐ後に、ツンがブーンに近寄ってくる。
直後、ブーンの腹にはツンの足がめり込んでいた。

( ゚ω゚)「!!!!!!!!」

53 ニート New! 2006/06/22(木) 19:25:34.44 ID:sVhoffiJ0
あまりの痛さに転げるブーン。
ツンは躊躇せずに、更に腹に蹴りを入れた。

( ゚ω゚)「ちょ、ツン 痛いお!!」

ブーンは必死で叫んで訴えかけた。
そしてツンの顔を見る。

ツンの目には、涙が溜まっていた。

ξ;凵G)ξ「心配したじゃない! 馬鹿っ!」

そういいながら、どんどん蹴りを入れていくツン。
このままでは心配する云々以前にブーンがお空へ逃げていきそうだ。

( ゚ω゚)「オーケー わかったから止めてくれお!!!」

しかし、彼女は蹴りを止めない。
まるで親の敵の様に、さらに頬に平手打ちをきめる。

('A`)「・・・ツン、その辺にしとけ。」

見かねたドクオが静止の言葉を入れた。

( ^ω^)「・・・あ、変態ホモ野郎だお。」




数秒後、ドクオはツンと一緒にブーンの腹に蹴りを入れていた。

54 ニート New! 2006/06/22(木) 19:26:47.07 ID:sVhoffiJ0
(;^ω^)「・・・オーケー、ごめんお。」

やっと暴力から開放されたブーンは、二人に謝罪の言葉を述べた。

('A`)「ったく、折角かっこよくきめたのに・・・」

ξ;凵G)ξ「ほんとに心配したんだから!」

上ずった声でツンはブーンに言い放った。

(;^ω^)「ほんと、ごめんお。」

('A`)「いきなりニートだもんな。 まったく・・・」

(;^ω^)「だって、働く意味なんて無いと思って・・・」

ξ゚听)ξ「意味あるに決まってるじゃないのよ!」

( ^ω^)「ほう? なんだお?」

ξ゚听)ξ「人を幸せにするために決まってるでしょ!」

( ^ω^)「でも、幸せにする人なんていないお」

ξ゚听)ξ「両親とかいるでしょ!」

( ^ω^)「両親は嫌いだお。」

55 ニート New! 2006/06/22(木) 19:27:13.77 ID:sVhoffiJ0
この返答にツンは少し困ったような表情をした。
だが、少し考えてからまた言った。

ξ゚听)ξ「・・・だったら、友達を作ったりとか、友達と遊ぶためのお金作りとかあるでしょ!」

( ^ω^)「お金は親からとればいいお。」

ξ゚听)ξ「・・・最っ低!」

埒が明かない。
ショボンはそれを見て、一言言った。

(´・ω・`)「・・・ブーン。 意味は無くとも君を心配する人は一杯居るよ。」

( ^ω^)「たとえば誰だお?」

(´・ω・`)「僕らとかね。  特にツンは凄く心配してたよ。 ここに来て話すことと言ったら、君のことばかりだったからね。」

その言葉を聞いて、ツンは酷く赤面した。
ショボンはそれを見て少し笑い、更に続けた。

(´・ω・`)「君もツンが好きなんだろ? なら、ツンを幸せにしてあげればいいじゃないか。」

(;^ω^)「・・・お?   なんで言っちゃうおwwwwwwwww」

ブーンは酷く焦った。
ツンはというと、顔を真っ赤にして俯いていた。

(´・ω・`)「幸せにするなら、先ずは一歩踏み出さなきゃ。大学へ戻ってみたらどうだい?」

57 ニート New! 2006/06/22(木) 19:28:44.08 ID:sVhoffiJ0
ブーンは冷や汗を垂らし、立っていた。
そして一言言う。

(;^ω^)「・・・僕は、ツンが好きだお。」

ξ////)ξ「な・・・何言ってるのよ!」

突然の告白に、戸惑うツン。
しかしブーンは構わずに続けた。

( ^ω^)「でも、僕はニートだお・・・」

('A`)「なら、大学戻ればいいじゃないか。  それで働く意味は見つかっただろ?」

( ^ω^)「だから僕はニート脱出して、ツンを幸福にするお!」

ξ////)ξ「・・・」

まだ赤面し続けながら、ツンは俯いていた。

58 ニート New! 2006/06/22(木) 19:29:21.15 ID:sVhoffiJ0
(´・ω・`)「熱いねぇ・・・  どうだい、ドクオ。」

('A`)「羨ましい限りだよ。  俺なんて・・・俺なんて・・・」

(´・ω・`)「僕がいるじゃないか。」

その言葉と共に、ショボンはドクオの肩に手をかけ、強引に店の奥へと連れて行った。
暫くして、一つ声が店に響き渡った。

('A`)「アッー!!」


59 ニート New! 2006/06/22(木) 19:29:38.58 ID:sVhoffiJ0
夏の風が通り過ぎ、静かに鳥がざわつく。


誰かの部屋がある。


そして、一枚の写真。




そこには、顔に幸せを映し出した四人が居た。







おしまい
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