815 773 New! 2006/06/19(月) 20:19:13.13 ID:VcRK8y6H0
死んだサンゴが集まって、海の上に狭い陸が出来ている
そして、その上に簡単な家を作り、過ごす少数の人間たち
主食は魚、娯楽といえる施設は何もない、自給自足の生活
時々男が本土へ上がり、魚や、うろこを使ったアクセサリーを売って、少ない金銭を得る
大きな幸福も不幸もない平坦な毎日だったが、ツンはその生活を愛していた
今日も家の掃除をしながら、ぼろぼろのラジオからノイズ混じりに聞こえてくる音声に耳を傾けていた

(´・ω・`)<はい、今日も始まりました、イノセント・ペニス社の『ウホッ! 今日の通販情報!』 今日の商品は〜、これだー!>
ξ゚听)ξ「いつもいつも元気よね、コイツ。毎日同じ時間にこうやって喋られるのは、ちょっと尊敬しちゃうかも……」

ゆったりとした生活に、あまり時間の観念はない
きまって朝8時からはじまるこの番組が、ツンの生活にリズムをつけていた

(´・ω・`)<ワイヤレス掃除機だー! このペニス社印の掃除機は、いつでも何処でも吸引オナニーが出来る優れものだー!>
ξ;゚听)ξ「使用目的は掃除じゃないの……?」
(´・ω・`)<今なら、僕ショボンが特許出願中の『超精力剤V〜ああん、らめぇ〜』もお付けして、なんと500円の超特価で……え? ダメ? なんでさ、別にいいじゃ>

そこで唐突に、ぶつりとラジオの音が切れた
ああ、またなのかと溜め息をついて、ツンは再び掃除に意識を向け直した
あのDJ、確かに面白いんだけど、いつも悪乗りしすぎるのよね
この前も、一週間ぶっ続けで学校の怖い、なんてのを音読してたし
あのバイタリティの源泉は一体何処なのかしら



816 773 New! 2006/06/19(月) 20:20:36.22 ID:VcRK8y6H0
( ^ω^)「ツンー! 帰ったおー! 今日はお土産があるおー!」

玄関の方から--といっても開けっ放しなので厳密にはそうは言えないかもしれないが--ブーンの間の抜けた声が聞こえてきた

ξ゚听)ξ「ああ、お帰り。今日はどうだったかしら? ちゃんと売れたの? ……って、何か隠してるの?」
( ^ω^)「実はねぇ、いいもの買っちゃったんおー」

そう言って、ブーンが不自然に背後に回していた手を前に突き出した
今まで見たことのないような形状の物体を、抱えるようにして持っていた

( ^ω^)「じゃじゃーん! ペニス社印の掃除機だおー! これでツンも楽ができるお!」
ξ゚听)ξ「ああ、500円の?」
(; ^ω^)「お……何で知ってるんだお……」
ξ゚听)ξ「さぁね。でも、とにかくありがとうね。何かご褒美をあげなくちゃいけないわね」

掃除機を受け取って、ツンは鼻歌混じりに言った
これで日々の掃除がずいぶんと楽になるだろう、今日はついているかもしれない
あ、そういえばあの精力剤、ホントに付いてるのかな……

( ^ω^)「じゃあ、じゃあ! 前にツンが言ってた学校の怖い話をして欲しいお! ブーン、学校行ったことないから、聞いてみたいお!」
ξ゚听)ξ「あら、それでいいのかしら? じゃあ、気合入れていかなきゃね」
(; ^ω^)「お……?」
ξ゚听)ξ「じゃあ、さっそくはじめようかしら? 」

海の上にある小さな家の、まったり過ぎ行く日々のお話
どうやらツンには、掃除機も精神剤も、必要なかったようですね


                          〜ベテランDJ(´・ω・`)の、通販商売のススメ〜
                                          おしまい
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