191 夏の終わり New! 2006/06/22(木) 21:48:51.13 ID:gX3Ompwp0
流れを遮ってないか心配ですが、とりあえず初投下です。
見苦しい点は多々あると思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。

都内某所の地下鉄の駅。
海に近い地下鉄の駅で、外は夏特有のにわか雨で。
ふたり、何もしゃべらずにただ、冷たい椅子に腰掛けていた。
('A`)「なぁ・・・。」
ξ゚听)ξ「・・・何?」
ドクオが話を切り出そうとしても、
('A`)「・・・いや、なんでもない。」
それで片付けてしまう。
ツンも、それを深くは追求しないで、ただ、ただ・・・うつむいていた。
夏休みを利用したデートは、何日も行った。
しかし次第に、二人は次第にずれていった。
裏腹の態度や気まずいムード。
今は午後1時。しかし、そうとは思えないほど空は淀んで黒ずんでいた。
湿気も凄く、砂埃も凄い。太陽も、かすかにぼんやりと昇っているのが見えるだけだ。
ξ゚听)ξ「ねぇ・・・。」
ツンがそう、静かな空気を切り裂くようにつぶやく。
ξ゚听)ξ「愛した分だけ・・・見つめた分だけ・・・つらくなるのね・・・。」
('A`)「・・・そうだな・・・。俺だって・・・出来ることなら別れたくないさ・・・。」
ξ゚听)ξ「・・・私だって・・・もう少し、行けると思うわ。」
地下鉄の駅特有の何とも言えない空気のにおいがきつくなる。
ξ゚听)ξ「でも・・・無理して続ければ、今よりも辛い別れになると思うの・・・。」
('A`)「・・・そうか・・・。でも、その無理して続けた期間で気が変わることは・・・。」
ドクオは、ツンの顔を見つめる。
('A`)「・・・無いよな・・・。」

192 夏の終わり New! 2006/06/22(木) 21:49:27.46 ID:gX3Ompwp0
ξ゚听)ξ「・・・どうするの?」
('A`)「どうするって・・・、もう、ほぼ決まってるだろう。」
ξ゚听)ξ「ほぼ、じゃダメなの。完璧にじゃないと・・・。」
ドクオは、何度か口を開け、言葉を出そうとしたが、息を吸うたびに涙が出るのか、
すぐに口を閉じ、下を向いて心落ち着かせ、再度言葉にしようとする。
ツンの綺麗過ぎる横顔を見て、余計に言い出せなくなった別れ。
電光掲示板を見れば、次来る電車は前の駅に到着したようだ。
突然、ツンはフフッと笑う。
('A`)「・・・どうしたんだ?」
ξ゚听)ξ「おかしいわ・・・。」
('A`)「どうしてだ?」
ξ゚听)ξ「最後になれば、なるほどに優しくなるのね。」
('A`)「・・・。」
ξ゚听)ξ「さすがに、終わりぐらいは傷つけたくないもんね・・・。」
ドクオはうつむいたまま、何を言おうと考えてるようだ。

193 夏の終わり New! 2006/06/22(木) 21:49:49.16 ID:gX3Ompwp0
ξ゚听)ξ「今更、止めたって遅いわよ。」
('A`)「・・・止められないだろう。」
ξ゚听)ξ「まぁ・・・そうなんだけどね・・・。」
ツンもうつむく。
ξ゚听)ξ「ねぇ・・・、幸せだったよ・・・。」
息を大きく吸う。涙を零さないように。
ξ゚听)ξ「・・・おかしいよね・・・あれだけ、ケンカして、罵り合って、仕舞には何も言い出せないのにね・・・。」
また、息を吸う。
ξ゚听)ξ「よく・・・幸せなんて単語・・・出てきたなぁ・・・。」
本当に言いづらそうにドクオは言葉を吐いた。
('A`)「・・・1週間前には、そんな事いうような状況じゃなかったしな・・・。」
ξ゚听)ξ「やっぱ・・・最後になれば・・・男女問わずに優しくなるのかな・・・。」
('A`)「わかんない・・・けど、今のお前は優しいよ・・・。でも、続かないだろうけど・・・。」
電車が駅構内に走りこむ。濁った空気が二人を取り巻く。
('A`)「・・・乗らなくていいのか?」
ベルが鳴る。
・・・。
そして、ベルが鳴り終わる間際に、ツンは電車に飛び乗った。
そして、窓に顔を近づけるも、ドクオの事は見届けられなかった。
ドクオもドクオで、手を振ることはできなかった。

・・・本当に、まだ愛せそうな感じだった。
人知れず、駅で一人静かに泣く、男がそこに居た。
さよならも、言えずに・・・。

inserted by FC2 system