257 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:38:06.04 ID:YpIU75IrO
霊体管理局、死神課。
死神達の拠点であり、死神達の仕事が始まる場所でもある。
今の時間は朝の貴重なコーヒータイム。
事務員のペニサス伊藤と貞子がコーヒーを持って忙しなく走り回る。

デスクワークをしていた死神課課長のツンは、自分に近づく気配に顔を上げた。
悪魔や天使が死神課に訪れる事は珍しくない。
天国や地獄に来た霊体の処遇、死亡状況の確認などがあるためだ。
ツン目の前には馴染みのある、無表情だが美しい悪魔が立っていた。

ξ゚听)ξ「あら、クーじゃない。
どうしたの?」

黒い革のボンテージスーツ。
こうもりの皮膜に矢印型の尻尾。
伸びた黒い髪の天頂には何の冗談か天使の輪がくっきり。
露出度の高い服に彼女のスタイルは、男ならば誰でも股間を押さえる所だ。
現に死神課の男達も騒ついている。


258 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:38:56.37 ID:YpIU75IrO
ギラギラと光る目を持つ男達を尻目に、クーが口を開いた。
それは悪魔らしい爆弾発言。

川 ゚ -゚)「ツン、君の旦那を私にくれ」

ξ;゚听)ξ「……ブハッ!?……ゲホッゴホッグッハァ!」

口に含んだコーヒーを盛大に吐き出し、激しく咳き込むツン。
コーヒーが器官に入ったらしい。

死神課の騒つきが一層激しくなった。

ショボンがこそこそと隣の内藤に話し掛ける。

(´・ω・`)「ツン課長、結婚してたんですね。
内藤先輩、知ってました?」

(;^ω^)「ゲホッゴホッグッヘ!」

内藤もまた激しく咳き込んでいた。よく見れば鼻からコーヒーが滴れている。


259 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:39:49.87 ID:YpIU75IrO
ショボンの胸にある予感が過った。

(;´・ω・`)「先輩、もしかして……うわっ!?」

川 ゚ -゚)「いたな、内藤」
ショボンを押し退けてクーが内藤の前に立った。
腰に手を当て、胸を強調するクー。

ξ;゚听)ξ「ちょっと、クー!」

クーの背後からツンが顔を出した。
背の高いクーの肩を置き、ぴょんぴょんと飛び跳ねるツン。

――マジかよ、内藤さん!?

――人は見かけによらないな。

――内藤さん、うらやましい……。

(;^ω^)「と、とにかく外で話すお」


260 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:40:33.78 ID:YpIU75IrO
今や嵐となった死神課。
内藤達が慌ただしく去った後……。

川д川「……三角関係ktkr」

('、`*川「……何それ?」

川д川「……人間界の流行りです」

伊藤の拳が貞子の頭に打ち込まれた。
思いっきり。

川д;川「……痛い」

('、`#川「さっさとコーヒーを運びなさいな」

頭を擦りながら貞子が再びコーヒーを運びだす。
それを見ながら伊藤が呟いた。

(;、;*川「……内藤さん」

内藤を炎に覆いかねない火種がここにも。

('A`)(´・ω・`)「欝だ死のう」

独身男達の嘆きが死神課をどんよりと暗くした。


261 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:42:49.32 ID:YpIU75IrO
霊体管理局屋上。
ここから見える景色は人間界を一望でき、局員達の憩いの場となっている――
はずなのだが、今は。

ξ#^ー^)ξ「どういう事か説明してもらいましょうか?」

修羅場だ。

ツンは笑顔で大鎌を内藤に突き付けて、クーは内藤に抱きついている。
内藤はオロオロするばかりだ。
唐突にクーが口を開いた。

川 ゚ -゚)「あんまり怒るとしわが増えるぞ」


262 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:43:47.52 ID:YpIU75IrO
正に火に油。
ツンの体から青いオーラが見えるのは気のせいだろうか。
大鎌が震えだしたのは気のせいだろうか。
瞳に殺意が籠もったのは気のせいに違いない。

(;^ω^)「……あの、何で僕の事好きになったお?
いきなりすぎだと……」

ここで口を挟まないと本格的に生命の危機が訪れるだろう。
内藤はツンの性格を完全に理解していた。

ξ#゚听)ξ「……それは私も興味あるわね。
なんで?クー」

とりあえずの危機は去ったが、未だ大鎌は内藤に突き付けられている。
クーが口を開いた。


263 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:44:47.11 ID:YpIU75IrO
川 ゚ -゚)「以前君達の家に遊びに行っただろう」

ξ゚听)ξ( ^ω^)「ふむふむ、確かに」

川 ゚ -゚)「惚れた」

ξ;゚听)ξ(;^ω^)「いやいやいや!」

二人同時にブンブンと首を横に振る。
さすがは夫婦。息が合っている。
というか、クーは質問に全く答えていない。

川 ゚ -゚)「惚れたはれたに理由はないだろう」

――いやはやなんとも。


264 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:45:39.32 ID:YpIU75IrO
ξ;゚听)ξ「いくら好きになったからって、結婚してるのに……」

川 ゚ -゚)「私は内藤に妻がいても気にしない。
愛してくれればいい」

(;^ω^)「僕のどこが好きなんだお?」

川 ゚ -゚)「む、言い出せば切りが無いが、いいだろう。
子供の落書きのような目に、口だか鼻だかわからないωに、下膨れの輪郭に、饅頭のような手の平に、振り袖のように震える二の腕に」

(;^ω^)「……」

ξ;゚听)ξ「あの、内藤が自殺しようとしてるから、そのへんで」

内藤は柵の半ばまで登っている。
死神だから、死にはしないがなぜかこうしなければやってられない。

川 ゚ -゚)「じゃあ、そういう事で内藤はもらっていくぞ」

(;^ω^)ξ;゚听)ξ「いやいやいや!」

今の話のどんな流れで内藤をもらう事になるのかさっぱりわからない。
どうやらクーは独自の世界観を持っているようだ。


265 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:46:37.64 ID:YpIU75IrO
川 ゚ -゚)「内藤は私の事が嫌いか?」

(;^ω^)「お?
おおぉっ!?」

唐突に話を振られ、内藤は柵から落ちた。
落ち着いて立ち上がったが顔は血だらけだ。
まともに頭から落ちた模様。

川 ゚ -゚)「あ、もったいない」

(;メ^ω^)「ちょ、クーさん!?」

言うが早いかクーは内藤の首に手を回し、内藤の血を舐めだした。
顔を這い回る舌の感触が、内藤の脳内を熱く溶かし、身体から力が抜ける。

ξ#゚听)ξ「あんた達、何してんのよ!」

大魔神、怒る。
だが。

ξ;゚听)ξ「か、身体が動かない……!」

大鎌を握り締めた態勢のまま、ツンの足は根の生えたように動かなくなっていた。
いや、指一本も動かせない。

川 ゚ -゚)「すまないな、少々大人しくしてくれ。
――内藤も、な」


266 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:47:32.65 ID:YpIU75IrO
口の周りと頬を紅に染めながら、クーが呟いた。

右手で、身体がが動かない内藤の首を抱き顔を舐め、左手はボンテージスーツごしに自らの乳房を揉みしだいている。
口から熱い吐息が一つ洩れ、内藤の鼻腔をくすぐった。

(;^ω^)「ちょ、もうよすお……クーさん」

ξ;;)ξ「や、やめて……やめなさいよ、クー」

自分の旦那が目の前で好きなように弄ばれている。
あまりの光景にツンは涙を流し打ち震えていた。
クーがそれを見てツンの方に歩み寄り、小さな顎を掴み、そして――二人の唇が重なった。
重なるどころか、ツンの唇を噛み、舌を引き出し、唾液を飲み干すという、とびっきりの悪魔のキス。

ξ;;)ξ「んむっ!?んんっ……んぐっ!
ぷはぁっ!
ハァ……ハァ」

川 ゚ -゚)「私は君の事も大事に思っているんだよ?
ツン」

荒い息を吐くツンを無表情に見下ろすクー。
いや、完全な無表情なわけではない。
瞳は艶やかに潤み、口元は僅かに上に引きつっている。
背後では内藤がなにやら叫んでいるが、無視。

川*゚ -゚)「嬉しいよ、愛する二人が同時に私のモノになるとはね。
なに、すぐ三人の生活に慣れるさ」


267 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:48:31.07 ID:YpIU75IrO
ξ;゚听)ξ(;^ω^)「……」

クーは、本気だ。
歴戦の死神二人に戦慄が走る。
悪魔が死神を虜にしようなどと、前代未聞だ。
だがそれ故に、対処法が無い。
どちらかの歯軋りが響いた。

川 ゚ -゚)「さて、始めようか」

クーがボンテージスーツに手を掛け、一気に脱ぎ捨てた。
羞恥心など感じさせない脱ぎっぷりと見事なボディ。

メロン二玉と見紛うバストにツンと立った乳首。
くびれたウエストに縦に切れ目が入るへそ。
キュッと締まったヒップは安産間違いなしだ。

まさしく悪魔の芸術に、死神夫婦は思わず絶句した。
一瞬、快楽の虜も悪くない、と思ってしまったのだ。

268 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:49:19.59 ID:YpIU75IrO
ξ;゚听)ξ「内藤、なんとかしなさいよ!」
(;^ω^)「ちょ、無理だお!」

口だけを忙しなく動かし、なんとか状況を打破しようとするも、クーはどんどん近づいてくる。
最初に悪魔の餌食となるのはどちらか。

川 ゚ -゚)「内藤!君に決めたー!」

全裸で勢いよく人差し指を突き付けたため、胸がぶるんと一つ揺れた。

(;^ω^)「なんでポケモン風だお!?
ってゆうか来ないで!!」
ξ;゚听)ξ「やめなさい、クー!!」

だが、クーの足は止まらない。内藤の服に手を掛け、ボタンを一つ一つ外してゆく。

ξ;;)ξ「だめぇぇっ!!」

クーの手が止まった。
ツンの叫びで手を止めた訳じゃない。
その証拠に彼女は内藤からさっさと離れ、脱ぎ捨てたボンテージを再び身に付け始めたではないか。

川 ゚ -゚)「残念だが仕事が入った。
呂布とやらが地獄で暴れているらしい。
……無念だ」


269 ( ^ω^)は死神のようです。 New! 2006/06/20(火) 20:50:04.17 ID:YpIU75IrO
尻尾をプルプルと震わすクー。
どうやら尻尾がアンテナと感情表現の役目を果たしているらしい。

川 ゚ -゚)「では、さらばだ」

何事も無かったかのようにクーは去った。

(;^ω^)ξ;゚听)ξ「ちょ、動けるようにしていけよ(お)」

三時間後、屋上で口汚く罵りあっている死神課のエースと死神課課長の姿が発見された。
同課の証言により二人の関係が露見したため、しばらくは放置。
にやにやと笑う同僚達の前で、二人はいつまでも争っていたという。

――とある地獄の住人が脱走したとの知らせが死神課に入ったのは、その二日後の事だった。
美貌の悪魔がどうなったかはわからない。

終わり


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