306 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:17:06.65 ID:KK65pwQJO
空一面が赤に染まったような、綺麗な夕日。
そんな夕暮れに、町中に響き渡る程の怒鳴り声が聞こえる。

ξ´・ω・`)ξ「うん、またなんだ。さっさと掃除してもらえないかな?ぶち殺すぞ」

('A`川「掃除ッ!掃除ッ!さっさと掃除ッ!しばくぞ!」

どうやら掃除を強要しているらしい。どうみてもいじめです。本当に(ry
しかし、それを訴える者はいなかった。
明らかに聞こえているはずだが、我関せずという状態だ。
それもそのはず。その怒声の発生源は、一際大きな屋敷――市長の家である。
その権限は他の市長の比ではなく、一般企業のリーマンくらいなら難なく解雇できるほど。
そんな市長の娘の大声を止められるはずもない。

ξ´・ω・`)ξ「仏の顔もって言うよね?ここ、汚れてるんだけど」

('A`川「さぁ、そこに這いつくばって床にキスをしなさい!」

ξ;;)ξ「はい、すいませんお姉様」

素直に床にキスをする。彼女の名前はツン。物心ついた時から孤児院にいた彼女は市長に引き取られた。
幼少の頃から美しかったツンは、市長の娘から妬まれ、いじめられていた。
市長は忙しく、なかなか家に帰ってこれなかったのも災いしてか、日に日にエスカレートしていた。

ξ゚听)ξ「(なんで私がこんなことを・・・)」

('A`川「うはwww本当に舐めてやがるッ!」

ξ´・ω・`)ξ「こいつはくせぇ!ゲロ以下の匂いがプンプンするぜぇーーッ!!」

307 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:18:05.88 ID:KK65pwQJO
('A`川「時に姉様。今夜は舞踏会の日だけど、用意は済んだ?」

ξ´・ω・`)ξ「イエス、オフコース。あ、ツンは家で掃除だから。髪の毛一本も残さないように」

ξ´・ω・`)ξ「さてと。そろそろ出発しようか」

('A`川「それじゃ、行きましょう」

散々に罵った後、屋敷の前に停まっている馬車に乗り込んでいった。

ξ゚听)ξ「やれやれだぜ。まったく、『フリ』してれば馬鹿みたいに信じちゃって」

姉二人が出て行ったのを確認すると、さっきとは一転して態度が変わり、ドカッと音を立ててイスに座る。

ξ゚听)ξ「毎日毎日怒鳴ってばかり。顔面偏差値も低けりゃ知能も低い。なんで私がこんなことをしなくちゃなんないのかしら」

ξ゚听)ξ「そうだ!私が舞踏会に行って、王子を手込めにすれば!」

まさに外道。そうと決まれば行動は早い。
まずは、姉の部屋にあるPCを使い、招待状を偽造。
次に、スキミングして偽造した姉のクレジットカードで馬車を購入。
最後に、市長が買ってくれたドレスに袖を通す。

ξ゚听)ξ「よし、いざ出陣ッ!」

まるで武将のように気合いを入れ、屋敷を出る。

ドゴォン!!!!!

いきなりの爆発音。舞い上がった砂埃で何も見えなかったが、誰かが爆撃をしたことは確かだった。

308 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:19:03.56 ID:KK65pwQJO
( ^ω^)「お嬢さん、お困りですかお?」

唐突に砂埃がなくなり、代わりに一人の男が姿を現わした。

ξ゚听)ξ「アンタだれよ?それに、別に困って・・・アッー!」

彼女の見つめる先には、粉々に砕けた馬車と、それを引っ張るはずの馬が黒焦げになっていた。

ξ゚听)ξ「アンタが犯人?」

( ^ω^)「イエス、オフコース」

ξ#゚听)ξ「死ね!氏ねじゃなくて死ね!」

(;^ω^)「だってそうしないと出番なくなるんだお!それに、新しい馬車ならすぐに用意するお」

そう言って、男はなぜか道に転がっていた南瓜を叩く。
すると、南瓜が何倍にも膨れ上がり、やがて馬車へと形を変えた。

ξ゚听)ξ「へぇ、さっきの馬車よりはいいんじゃない?で、馬は?」

( ^ω^)「そこら辺にねずみとかいないかお?」

ξ゚听)ξ「あんたバカァ?私がそんな面倒なことするはずないでしょ」

309 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:21:12.36 ID:KK65pwQJO
(;^ω^)「じゃあどうす」

ξ゚听)ξ「アンタが馬になればいいじゃない」

男はゴツンと頭を殴られ、倒れた。
やがて男は、馬なのか豚なのかわからない生物へと姿を変えた。

ξ゚听)ξ「うわぁ・・・すごく気持ち悪いです・・・」

ξ゚听)ξ「ま、いいか。ハイヨーシルバー!」

(;^ω^)「ちょwwwSMキタコレ!」

華麗な鞭捌きで馬を操り、彼女は無事お城へ着くことができた。

ξ゚听)ξ「へぇ、さすがお城ねぇ」

( ^ω^)「12時までに戻ってきてほしいお。でないと魔法が解けてしまうお」

ξ゚听)ξ「別に構わないんじゃない?馬車なくても帰れるし」

(;^ω^)「そ、そうでしたお。いってらっしゃいだお」

一歩城に踏み入れると、彼女にとってそこは夢のような世界であった。
自分の屋敷よりも何倍も広い部屋に、美味しそうな料理の数々。
天井は高く、キラキラとシャンデリアが飾られている。
しっとりとした音楽が流れ、男女がリズムに合わせて踊っている。

310 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:22:05.62 ID:KK65pwQJO
ξ゚听)ξ「どれが王子かしら?」

( ´∀`)「綺麗なお嬢さん、僕と踊らないかモナー」

ξ゚听)ξ「私、王子様と踊りたいの」

( ´∀`)「僕じゃダメモナか」

ξ゚听)ξ「ごめんなさいね。ところで王子様はどこかしら?」
  _
( ゚∀゚)「俺を呼んだかい?」

ξ゚听)ξ「アンタなんてお呼びじゃないの!王子様はどこ?」
  _
( ゚∀゚)「だから俺が王子だよ」

ξ゚听)ξ「・・・」

ξ゚听)ξ「Shall we dance?」
  _
( ゚∀゚)「ちょwwwww・・・いいけどw」

なぜか快諾した王子は、彼女の手を取り、華麗なステップを刻む。
踊り慣れていないツンをエスコートしながら、王子は喋る。

311 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:27:32.57 ID:KK65pwQJO
  _
( ゚∀゚)「俺は確信したんだ。」

ξ゚听)ξ「何をですか?」

王子は手を伸ばし、ツンはその手を取りながらくるくると回る。

ξ´・ω・`)ξ「先を越されてしまったか・・・ぶち殺すぞ」

('A`川「きぃぃ〜!!あのクソアマッ!」

その様子を見ていた姉達は心底悔しがり、憂さ晴らしするかのように、料理にかじりついていた。
そんなことは露知らず、彼女は王子とのダンスを楽しんでいた。
  _
( ゚∀゚)「この舞踏会で、ついに見つけたんだ。究極のおっぱいの持ち主をッ!」
  _
( ゚∀゚)「それが君だよ!俺と城で暮らさないか?」

ξ///)ξ「わ、私と?」

その時、大きなノッポの古時計が、12時の鐘を告げる。
すると、徐々に周りが白くなってゆく。鐘が全て鳴り終わる頃には、全てが白に包まれていた。

312 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:29:00.15 ID:KK65pwQJO
ξ゚听)ξ「ここは・・・どこかしら?」

辺りを見渡すが、どこを見ても荒れた大地が広がっていた。
ふと髪を触ると、べっとり灰が付いていた。

ξ゚听)ξ「うわ、最悪」

( ^ω^)「ジャスト12時だ。夢は覚めたかお?」

自分が灰だらけになったことに対して悪態をついていると、どこからか見覚えのある男が目の前に現れた。

ξ゚听)ξ「アンタはあの時の・・・」

( ^ω^)「そう、魔法使いだお」

そう言って、なぜか転がっていた南瓜を叩く。
あっという間に南瓜は形を変え、立派な家となっていた。

313 ( ^ω^)が灰被り姫と出会うようです New! 2006/06/18(日) 03:29:34.03 ID:KK65pwQJO
( ^ω^)「今日からここが僕と君の家だお」

ξ゚听)ξ「は?ってゆーか意味わかんないし」

(*^ω^)「ハァハァ、もっと罵ってくだしあ」

(*^ω^)「君を王子に取られるのがくやしかったから、世界を滅ぼしてみたお」

よほど自慢したいのか、男は自分の腕をぽんぽんと叩いた。
そして、先程の家を見ながら言った。

( ^ω^)「これから僕が王子で、君はシンデレラだお!」
FIN

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